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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
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第五話 悪意の矛先

 今日の授業が終わり放課後になった。


「今からAクラスにペンダントの女の子探してくるよ。そんじゃまたな」


 玲奈と真也にペンダントの持ち主を探しに行くことを伝え軽く帰りの挨拶しておく。


 一応Aクラスの生徒にペンダントを落とした女の子の名前だけでも聞いておいた方がいいと思いAクラスに向かった。


 俺たちのFクラスがあるのはB棟の1階、目的のAクラスがあるのはB棟の2階になる。階を一つ上がり突き当たりにAクラスがある。


 そこにはいつもの俺たちのクラスの雰囲気と違い、少し落ち着いた雰囲気を漂わせている。特別何か違いがあるわけではないが、成績優秀者が多いこともあり笑い声などが比較的少ない気がした。


 Aクラスにたどり着き、俺は入り口で話しているAクラスの女の子のグループに話しかける。


「あのさ、このクラスでペンダントを落としたって女の子いないかな?」


  自分が覚えている情報を女の子たちに伝え、ペンダントの持ち主のかと思われる柊 雪菜の情報の収集を開始した。


「ペンダント落としたって話は聞いてないけど、見た目とかそういう情報はないの?」


 女の子たちは俺の話を聞いてくれた。


 無能力者で有名な俺を邪険に扱う生徒は少なくはないが、こうして協力してくれる生徒がいることだけでも少し嬉しく思えた。


「長い黒髪の身長は155センチくらいの女の子なんだけど知らないかな?」


 俺がその話を聞くと、女の子はすぐ思い浮かんだような表情を見せた。


「黒髪ロングで身長もそれくらいなら柊さんだよ! 可愛いなら間違いないよ! だけど今日は休みだよ」


 〈黒髪で可愛いといえばこの子〉、というほどにすぐに名前を聞き出すことができた。


 真也から話を聞いていた通り柊 雪菜で間違い無いのだろう。


 真也が言っていた時は教室にはいなかったらしいが、今日は珍しく休みらしい。


 情報収集をしていると後ろから声をかけられる。


「あっれ〜。Fクラスの無能くんがこんなところで何をしているのかな?」


 挑発的な言葉を放って来るのはBクラスから出てきた男連中。BクラスはAクラスの真横にあるためちょっかいをかけられた。耳にピアスを開けており見た目からして不良の類だろう。


 無能力者の俺はある意味では有名なためこうしたことがたまにある。


「いちゃわるいのかよ」


 好戦的な視線を男に向けるが、AクラスとBクラスの前ということもあり場が悪かった。


「ああ悪いね、お前が居ていい場所じゃねーよ」


 男の意地悪な発言は周りに感染する。


 こういうことは場違いな人間がいれば周りもそれを敵視するようになる。今の場合は俺が場違いに当たるため、空気が悪くなる。


 さっきまで話をしていた女の子はいつのまにかいなくなっており、俺は一人きりになっていた。


 俺は男が階段側の廊下にいるため横を通りぬなければならない。


「悪いけど道開けてくんないかな。通れないんだけど」


 わざと道を塞いでくる。力ずくで通ろうとすればそれだけで暴行されたとか言われかねないため道を開けるように連中に言うしかなかった。


「無能が逃げたいらしいは、道開けてやれ」


「いいん長道? なんもせんくて」


 リーダーと思われる男の名は長道らしい。長道が周りにいる男たちに道をゆずるよう指示した。


 長道の挑発的な態度は目に見えてわかるが、俺はこのペンダントの持ち主がこのクラスの女の子かは、自分の目で確かめなければ分からないため、誰かに託すことができなかった。


 またこのクラスに来なければならないと思うと少し憂鬱になるが、このペンダントを拾ったからには最後まで事の顛末を見届けなければならないと思ったのだった。


(月曜日にまた見にくるか)


 俺はペンダントをポケットにしまい自分の教室に戻ることにした。そして教室に着くなりまだ残っていた玲奈と真也が近ずいてくる。


「集、お前Aクラスでなんかやらかしたらしいな」


 真也はAクラスでの話を聞いたのか面白そうにしていた。


「Fクラスの生徒がAクラスの前でで喧嘩してるって話題になってたぞ。なんかあってからじゃ遅いんだ、あまり無茶はすんなよな」


 玲奈は少し心配そうな顔をしていた。


「悪かったよ。おれもあんな喧嘩みたいなことになるとは思わなかったんだよ。」


 長道にさえ絡まれなければ特に問題もなく情報を聞き出せたのはいいが、少し失敗したみたいだ。

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