第五話 二人の能力者
「私だって戦えるわけじゃないから安心して、何よりも私達は今を生きる事を最優先にしなくちゃいけないからね」
葉風がリモコンを操作し、スクリーンは元の場所に戻る。
「あとはこの世界のことだが、確実ではないけどこの世界と元いた世界は流れてる時間の流れが違う」
「流れが違う?」
この世界と元いた世界の時間の流れが違うとはどう言うことなのだろう。
「雪菜と集は知り合いだったな」
「そうだよ」
「雪菜がここに来てどれくらい経つ?」
「大体三ヶ月くらいかな?」
「三ヶ月!!」
俺は驚いた、俺が知る限り雪菜が行方不明になってからまだ一週間しかったていないはずだ。
「今の驚きが答えってことだな、集、元の世界で雪菜が行方不明になってからどれくらい経つ?」
「まだ一週間なはずだ」
「この世界は元の世界の約十倍のスピードで時間が進んでいるんだよ」
葉風がデジタルの時計を取り出した、目覚まし時計の様な形の時計は日経つの日付と二つの時間が表示されていた。
「だけど私達の体はその時間で進んだとしても老いたりしないんだ、と言うよりこの世界の時間は止まっているのと同じ何だよ」
時計の針は確かに進んでいる、だがその針が表すのはこの世界の時間ではなく元の世界との差なのだろうか。
「これも全部前任者が調べてくれていたことなんだけどな」
「そうなのか?」
「俺たちだけでわかった情報はほとんど無いんだ、だから俺達が此処を見つけられた事はほとんど奇跡なんだ」
蓮は立ち上がる。
「俺たちが説明できるのは此処までだな、後は中を案内するよ、まっ大体は学園と同じ感じだから。雪菜後は頼めるか」
「了解」
雪菜も立ち上がる。俺もそれに合わせて立ち上がり校長室からでた。校長室から出たところで蓮とは別れ、俺は雪菜に学園を案内してもらう。
「大まかな構造はわかったかな?」
「ありがとう、大体はわかったよ」
学園の中を案内されている中で、この地下施設にいる生存者達にも挨拶できた。雪菜にこの地下施設を案内してもらい、残るは訓練場の一室だけとなった。
「ここは学園で言う訓練施設みたいなところかな」
俺達が通う学園の訓練施設の扉に似ている、その中を覗こうと扉に手をかけた、だがその時、中から大きな音と扉越しでもわかる振動が響く。
「雪菜、これ中で何してんだ?」
俺は顔がひきつりながら雪菜に尋ねた。扉が薄いからといってここまでの音と振動が来るとは思えない。
「中に入ってみればわかるよ」
雪菜は俺の手を引き、訓練施設の中に入った。
施設内に入った瞬間、体に響く様な衝撃が襲う。衝撃に発生源を見てみるとそこには槍のアーツを持ったポニーテールの女の子と黒いグローブ型のアーツを着けた短髪の男が戦っていた。お互いのアーツがぶつかり合うたびに衝撃は発生し、金属がぶつかり合うキーンと言う音を発生させていた。
「アイツらあんな全力で戦って大丈夫なのか?」
俺たちが生活していたエデンではエデン全体に広がるセーフティーダメージと呼ばれる装置が存在し、アーツやトランス能力で受けたダメージを最小限に抑えてくれる、アーツ自体にも体に傷が残らない、心にダメージを与えるだけとなかなかに都合の良い機能が付いているが、ここでセーフティーダメージが存在しなければ、力加減を誤り全力の攻撃を受ければ最悪、数日目覚めないなんて事もある。
「大丈夫だよ、この施設だけだけどセーフティーは機能は動いてるから間違えても気を失うほどのダメージにはならないはずだよ」




