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表現と規制、その歴史

エロを賛美する人たち 正装(フォーマル)は全裸で (追記アリ)

作者:

 古代ギリシャ。

 最も格式の高い場所では、男性は全裸が正装(フォーマル)でした。女性は全裸ではないものの片乳を出すのがマナー。

 神の作りたもうた人体こそが、最も美しいもの、という倫理観でした。


 そもそも主神がエロエロです。そこら中の神々や人々とヤりまくりです。

 古代ギリシャは当時の文化の中心でした。 プラトン、ソクラテス、アリストテレスだの、ピタゴラス、アルキメデス、エラトステネスだの(~スばっかり)、歴史、哲学、数学、科学などの著名人が目白押し。テストに出ます。


 そうした文化で、裕福層は壁面いっぱいの半裸の美女に囲まれた、理想のオタク部屋にいたのでありました。

 古代ギリシャ。

 最も格式の高い場所、つまり神前では全裸が正装(フォーマル)でした。

 神の作りたもうた人体こそが、最も美しいもの、という倫理観でした。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


  そもそもギリシャ神話の主神ゼウスがエロエロです。嫉妬しっと深い妻ヘラの目を盗んで、そこら中の神々や人々とヤりまくりです。この辺の面白エピソードは、なろうの歴史系や、それをモデルにしたとおぼしきハイファン系にもあります。


 古代ギリシャは当時の文化の中心でした。 ヘロドトス、プラトン、ソクラテス、アリストテレスだの、ピタゴラス、アルキメデス、エラトステネス、ヒポクラテスだの(~スばっかり)、歴史、哲学、数学、科学、医学などの著名人が目白押し。テストに出ます。また当時ギリシャの影響下にあった、エジプトのアレキサンドリア図書館などが有名です。


 主神の神前に正装(フォーマル)人体(肉体)美を捧げる神事、すなわち、オリンピックです。


挿絵(By みてみん)

古代オリンピックの想像図


挿絵(By みてみん)

オリュンピアのゼウス神殿(復元図)


挿絵(By みてみん)

オリュンピアのゼウス神殿(現在)


 オリンピック(オリュンピア祭)は男神に捧げる男祭りで女人禁制でしたが、妻の女神に捧げる女祭りのヘーライア祭というのもありました。男性は全裸でしたが、女性は片乳を出すのがマナーです。


挿絵(By みてみん)

ギリシャの女性ランナー:ブロンズ(大英博物館)


 これを引き継いで、近代オリンピックの夏季五輪のメダルも片乳を出しています。


挿絵(By みてみん)

東京2020オリンピックメダル

https://tokyo2020.org/jp/games/medals/olympic-design/



 その後、古代ギリシャ文化は古代ローマに受け継がれます。


挿絵(By みてみん)

ローマの女性アスリート(ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ(カサーレ荘) シチリア)


”ローマ帝政時代の3〜4世紀に、大土地所有貴族が田園に建てた豪奢な別荘跡。大変贅をつくした建物で、特にほぼ全室の床を埋め尽くすモザイク画の質の高さと規模は古代ローマ時代最大ともいわれています。”

イタリア政府観光局

http://visitaly.jp/unesco/villa-romana-del-casale


 さすがに球技は当たるとイタイからか? 水着っぽい恰好です。どこぞの乳バレーゲームを彷彿とさせます。


 それにしても、”大変贅をつくした建物”にこんなモザイク画を造らせるなんてイイ趣味してますね。さしずめ、女性キャラのポスターや枕カバーを壁一面に貼り付けた、古代のオタク部屋と言ったところでしょうか。


 しかし、ある時にローマの国教がキリスト教になります。偶像崇拝を禁じた宗教は、異教の文化・宗教を弾圧・破壊(イコノクラスム)します。現代に残る古代ギリシャの彫刻に完全なものが少ないのは、この時破壊されたからです。ギリシャの神に捧げるオリンピックもなくなってしまいました。



 それから千数百年が経ち、古代ギリシャ・ローマの文化を復興(ルネサンス)する動きがおこります。

 厳密には、文芸、絵画、音楽、建築など様々な分野があり、ギリシャ・ローマ以外の異教の文化も含めるらしいのですが、私が連想するのは、美術史におけるルネサンス、ボッティチェッリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなどです。


 古代ギリシャ時代は「人間の裸体」がアリだったのですが、これらの作品を見ると、「神様(や聖人)だからエッチじゃないもん」という理屈で、キリスト教教義との整合性を取ったのではないかと思います。

 しかし後期には、それまで許されていた裸体画の局部を葉や腰布(ふんどし)で隠すよう上塗りしたり、画家がそう命じられたりしたのでした。


挿絵(By みてみん)

『最後の審判』ミケランジェロ・ブオナローティ (1534年 - 1541年)


挿絵(By みてみん)

 イエス「ちんちん隠されちゃった」

 マリア「服着せられれちゃった」


”ミケランジェロ『最後の審判』の腰布

 ダニエレはシスティーナ礼拝堂のミケランジェロ作のフレスコ画『最後の審判』に描かれた多くの性器や臀部を、外衣やイチジクの葉で覆い隠したことで悪評高い。この作業はトリエント公会議が宗教画の中のヌードを非難した直後の1565年に着手された。”


挿絵(By みてみん)

「楽園追放」 マサッチオ

 修復前 修復後

 描いた時はOKで、後年に葉が付け加えられ、さらにその後、近年OKになり、1980年代に修復されて原画に戻りました。


 アダム「ちんちん隠されちゃった」

 エバ「あそこ隠されちゃった」



挿絵(By みてみん)

「ダビデ像」ミケランジェロ


 ダビデは旧約聖書に出てくるイスラエルの民の英雄で、当然割礼(包茎手術)していたはずです。しかしダビデ像は、古代ギリシャ像のごとき包茎(皮かむり)〇んちんです。

 古代ギリシャでは、小さい包茎(皮かむり)〇んちんが良しとされ、デカい露出(ズルムケ)〇んちんは野蛮で非文明的とされていました。露出(ズルムケ)は恥なので、皮をひもで結んで隠していたそうです。

 この矛盾は、当時から現在までネタになっています。


挿絵(By みてみん)



 ただ、古代ギリシャの人体(肉体)美至上主義は、(当時の価値観で)イケメンや美人は何をしても許される、という弊害へいがいもあったようです。


 古代ギリシャ文化を受け継いだ古代ローマの風刺詩人、ユウェナリス(パンとサーカスで有名)は「健全なる精神は健全なる身体に宿る、ように神に願え」(現実はそうとは限らない)という風刺詩を残しています。

 この詩は、ナチスによって文脈を無視して「健全なる精神は健全なる身体に宿る」と改ざんされ、同盟を結んでいた大日本帝国陸軍にも導入されます。昭和まで一部に残っていました。令和でも言ってる人がいたらナチスの残党です。



コラム

 全くどうでもいいことですが、ユダヤ教とキリスト教の違いに、割礼(包茎手術)の扱いがあります。ユダヤ教の戒律の「姦淫してはならない」が、キリスト教で「エロいこと考えるだけでアウト」になったというのは有名ではないかと思いますが、逆パターンで「キリストを信じるなら、心の中で割礼(包茎手術)したと考える者は、すでに割礼(包茎手術)をしたのである」という教えがあります。つまり実際に割礼(包茎手術)しなくていいおかげで、ローマ人に広まったでは、という説があります。


 さらにどうでもいいことですが、wikipedia英語版によると(モロ注意) 「割礼(包茎手術)しないとガンになる」 vs 「皮はちんちんの保護」で、信仰をかけた? 医学論文バトルがあったようです。見る限り後者が優勢で、WHO(世界保健機関)もそちらに軍配を上げてるようです。宗教的理由もないのに露出(ズルムケ)が良しとするのは、日本だけのようです。諸外国では、信仰が変わった時に、わざわざ再生手術する例もあるとか。




参考・出典

 特記のないものは wikipedia

”オリュンピアで行われるオリュンピア祭は、ギリシアにおける四大競技大祭のうちの一つであった。これらの四つの競技大会は以下の通りである。


 オリュンピア大祭:開催地オリュンピア 4年に1度開催 祭神:ゼウス

 ネメアー大祭:開催地ネメアー 2年に1度開催 祭神:ゼウス

 イストモス大祭:開催地イストモス(現・イストミア) 2年に1度開催 祭神:ポセイドン

 ピューティア大祭:開催地デルポイ 4年に1度開催 祭神:アポロン

 これら4つの競技大祭のうち、大神であるゼウスに捧げられるオリュンピア祭が最も盛大に行われた。


 ゼウスが男神であることから、オリュンピア祭は女人禁制であった。そして奉納競技において競技者が裸体となることが関係していたとも考えられる。ポリスの日常生活にかかせない体育競技場においては、男性であっても競技を行わず衣服をまとって入場することがはばかられたほどであった。ただし、戦車競走では御者ではなく馬の持ち主が表彰されたので、女性が表彰された例はわずかにある。


 しかし、女子競技の部ともいうべきヘーライアという祭りが行われていた時代もある。これは名のとおりゼウスの妃ヘーラーに捧げる祭りで、オリュンピア祭と重ならない年に行われていた女子のみの祭典となっている。競技は短距離走のみで、右胸をはだけた着衣で行われたと当時を伝える像から考えられており、現在の夏季五輪のメダルに浮き彫りにされた勝利の女神はこれを着用している。”


 ”古代ギリシャ人はフォーマルな場所に全裸で出る時、亀頭が露出していると恥なので、わざわざ皮を紐で結び上げて隠す!フォーマルな場所では亀頭はしまう!これが古代ギリシャのドレスコードだ!! ”

 https://togetter.com/li/1174371


 ”「汝自身を知れ」(哲学者ソクラテス)という教科書に載っているレベルの名言が乱発されたかと思えば、「夏にするセックスは有害。春と秋のセックスも危ない。冬にするのが一番安全だが、ぶっちゃけ年間を通してセックスは健康に良くない」(哲学者ピタゴラス)。あるいは「セックスは健康にいい」(医術の父ヒポクラテス)という、どっちだよ!というものまで。”


 ついでに、聖書では国ごと滅ぼす程の大罪ソドムとゴモラである同性愛 ┌(┌^o^)┐ホモォ に関する話題も。


 ”2.「僕はソクラテスと一緒に一夜を共に寝て明かしたが、彼ときたら朝まで一切僕に手を出さなかったのだ!」


  アテナイきっての美青年アルキビアデスの台詞。古代ギリシアでは同性愛は嗜みや教育の一環であると考えられていました。法律で同性愛が義務付けられていた都市もあったくらいです。


 自らの美しさに自信があったアルキビアデスは、哲学者ソクラテスに「僕を愛する資格のある人はあなただけだ」(なんて自信満々の台詞だ!私も言ってみたいぞ!)と言って布団にもぐりこんで抱きしめて誘惑します。


 しかしここまでされてもソクラテスは朝まで一切手を出さずに過ごしたのでした。これは肉体の誘惑に負けない哲学者ソクラテスの忍耐強さと思慮深さをと表現したエピソードです。”

 古代ギリシア研究家・藤村シシンさんによる「古代ギリシア探索」第3回 – UBIBLOG https://ubiblog-jp.com/2018/09/21/acod_sisin_fujimura_3/


 万葉集だか百人一首だか、似たような話があった気がします。女性から男性へだったと思いますが。


藤村シシン

 自己紹介(著者ブログ)

 ”古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。

 高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。

 著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。 NHKカルチャー講座講師。平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 古代ギリシャナイト主催。 など。”


著者紹介 amazon (「BOOK著者紹介情報」)

 ”作家、古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。1984年生まれ。東京女子大学大学院博士前期課程修了、史学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)”


 きっかけは「聖闘士星矢」 ギリシャ神話に人生捧げる藤村シシンさん

 https://withnews.jp/article/f0160424001qq000000000000000W02o10101qq000013160A

 ”アニメ「聖闘士星矢」がきっかけでギリシャ神話に人生を捧げようと決心した、古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家の藤村シシンさん。”


 東京女子大学と大学院で古代ギリシャ史を研究し、ギリシャ神話の特徴である「英雄」についての修士論文を執筆。アカデミックな知識に裏打ちされた、わかりやすい語り口が人気を集めています。


 藤村さんがギリシャ神話と出会ったのは、高校3年生のとき。友達が貸してくれたアニメ「聖闘士星矢」のビデオを観て「少年漫画の情熱的な感じが、当時の私からするととてもまぶしくて、熱中した」ことが始まりでした。そして、物語のモチーフとなっているギリシャ神話にも興味を持つようになります。”


 とりあえずマジモンの研究者(アレなオタク)であることはわかりました。


”ナチス・ドイツを始めとする各国はスローガンとして「健全なる精神は健全なる身体に」を掲げ、さも身体を鍛えることによってのみ健全な精神が得られるかのような言葉へ恣意的に改竄しながら、軍国主義を推し進めた。その結果、本来の意味は忘れ去られ、戦後教育などでも誤った意味で広まることとなった。このような誤用に基づいたスローガンは現在でも世界各国の軍隊やスポーツ業界を始めとする体育会系分野において深く根付いている。”


「ローマ諷刺詩集」岩波書店 著者 ペルシウス, ユウェナーリス作 国原吉之助訳

 ”「諷刺詩」と訳される「サトゥラ」はもともと「ごた混ぜ」「寄せ集め」を意味したとされる。エンニウス、ルーキーリウス、ホラーティウスを経て、ペルシウス(34‐62)とユウェナーリス(67頃?‐138頃?)によって、このラテン文学固有のジャンルは豊かな結実を見た。ローマ帝政期・白銀時代の二大諷刺詩集を1冊に集成。”

 - amazon (「BOOK」データベースより)


「国原吉之助」って誰? と調べると

 ”国原 吉之助(國原 吉之助、くにはら きちのすけ)は、日本の言語学者、西洋古典学者。名古屋大学名誉教授。専門はラテン語とラテン文学で、多数の原典史書を訳し専門辞書の編纂を行った。”


 とあります。他の著作を見ても


 ”年代記〈上〉ティベリウス帝からネロ帝へ (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1981/3/16

 タキトゥス (著), Cornelius Tacitus (原著), 国原 吉之助 (翻訳)

 内容(「BOOK」データベースより)

『年代記』はローマ帝国初代の皇帝アウグストゥスの死(紀元14年)から筆をおこし、以下ティベリウス帝からネロ帝の死(68年)に至る4代55年の治世を物語る。人間の本性に肉迫してやまぬ洞察力、類まれな描写力。―この史書をひもとく者は、あたかも一篇の秀抜な歴史小説に接するかのごとき感を深くする。”


 コレはコレで読みたくなりますが、とりあえずまっとうな研究者ぽい人だとわかったところで良しとします。


旧約(ヘブライ語)聖書 出エジプト 新改訳2017

”20:4 あなたは自分のために偶像を造ってはならない。上の天にあるものでも、下の地にあるものでも、地の下の水の中にあるものでも、いかなる形をも造ってはならない。5 それらを拝んではならない。それらに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたみの神。わたしを憎む者には父のとがを子にむくい、三代、四代にまで及ぼし、6 わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、恵みを千代にまで施すからである。”


 偶像崇拝だけでなく、偶像そのものがダメらしい。普通に読むと、オタフィギュアはもちろん、ぬいぐるみやリンゴうさぎ、タコウインナーもアウトに思えます。


「紐が見えるようにナニを隠すのが面倒だった」

「ダビデ像のナニを隠したら皮の状態が分からないよ」


「ブロンズ像やオリンピックメダルはR18なの? 念のためティクビは隠したが」

「さァ。どこでいちゃもんつけられるか意味不明ラシイので」

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本当はヤバイ旧約聖書 どう見ても邪神です


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