表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

リオレイアはなぜ美しいか

 さて。

 理論的なリオレイアの良さとはなんぞや。そう思われた方も少なくないだろう。まぁ、キャラクターやモンスターの好みなんて各人の趣味趣向による訳だが、まず言いたいのは好みとしての「良さ」ではなく、キャラクターとしての「良さ」である。


 では、キャラクター、ここではモンスターとしての「良さ」とは?であるが、リオレイアにおけるこれ即ち、戦闘におけるコンセプトである。

 実はリオレイアは、モンスターハンターに登場する全モンスターの中でも群を抜いて首尾一貫している。それは彼女の戦闘スタイルである。彼女の主力技となるのは2つ。火炎ブレスとサマーソルトである。異論があるハンターはまず居ないだろう。この2つを思い出した時、ストリートファイターをプレイしたことがある方ならあるキャラクターを脳裏に浮かべることも容易かと思う。そう、ガイルである。

 全ての対戦ゲームの基本中の基本。「浮かせて落とす」に紛れもなく忠実なのだ。

 これは彼女の弱点にも反映されている。通常種においては頭部の肉質が非常に柔らかく、大きなダメージが入る。火炎ブレスのモーションには程よく後隙が組み込まれており、この後隙を狙ってプレイヤーは攻撃しに行く訳だが、この頭部があった場所に大きな攻撃力を持つサマーソルトの攻撃判定が来る訳である。

 まさに火炎ブレスの隙を狙って近付いてきた相手に最大火力の技でトドメを刺しに行くという「浮かせて落とす」と言える戦法であり、基本を忠実に守っている。

 また、希少種では最もダメージの入る弱点は脚に変わっており、より近付かなければならない。ここにサマーソルトが叩き込まれることで、避ける難易度も上がっている。近付かせる、そして落とす。というコンセプトを正統に強化した形となっている。

 更に、火炎ブレスはもちろん遠距離攻撃になっているため、接近技であるサマーソルトに繋げるという面でも非常にセオリー通りの性能となっている。これにより、プレイヤーは回復するにも妨害をされ、攻撃をするにもサマーソルトを避けさせられ、と俗に言う「不利な択」を強制されることとなる。

 ここまで首尾一貫して「浮かせて落とす」を徹底しているが、これらが亜種、希少種、2つ名、ヌシと強化されていくにも関わらず、このコンセプトが一切ブレていないのがリオレイアの更に美しいところである。

 亜種で強化されるのは主に火炎ブレスであり、様々な派生を持つようになる。これによってプレイヤーはより近付くことを意識させられ、他のモンスターと違い密着を維持するようになる。そしてそこに来るのはやはりサマーソルト。これによって今度は距離を取るように意識をして⋯⋯、という具合に圧倒的にリオレイア側が有利な読み合いを回している訳である。

 また、希少種ではここから更にサマーソルトが強化されることになる。螺旋軌道でのサマーソルトや、溜めサマーソルトなど、近付かせた後も択を増やしてくる。火炎ブレスも当然強化はされており、アイスボーンからは劫炎ブレスと呼ばれる超威力の火炎ブレスも持ち合わせた。これによって離れるリスクは跳ね上がってくる。

 2つ名及びヌシ個体においては火炎ブレスとサマーソルトの両方が毒によって強化されており、サマーソルトが当たった際の「トドメへのなりやすさ」を格段に上げている。加えて毒状態になりやすくなっていることで、プレイヤーは回復行動が増え距離を取りがちになる為に、火炎ブレスによるリスクも最大限に発揮されている。

 火炎ブレスとサマーソルト以外の技についても、補助技として非常に優秀である。例えば噛み付きは容易に避けることができるが、隙が短い為にそのままサマーソルトに繋げることもできる。また突進は間合いを詰める攻撃として非常に優秀で、格闘ゲームで言う差し込み技にもなってくる。尻尾回転攻撃によって周囲を薙ぎ払うことで、プレイヤーに距離を取らせることができ、そこから火炎ブレスとサマーソルトという主力のコンボに繋げることができる。

 戦法の主軸が常に王道たる「浮かせて落とす」にあり、強化された個体達もこのコンセプトをより活かす方向で強化されているという素晴らしい攻撃パターンである。このしっかりとしたコンセプトが、リオレイアを美しいと感じる大きな理由である。

 無論、ゲームバランスという問題もあるため、ある程度は避けられる隙は用意されている。また、突進においては距離を離される行動になることも多く、移動手段の乏しい近接武器にとってストレスになることもある。

 これらにおいてはやはり中盤で出てくるモンスターであることや、行動がある程度ランダムであることに起因するため致し方ないものでもあるし、また他のモンスターにも見られる現象なため、そこまで問題にすることではないように思う。(突進については筆者も溜息をつくことがあるが。)

 しかし、ここまでコンセプトが一貫されているモンスターはかなり少なく、特に近年の作品では強化個体などとして追加されたモンスター達は全く新しい要素を持つことが多い。レギュラーだということもあるだろうが、これだけ基本に忠実な戦闘スタイルは賞賛に値するものだと言える。


 さぁ、もう読者もリオレイアの良さについて納得して頂けたかと思うので、ここから先は筆者の好みによる美しさの話である。

 まずは外観であろうか。彼女の高く通った鼻筋、そしてシャープなフェイスライン。それは流れるように肩へと繋がり、彼女を象徴する大きな翼へと辿っていく。胸部は柔らかく膨らみながらもすっきりとした輪郭をしており、スタイリッシュでどこかスポーティな雰囲気を持っている。脚は猫のように柔らかそうでつい触りたくなる健脚で、その後ろに覗く主力兵器、尻尾はスラリと伸びた先で膨らみ、曲線美を描いている。凛としながらもどこか妖艶であり、女性としてのしなやかさや逞しさを感じられる容姿である。

 咆哮についても是非耳を傾けて欲しい。なんと彼女、通常時は猫のようにゴロゴロ鳴くのだ。これはリオレウスにも共通なのだが、「リオ」の名の通りライオンのように低い音でゴロゴロという鳴き声を出す。もしかしたら機嫌が良い時はもっと猫に近くなりグルグル言うのだろうか……?

 また、威嚇時の咆哮はリオレウスがゴロゴロという音を出しながら高い声で吼えるのに対し、彼女は少し低い声で咆哮する。また、ゴロゴロという音が無い作品も多く、殆どの作品では低い声でブォーンと言った鳴き声を出している。その低音が聞こえなくなったタイミングで、彼女の力強い声が伸びてくるのだ。残念ながらRISE及びSUNBREAKではリオレウスと共通サウンドになってしまっているようだが、もし過去作を持っているなら是非聞いてみて欲しい。華奢な体格に見えながらも重く響くその咆哮は、彼女の奥底に秘めたる力強さを象徴しているようである。

 更に、ワールドのリオレイアには切ない設定が存在する。古代樹の森頂上部にある巣。あの場所がリオレウスの本邸であり、あの森でリオレウスと番になっているリオレイアが正妻である。それに対し、大蟻塚の荒地に棲むリオレイアは古代樹の森にいるリオレウスの愛人でしかないのだ。荒地のリオレイア達は愛を募らせながらも、一人寂しく、そして一生懸命に我が子達を育てているのである。なんと愛しいのだろうか。思わず「強く生きて」と声をかけたくなるが、彼女達にも上下関係が存在するというのはやはり自然の厳しさなのかもしれない。出来れば幸せになってほしいものだ。また、導きの地に棲んでいるリオレイア達は孤独な思いをしていないことを願う。

 彼女の肉質設定もなんだか愛嬌がある。物は言いようかもしれないが、基本的に「頭が弱い」のである。凛とした雰囲気を出しながらも頭が弱い。そんなギャップに萌える同志は少なくないはず。まぁしかしこれはあまりにも二次創作的だろうか。

 なお希少種になると始めは頭が固いが後から頭が弱くなる。なんだかツンデレに似たものが感じられて愛らしいではないか。なんなら劫炎状態によって興奮している時も頭が弱くなる。

 そして何より女王なのである。陸の女王なのだ。高貴さを兼ね備えるどころか高貴そのものなのである。彼女を好きにならずしてなんと言おうか。

 ちなみに、筆者が最も好きなリオレイアのモーションは、劫炎ブレスを吐いてから着地した後に行う、両翼の先を地面に添えるようにして身体を支える動きである。おっとっと⋯⋯、と言わんばかりに女の子らしくちょんと手を添えるモーションをとる。そして威嚇かドヤ顔か、ハンターに向かって少し控えめに咆哮する。(もしかしたら「やったか?」とフラグを建てているのかもしれない。)少し必死な一面が垣間見えるのもまた可愛らしい。最もダメージの大きな技であるが故に、回避や回復に必死で見たことがない読者も多いかと思うが、是非上手く避けられたら注意深く見てあげて欲しい。とても愛らしいので。


 少しばかり頭が弱いところはあるが凛としていて逞しく、高貴でありそして芯の通った女性。なんと魅力的な響きだろう。 

 是非、読者のあなたにこの魅力が伝わればと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 並々ならぬ熱を感じました。 [一言] これ読んでたら、 彼女を操作できる格ゲーが やりたくなりましたよ٩( 'ω' )و
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ