第六話 雅人と香澄
「アイツら何であんな全力で戦うんだ?アイツらメチャクチャ強いだろ?」
二人は戦いながらもお互いを高め合うと言う戦いかたではなく、早く強くなりたいという気持ちが伝わってくる。焦りや必死さ、そんな感覚を受ける。
「集くんも見たはずだよ、アビスの存在を。私達の力が届かない存在だっているはず、その時自分の力が届かない時、死ぬのは自分だけじゃ無いからね」
俺は言葉が出なかった。戦闘向けの能力者は生存者の捜索をし、戦闘抜けで無い能力者は戦闘向けの能力者の補助を、そうしてここにいる学生達は生活しているのだ。だが戦闘向けの能力者が死ねば、戦闘向けで無い能力者はもう二度と元の世界に戻る事は出来なくなる。だからここで雪菜が使った『死ぬのは自分だけじゃ無い』の言葉の意味はその全てを含めた事なのだろう。
「雪菜も特訓してるのか?」
「私もしてるよ、昨日はあの二人に協力してもらってたしね。 二人とも〜練習してるとこゴメンね、紹介したい人がいるの〜」
雪菜は訓練施設内に響く様な大きな声で叫んだ、それを聞いた二人は戦いを止めこっちに歩いてくる。
「雪菜じゃないか、いきなり彼氏の紹介とはやるな〜」
女の子は雪菜の横につき肘で雪菜の横腹を小突く。
「違う違う」
雪菜に即否定されてしまった。まあ付き合ってはいないが即否定されるのは辛い。
「俺は高坂集よろしく」
「私は椎名香澄だ、よろしく」
椎名さんは俺に手をさしだし俺もそれにこたえ握手する。
「俺は喜馬雅人、よろしくな」
「こちらこそよろしく」
喜馬さんとも握手しする、喜馬くんは見た目は少し怖いが、発せられる声からはそんな事は感じず、どっちかというとフレンドリーな感じだ。
「喜馬さん?はここに来てどれくらいなんですか?」
喜馬さんの年齢がわからずとりあえず敬語で話してみることにした。
「あ〜、年齢言うのまだだったな。俺とコイツは17歳高二だ、それと俺達二人とも四ヶ月前にここに来た」
喜馬さんは椎名さんを親指で指す。この二人も俺と同じ歳だった。
「人を指で刺すな」
香澄は自分のアーツで雅人の足を刺した。
「痛って〜な香澄!! 何すんだよ」
「雅人が私を指差すからだ」
痴話喧嘩の様な会話が始まる。
「あの二人仲良いんだな」
俺は冗談まじりに雪菜にささやく。それを聞いていた二人が反応した。
「「仲良く無い!!」」
「二人とも息ピッタリじゃん」
「そういえば、お前の年齢聞いてなかったな」
俺がそう呟いた瞬間、雅人が俺の首元に腕を回してきた。
「俺は喜馬さんと同じ17歳だよ」
そう言った途端首に回された腕はキツくなる。
「俺と同じ年齢じゃねーか、呼び捨てで構わないぜ集。これから長い付き合いになりそうだな」
「了解、雅人」
前言撤回する、やっぱり雅人は怖い。




