第十二話 自分にできること
「解像度が低いのは申し訳ありません、人の様な何かと言った方が間違いないですね」
「蓮、とりあえずこれが生存者と仮定して、この人影を捜索する方向でいいか?」
「人命が第一優先事項だ、この方向で行こう、場所はどこだ?」
「この施設を北に進んだ、森を抜けた場所で撮影している、とりあえず此処を目指そう、デバイスに位置情報は送っておく」
葉風は白衣のポケットからデバイスを出し画面を操作する。
「この世界でデバイスは使えるのか?」
俺はふと疑問に思った、元の世界なら電波がなければ基本的な操作はできるが、連絡などはできない。
「デバイスに特別なチップを埋め込めばこの世界でも連絡は取れるのですよ。集さんのデバイスにも埋め込みますので貸していただけますか?」
俺は才人に自分のデバイスを渡す、才人はブレザーの内ポケットから小さなチップを取り出し、俺のデバイスに近づける。すると才人の手元が光る、いつのまにか俺のデバイスだけになっていた。
「終わりました、デバイスは返しますね」
「もうこれで終わったのか?」
「終わりましたよ」
俺は才人からデバイスを受け取る。すると画面にはマップアプリが起動していた。
「デバイスに表示してある場所が目的の場所になる、今回は誰が向かう?」
葉風が自分のデバイスを操作し画面には出動者一覧と表示されていた。
「まっもちろん俺は出るぞ」
蓮は自分のデバイスを操作する、すると画面には橘蓮が一覧に表示された。
「俺も出る」
「私も」
画面には喜馬雅人、柊木雪菜の名前が表示された。
「今回は三人にで向かおう」
蓮はみんなのデバイスの操作を中断させる。
「残りはここの万一の防衛を任せるぜ」
「「「「了解」」」」
部屋にいた待機者の全員が返事をした。
「俺はどうすればいいんだ?」
この中でどこの班にも属していない俺はただこの会議に参加しただけで、これからどうすればいいかわからない。
「集のことは雪菜に一任してるから雪菜に聞いてくれ、探索に出る者は三十分後入り口に集合」
そう言って蓮は部屋から出て行った。それに続き雪菜以外の全員が出て行く、そして俺と雪菜だけが校長室に残った。
「集くんはどうする? 一応私に集くんの事は一任されてるけど、探索は本当に危険だから、外に出るのはあまりお勧めしないよ?」
アビスという存在は見境なしに人を襲う、その中を何の武器も持たないまま飛び込むなんて事は自殺行為に等しい。
「擬似アーツなんかはあったりするのか?」
俺にとって武器として言えるのは擬似アーツしかない、この世界での擬似アーツの有無は重要になる。
「あるにはあるけど、専門家が作ってるわけじゃないから保証はできないよ?」
雪菜は校長室にある棚の引き出しを開け、擬似アーツを取り出した。俺は擬似アーツを受け取る。ズシンと重さを感じる、この擬似アーツは阿知賀さんが作ったものでは無いのだろう。俺が以前使わせてもらった擬似アーツはもっと軽かった。多分この擬似アーツは昔ここにいた人が、元の世界から持ってきたか、ここで作った物だろう。
「とりあえず護身用として貰っとくよ、俺も雪菜について行きたいけど、俺がいると足手まといになるかもしれない、だから今回は辞めておくよ」
俺は貰った擬似アーツをベルトの間に挟む。
「わかった、なら私は準備して向かうよ」
「ああ、行ってらっしゃい。気をつけて」
俺は小さく手を振る。
「行ってきます」
雪菜も俺に応える様に手を小さく振り雪菜も校長室から出て行った。
雪菜を見送った後俺は校長室に隣接している部屋の扉をノックする。




