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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
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第六十二話     集の力

俺は工場の入り口に身を潜める。中で何が起きているのかを確認する。


すると中から道長の声が聞こえた。


「こいつらには恥かかせられたからな、存分に楽しませてもらうぜ。 お楽しみが終わったらあの無能に写真でも送りつけてやるさ」


道長の声が聞こえ中を覗いた。


「さてと、んじゃ始めますか」


その声と同時に道長が雪菜にまたがり手を伸ばす。今から始まろうとしている最悪を見ている誰もが予想できる。工場にいた誰も道長の行為を止めようとせず、誰もが顔をニヤつかせていた。


それを見た瞬間俺の中の何かが弾けた。


「雪菜に触るんじゃねーーーーーー!!」


俺はたまらず大声をあげる。工場の中にいた全員の視線が俺に集中する。道長を含め八人程。


「おいおい、本人がここに来てくれるなんてちょうどいいじゃねーか、今からお楽しみなんだ見てけよ無能」


道長が雪菜に触れる、その瞬間俺はベルトに挟んである擬似アーツを取り出す、そして道長向け走り出す。


「いきなり頭は取れないでしょ。 第一位階アクセス」


模擬戦でも戦った樋口が俺の前に現れた。槍のアーツを構え俺に向け一撃を放つ。だが俺にはもう道長しか見えていなかった。そして俺は意識せず無の世界に入っていた。


グラトニー無しで無の世界に入る。こんな事は初めてだが今そこを考えている余裕がなかった。ただ目の前の敵を倒すただそれだけしか頭にはなかった。


俺に向け放たれた槍を俺は避け樋口を斬り伏せる。ドサっという音を鳴らし樋口は地面に倒れた。模擬試合の時はグラトニーアリで何とか勝つことができた。第二位階になっていないにしても樋口はあっさりと俺に倒されてしまう。


「樋口やられてんじゃねーよ、テメーらさっさと無能如き叩きのめせよ」


道長は残りの連中に指示する。だが誰も道長の指示に従わない。従えないのだ、俺が無の世界に入った瞬間ここにいる道長以外の連中は悟った。集には勝てないということを。それほどまでに集の怒りは限界を超え無の世界に深く入り込んでいた。


道長以外の連中は一歩も動くことなく集に倒される。


「テメー何した?」


道長は雪菜から離れ、俺の方を向く。


「第二位階アクセス」


道長は第一位階を飛ばし第二位階にアクセスした。そして間髪入れずに空中に岩を出現させ攻撃を仕掛けてくる。


俺は擬似アーツで斬り落とすのでは無くギリギリのところで全て避ける。同時に出現した岩は合計で7つ、そのすべては前の模擬試合で見た時と同様に間隔を開け一つ一つ放たれていく。


その全てを避けきり道長に剣が当たる距離まで近づく。


「終わりだ道長」


俺はアーツで道長の体を斬り裂さく、だが俺のアーツは道長には当たらず、道長の足元から現れた岩の壁に阻まれてしまう。


「毎回同じ攻撃が通じると思うな」


そして道長は地面に手を突いた。


(ヤバイ心技が来る!)


「岩流波!!」


俺は岩の波に呑まれそうになるが、バックステップで大きく後ろに下がり岩の波を避ける。


周りに倒れていた道長の仲間は道長の心技に巻き込まれてしまう。


(仲間だろうが関係ないのかアイツは)


いつまでも迫ってくる岩の波を避け続けるが俺は工場の壁が近づいていたことに気づかず壁側まで来てしまった。


(マズイ!!)


「終わりだ無能」


そして俺は道長の心技に飲み込まれ、工場の壁に貼り付けにされてしまう。


体は道長の心技で拘束され身動きが取れない。


「よくここまでやってくれたもんだぜ、俺の仲間がボロボロじゃねーか」


道長は岩の波に巻き込まれた仲間を見て俺に言う。


「心技で巻き込んどいてよく言うぜ、仲間を何だと思ってやがる」


俺はほぼ全身を拘束されて身動き一つ取れないでいた。動こうとしても能力でもない俺では岩はびくとも動かない。


「大切な仲間に決まってるだろ、ただ今回は邪魔でしかなかっただけさ、まあいい今からお前にいいもん見せてやるよ」


道長は俺に背を向け歩き出す、向かった先は雪菜のいるところだった。


「なにする気だテメー!!」


「何する? そん何一つに決まってんだろが」


道長は雪菜の制服の胸元を大きく破り裂いた。雪菜の胸元は現になり、下着が見えてしまうほど服は大きく開かれる。


「なかなか胸あんじゃねーか、こりゃ楽しめそうだわ」


道長は雪菜の胸元に手を伸ばす。


(ただ見てることしか出来ないのか、大切な人が襲われてもなにも出来ないのか)


俺は拳を痛いくらいに握りしめる。無能力者でもない俺では何もできない。そんな現実を叩きつけられてしまう。 だけど…


「諦めてたまるか……」

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