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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第二章     アビス
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第三十話     決戦5

「ついたぞ」


そう言うと葉風はぐらりと体を揺らす。


アビスから少し離れた場所に転移した俺達は遠くから敵を見る。


「ありがとう葉風、俺は今から雪菜の救出に向かう。 成功したら安全な場所まで非難する、そしたらまた頼む」


俺は気に手をかけ走りだす準備をする。


「待て集」


走りだす直前葉風に止められる。


「どうしたんだよ?」


「なぜ君は無能力者でありながら死地に向かおうとするんだ」


死地、どう考えても迎えば最悪の状況でしか無いはずなのにそれでも集はその場所に向かおうとする。


「雪菜は俺のパートナーだからさ」


集は優しく葉風に言葉を返す。


「そうか」


葉風は短くそう返した。


そして集はアビスの群れに飛び込んでいった。





集は全速力でアビスの群の中を走る。


他のアビスは気付き集に襲い掛かる。 だが集はそれを全て躱し走り続ける。


「あの状態だと雪菜が危ない。 間に合わなきゃ終わってしまう」


雪菜がいたのはアビスの群のど真ん中、だがアビスの群れは真ん中に居たブレアを避けるようにいる。


「一直線にブレアまで突っ走る」


集は全速力でブレアまで走っていく。 そして擬似アーツを展開し人型のアビスを斬り裂いていく。


「そこをどけぇぇぇぇぇぇえ!!」


集は今ある全力でアビスを斬り倒しそしてブレアの前までたどり着く。


「あ?」


ブレアと視線が合う。


「その腕を離せクソやろう」


集はブレアを睨む。


「俺がコイツの顔面をぶっ飛ばすまでまってろよ」


そしてブレアの腕の光が強く輝きだす。


「やらせるかよ!」


集はブレアに飛び込んで行く。


(ブレアの右腕は今雪菜を掴んでいる今がチャンスだ)


雪菜を掴んでる右腕目掛けて擬似アーツを振り下ろした。


砕け散る音、バラバラと砕けるそれを見る。 だが砕けたのは集の擬似アーツ。


ブレアはその場から全く動くことすらしていなかった。


「お前本当に人間か?」


ブレアは不思議そうな表情をする。


ただブレアの中にあったのは疑問、疑問、疑問。


心力の全くない人間が存在することに、勝てるはずのない相手に向かって剣を振ることに、そしてなによりブレアが感じてしまったこと。


(何だコイツは……。 俺が恐怖しているだど)


ブレアは動かなかったのではない。 


動けなかったのだ。


「その手を離せよ」


集にはもう武器など何もない。


だが集はブレアを倒すこと以外考えていなかった。


「テメーは後だ、先にコイツを始末する」


ブレアの手の光が輝きを増す。


「ヘルブラッ!!」


ブレアが必殺の一撃を放とうとする。 だがその攻撃を途中で中断してしまった。


手からは光が失われヘルブラストをキャンセルした。


そしてブレアは雪菜をゴミを捨てるように放り投げる。


もうブレアに雪菜を殺そうとする意思はない。


それよりもブレアに向けられた殺意がブレアの行動を停止させた。

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