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機械仕掛けの殲滅少女  作者: サンボン
第二章 復讐その二 ジェームズ=ゴドウィン
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五千人対一人

ご覧いただき、ありがとうございます!

復讐、開始です!

「【加工(キャスト)】」


 ゴドウィン卿の軍勢の姿が見えると、僕は橋に両手をかざし、能力を発動する。


 湿地帯に掛けられている橋を、全て破壊するために。


 すると。


「「「「「うおおおおおおおおおおおおお!?」」」」」


 橋は全て木片へと変化し、兵士達は一斉に湿地帯へと落下すると、そのままぬかるみにはまった。


「い、一体どうなっているんだ!?」

「わ、分からん! 突然、足元の橋が消えたんだよ!」


 兵士達の混乱する声がこの湿地帯に響き渡る。


 そして。


「あは♪」


 僕の隣に、ス、とライラ様が立ち、死神の鎌を構えてもがく兵士達を見据えると。


 ——キイイイイイイイイイイインンン……!


 “クロウ=システム”を発動させ、ものすごい速さで飛び出した。


「あはははははははははははははははははははは!」

「な、何だあ!?」


 ライラ様は湿地帯の上を滑りながら(・・・・・)先頭にいる兵士の集団まで瞬く間にたどり着き、その巨大な死神の鎌を一閃させる。


 ——ザシュ。


 兵士達はなすすべもなく次々と首と胴体が刈られ、湿地帯を赤く染めていった。


「な、何なんだコイツはあっ!?」

「と、とにかく隊列を整えろ! アレを迎え撃……プゲッ!?」

「くそおっ! こんな身動きの取れない場所でどうしろっ……ギャ!?」


 ただでさえ混乱している最中(さなか)にあんな狂った“死神”に襲い掛かられ、軍団はまさに狂瀾怒涛(きょうらんどとう)の状態となっていた。


 ——ズシャ、ゴキ、ザグ。


 兵士達は抵抗することもできずに、ただライラ様に蹂躙される。

 こうなると、もう一方的の状態だ。


 でも。


「ま、まだ、橋は全部解体できてない……!」


 僕は【加工(キャスト)】をフルに発動させ、さらに奥へ、奥へと橋を破壊していく。

 五千の軍勢が湿地帯の向こう側に逃げられないようにするために。


「あはははははははははははははははははははは!」


 そうしている間にも、ライラ様はただひたすらに兵士達を刈り取っていく。

 す、少しでもライラ様に危害がないように破壊し尽さないと……っ!?


 チ……鼻血が出始めた。

 そろそろ、身体の限界か……。


 でも。


「ま、まだまだあっ! 【加工(キャスト)】ッ!」


 僕は声を張り上げてさらに力を振り絞り、能力を発動し続ける。


 すると。


「アデル様っ! もうおやめください!」


 ハンナさんが僕の身体を抱き締め、能力を止めるよう悲痛な声で促す。


「ま、まだいけます! 橋を破壊しないと、ライラ様が!」

「もう大丈夫です! アデル様のお陰で、橋は……橋は破壊されました!」

「え……?」


 ハンナさんのその言葉に僕は顔を上げると、目の前には兵士達が湿地帯にはまってもがく姿が、どこまでも続いていた。


「あ、はは……」


 僕は橋を全て破壊したことに安堵し、力が抜けて抱き締めるハンナさんにもたれかかった。


「アデル様……本当に、あなたという方は……」


 瞳に涙を溜めたハンナさんが、僕の顔を見つめた。


「……後は、ライラ様にお任せしましょう」

「はい……」


 僕達は、湿地帯の上を縦横無尽に駆け巡るライラ様を見守る。


(いしゆみ)兵! あの女を……ライラ=カートレットを打ち落とすのだ!」

「「「「「応!」」」」」


 湿地帯にこだまするほどの大きくて野太い男の声に、一部の兵士達が落ち着きを取り戻すと、兵士達がボウガンをライラ様へ向けて一斉に構えた。


「放てえっ!」


 男の声と共に、無数の矢がライラ様目がけて降り注ぐ。


「あは♪」


 だけど、ライラ様はお構いなしにその矢の雨の中へと飛び込むと、鎌を回転させて全て打ち落とした。


「あはははは! 無駄! 無駄ですよ!」


 矢をくぐり抜けて弩兵に肉薄したライラ様が、ニタア、と口の端を大きく吊り上げ、その鎌を振りかぶる。


「ヒイイッ!? に、逃げ……ギャッ!?」

「チチ、チクショ……ゲキョッ!?」

「おおお、俺にはまだ妻と子……ガガガッ!?」


 兵士達が恐慌状態となり、様々な反応を見せる。

 逃げようとする者、小さな子どものように両手を振り回して泣き叫ぶ者、命乞いをする者……。


 そんな兵士達を、ライラ様は(わら)いながら鎌を振り回して蹂躙していく。


「こうなれば、もはや一方的ですね……」

「はい……」


 僕達は、湿地帯の上で踊り狂うライラ様をただ見つめている。


 その時。


「ラ、ライラ=カートレットの弱点は男と接触することだ! 彼女に触れれば(・・・・)その動きも止まる! 皆の者、一斉に囲めえええええ!」

「な、何いっ!?」


 突然聞こえた男……恐らくゴドウィンの声に、僕は思わず驚きの声を上げた。

 な、何であの男がソレを知っているんだ!?


「ラ、ライラ様っ!」


 僕はライラ様に向かって叫ぶ。


 でも。


「あはははは! さあて……泥沼にはまって虫ケラのようにもがく貴様等が、死を告げる(カラス)のように空駆けるこの私に触れることができるのですか!」


 武器も何も放り捨て、兵士達が一心不乱にライラ様に向かって行くが、ライラ様の言うようにその動きは鈍い。


「あはははははははははははははははははははは!」


 ——ドチャ、ザシュ、ブチ。


 当然、ライラ様はそんな兵士達の生命を無慈悲にも刈り取っていく。

 結局は、そんなゴドウィンの指示もむなしく、ただニンゲンだったものが積み上がっていくだけだった。


 そして、夜が明けて明るい陽が僕達を照らす頃。


 湿地帯には、馬に(またが)ったゴドウィンと巨躯の中年騎士、それと数人の兵士しか残っていなかった。


挿絵(By みてみん)

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の夜更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] グッドウィンが彼女を警戒していたことを覚えているので、ライラは王国の王女に助けられるだろうと思っています。男ライラは殺害するととてもかわいいです。処理が強力な方法で使用される方法が大好きです…
[良い点] まさに圧倒的……!! 華麗に舞う美しき死神姫って感じ! しかし、ゴドウィン側にも何か理由があるみたいですね…… しかも王様まで…… でもライラには知ったこっちゃないしなぁ…… [一言] …
[良い点] いいですね、ここまで読んで、キャラか魅力的、ストーリーも読みやすい、更新が早い! [気になる点] スキルなどはどのような方法で判別するだろう? 自分のステータス見られるとかかな? また、ど…
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