表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
60/151

第五十九話    報酬の使い方

 俺の過去を雪菜に一通り話し終えた後雪菜は優しい声色で俺に言葉を返す。


「頑張ってきたんだね今まで」


「そんなこと無いさ、一番頑張ったのは静流だからな」


 静流は生まれてきて今まで一緒にいた家族が亡くなりそれからは小さいながらに家事を身につけようと祖母の手伝いをしていた。


 地元ではちっさいお母さんなんて呼ばれるほど、家の家事を中心に頑張ってくれていた。


「頑張り屋さんなんだね」


「俺がエデンに行くことになった時も一番心配してくれてたからな」


 エデンに向かう寸前までずっと俺の手を握ってくれていた。


 多分また両親のように俺が出て行ったっきり帰ってこないと思ったからだろう。


「妹さんには今回の試合のことは話したの?」


「離せてないな、こんな何回もぶっ倒れてること知られたら何を言われるやら」


 俺のことを一番に心配してくれている静流は俺が倒れたなんて聞いたら、エデンまで駆けつけてくるに違いない。


「一度話してみたいな集くんの妹さん」


「俺以外の人にはいい顔するからな〜」


 俺たちは笑いながら話続けた、その後も他愛のない話を。


 それから数日後俺は退院することができ、いつも通りの日常を送れるほど回復していた。


(いつもどおりの生活が送れるってのは幸せなことだな)


 そんなことを考えることが最近は多くなった。自分の体が自由に動かないことの不自由さを知ることができるいい機会だったのかもしれない。


 そんなことを考えながらいつもどおり学園へ行く準備をし家を出た。俺が模擬試合で倒れてからはじめての登校になる。


(なんか緊張するな〜)


 久しぶりの学園で俺は少し緊張していた。毎日通っている学園を数日休んだだけで、いつもの自分の居場所では無くなっているような感覚。


 もう5月も下旬にもなり新しいクラスのグループは出来上がっていた。もともと友達の少ない俺は真也と日向しか友達がいなかったから今更他の連中と関わろうとは思わない。


「久しぶりの学園はどうだね集殿」


 教室に入るなりいつもの少しふざけた声が聞こえてきた。


「久しぶりって言っても一週間ぶりだけどな」


「集、あんな盛大な勝ち方した割には誰も騒いとか逆に寂しくないか?」


 どこからか日向が現れ会話に参加していた。


「騒がなくて当然だろ、そこで盛り上がると道長に目をつけられかねないしな」


 俺たちFクラスは他クラスの中でも最下位のクラスだ、だからあまり騒ぎすぎると他クラスの連中がいい顔をしない。


「皆んな内心は喜んでるんだぜ、だけどなかなか声かけづらいとかそんなんだからあまり気にすんなよ」


 バンと日向が背中を叩く、それが本当なら少し嬉しくおもう。一年の頃から俺は無能力者としてクラス……いや学園の皆んなからいい顔をされなかった。このエデンに入学出来るだけあってFクラスといっても本島の能力者達よりもはるかに心力は高い。そんな中で俺は無能力者で入学したとなれば誰もいい顔をしないだろう。


「それが本当なら少しは励みになるな」


「でも集の擬似アーツ壊れちまっただろ? 何だっけあの黒いやつ」


「グラトニーな」


「そうそうグラトニー、てか擬似アーツに名前つけるとか今さらだけど笑えるな」


 日向がケラケラと笑い出す。確かに擬似アーツに名前をつけてるやつなんて俺くらいだろう。まあ阿知賀さんが付けたんだけど。


「うるせーよ」


 日向の額にデコピンをかましてやる。


「それはさておきおめっとさん集」


「おめでとさん」


 日向と真也が俺の模擬試合での勝利を祝ってくれた。今までこんな経験してこなかったからすごく嬉しくなった。


「ありがとな」


 俺は簡単にお礼を返した。内心めちゃくちゃ嬉しかった、だけどそれを態度に出すと二人にいじられそうで、表に出そうな感情をぐっと押さえた。


「で、日向もそうだけど勝者の特典はいつ使うんだ?」


 模擬試合3戦連続勝利者に与えられる特典、この学園最強にして第三学区第七位の三年の三井 拳晴に序列をかけた試合を申し込める。もし三井先輩勝つ事ができれば第三学区の第七位になる事ができる。


「あたしはもう少し先かな、万全の状態で試合を挑むぜ」


「俺は多分使わないと思う、流石に勝てる相手じゃないしな」


 グラトニーがまだ使えたとしても、この学園最強には勝てる気がしない。


「そういえば日向が三井先輩に挑んだら、風音はどうするんだ?」


 今回は二人ペアでの試合だったため勝利した特典が三井先輩に挑戦できると言う権利だともし先に誰かが倒してしまった時に、挑戦権が効果を失ってしまう。だからそれからのことはどういうふうに使われるのか詳しく知らなかった。


「あれな、聞いたけど、もし仮に先に挑戦者が倒した場合は救済処置として次期第七位に挑戦するか、この学園の副代表の水戸部先輩に挑戦できるらしい」


 水戸部先輩はこの学園の副代表にして第三学区第十一位の座についている。その水戸部先輩に挑戦できるとなれば勝てさえすれば第三学区第十一位まで昇格することができる。


「そんな救済処置があったのか、なら拳晴先輩に挑むのは日向で水戸部先輩に挑むのは風音って事か」


 真也は当たり前のように話す。真也の中に日向が拳晴先輩に勝った場合、風音が日向に挑むなんて事考えないらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ