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地の底より来たりて

ご覧いただき、ありがとうございます!

本日は一気に五話投稿!とうとうラストです!

■???視点


「ふむ……久方振りの地上、であるな」


 おびただしく重なる“使徒”達の上に立ち、“崇高なる(しゅ)”は静かに呟いた。


「はい……この私めも、非常に懐かしく存じます」

「フ……“お主”にとっては、高々五百年の時など、あくびをする程度の時間に過ぎないであろうが」


 恭しく一礼しながら私はそう告げると、“崇高なる主”は口の端を持ち上げ、揶揄(からか)うようにそう言った。


「それで、“使徒”達はどうなっておる?」

「はい、既にこの街にいるニンゲン達で空腹を満たし、次の土地を目指しております」

「ふむ……で、あるか」


 “崇高なる主”は、その金色の顎髭をさすった。


「それで……この後(・・・)はどうなさいますか?」


 私は“崇高なる主”に尋ねる。

 五百年振りに『常世の門』の封印が解け、“崇高なる主”が久方振りにこの地上へと召されたのだ。


 あの時の恨み(・・・・・・)、ここで晴らすべきではあるのですが……恐らく、“崇高なる主”はそれをお求めにはならないでしょう……。


「フ……五百年前も今も、余の望みは変わらぬ」


 やはり……それでもなお、求めますか(・・・・・)

 もはや、そのようなものに何の価値もないというのに。


「承知しました。このアルビオニア島も一月のうちに全てのニンゲンが“使徒”の腹に収まることでしょう」

「む……それは困るな」


 私がそう話すと、“崇高なる主”はほんの僅かに顔をしかめた。

 ニンゲンのような下等なる生物に、まだ未練があるとでもいうのでしょうか……。


「……と、申しますと?」


 ですが、私はあえてそのことには触れ、平静を装って尋ねる。

 それを問い掛けてしまったら、この私のこれまでの想いが否定されてしまうと思ったから。


「うむ……“使徒”達の腹を満たすためにも、今後の供給のことを考えねばならん。そうなると、“家畜”として飼育することも視野に入れねばならぬからな」


 “崇高なる主”のそのお言葉を聞き、私は歓喜に震えた。

 まさか、“崇高なる主”が我々のためにそこまでお考えくださっていただなんて……!


「承知いたしました。でしたら、“使徒”達には、全体の一割程度は確保(・・)しておくように指示いたします。それと」


 私は“崇高なる主”の前へと出ると、その場で跪き。


「“家畜”の飼育につきまして、この私にお任せいただけますでしょうか」


 左胸に手を当て、そう願い出た。


 だが。


「いや、それは“ステノー”に任せるとしよう」

「……どうしてでしょうか。そのような大役、“ステノー”には難しいのでは……」


 私の申し出を断られてしまい、思わず“崇高なる主”に問い(ただ)してしまった。

 ……いえ、これは“ステノー”への嫉妬、ですね。


「なに、簡単な話だ。そのような小事をわざわざお主に任せる程、余は愚かではない」

「っ!」


 “崇高なる主”の言葉に、私は思わず胸を詰まらせる。

 だって……今のお言葉は、この私めが“崇高なる主”にとって特別(・・)だと(おっしゃ)っていただいているようなものなのだから。


「フ……近う」

「は、はい!」


 口元を緩めた“崇高なる主”に手招きされ、私は上ずった声で返事をするとそのお傍へと寄った。


 すると。


「ん……ちゅ……」


 “崇高なる主”は私を抱き寄せ、その高貴なるお口でこの私の口を塞がれた。


「ちゅ……ちゅく……ちゅぷ……」


 舌を絡め、私は“崇高なる主”を堪能する。

 それだけで、私は昇天してしまいそうになった。


「む……フフ、お主は余の大切な右腕なのだ。それを忘れぬように、な」

「はい……!」


 ああ……“崇高なる主”……!

 あなた様は、この私の()でございます……!


「ところで……余が地上に遺した“戦術級使徒”はどうなっておる」

「は……」


 “崇高なる主”の問い掛けに、私は思わず言い淀んでしまう。


 “ベヘ=モト”に関しては、ゆっくりではあるがこの『常世の門』へと向かっているとの報告があった。

 一方……“ア=ズライグ”は……。


「申せ」

「ハ、ハッ! “ベヘ=モト”はこの『常世の門』を目指している最中でございます」

「そうか」


 そう言うと、“崇高なる主”は空を見上げた。


「“ア=ズライグ”は?」


 やはり、言わない訳にはいかないか……。


「ハ……“ア=ズライグ”は、“白銀の四肢を持つ者”によって葬られたようです……」

「ほう?」


 “崇高なる主”の眼光が鋭くなる。

 その視線に、私は俯いたまま唇を噛んだ。


 そもそも、ただの“使徒”に蹂躙されるニンゲン共だ。

 本来であればあの“ア=ズライグ”が、ニンゲンがいくら束になってかかったところで、傷一つすらつけることはできない筈。


 だが……“ア=ズライグ”は倒されてしまった。

 それが、事実だ。


「フハハハハ! 面白い! 面白いではないか! 五百年の時を経て、ニンゲンは“戦術級使徒”を葬ることができる程の力をつけたか!」


 “崇高なる主”は嬉しそうに高らかに笑った。


「しゅ……主様?」

「ああいや、すまん。あまりにも嬉しくてな。それで、その“白銀の四肢を持つ者”とやらは?」

「イ、“イシュカ”からの報告によりますと、この島を既に出てしまったとのことです……」

「ふうむ……それは残念、であるな」


 “崇高なる主”は、がっかりした表情を浮かべ、肩を落とす。


「まあ、もうしばらくすれば大陸へと渡るのだから、その時の楽しみにしておくか」

「ハ……」


 私は“崇高なる主”に、改めて一礼する。


「うむ……では“ティティス”よ。引き続きアルビオニア島の制圧に取りかかるのだ」

「ハハッ!」

お読みいただき、ありがとうございました!


お陰様をもちまして、これにて「機械仕掛けの殲滅少女」は第一部完結です!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


今後は、チョコチョコと閑話を入れつつ、夏ごろを目途に第二部「人魔大戦」編を再開予定です!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ふおお、急展開、そして追い付いてしまいました! 続きもお待ちしております。
[良い点] 第一部!完! ようやく読みましたー! いや本当に、復讐譚が神話へと繋がる物語の舵取りに脱帽、頭ハゲ散らかしそうです! 第二部楽しみにしています。引き続き、ご自愛の中面白い物語を綴ってくだ…
[一言] 一部お疲れ様でした。二部も期待してます(*´ー`*) 頑張って下さい。
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