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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
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第四十二話   第二位階

「お嬢様今すぐ助けに行きます!!」


 風音は敵を相手にせず、日向を助ける為に何度も距離を縮めようとするが、その度に鞭で吹き飛ばされる。


「ほんと……。 私を無視するなんて上等じゃない!!」


 鞭使いから放たれた鞭は風音の足に鞭が絡みつく、そして鞭使いが大きく鞭を振り上げる。そのまま風音は空中に浮かされてしまう。


「これヤバくないか?」


「風音なんとかしないと負けちゃうかも」


 俺たち二人が不安になる中最悪の結末が訪れる。


 鞭使いは振り上げた腕を強く振り下ろし風音は地面に激しく叩きつけられる。


「風音!!」


 風音は地面に叩きつけられ、爆発したかのような音を上げる。砂煙が立ち上がり風音の姿は見えない。


「まだ終わらないよ! 見せてあげる私の本気!!」


 鞭使いの雰囲気が変わり、いつか感じた肌にピリリと空気が刺してくる感覚に襲われる。


(これ風音が俺に使ったやつと同じ!!)


「第二位階アクセス!!」


 鞭使いの鞭の色が茶色から赤色に変わる。


「コレは第二位階だ!! 序列二十一位とうとう本気を出してきたーー!!」


『第二位階』第一位階のさらに上の能力、第一位階の性能を上げたり、特殊な能力を付与することができる。


「私を舐めすぎたあんたが悪いんだからね! 当分の間はベッドの上だけどしょうがないよね!! エクスプロージョンウィップ!!」


 鞭使いは砂煙にもう一度鞭を放つ。さっきの技とは違い今回は第二位階の心技(しんぎ)


 心技は自分の言葉とリンクして発動する、言わば必殺技。心力を消費する代わりに絶大な技を発動することができる。


 鞭が砂煙の中に放たれ風音のいる場所に当たった瞬間、さっきの砂煙が上がった一撃よりも遥かに威力があり、そして大きな爆発が起こる。


「まさかあいつが負けたのか?」

「風音が負けるなんてそんなこと……」


 会場全体が静まりかえり徐々に砂煙が晴れていく。


「なんでよ……。 なんで立っていられるのよ」


 だがそこには風音の倒れている姿ではなく、なんのダメージも受けていない風音の姿があった。


「砂煙から出てきたのはなんと無傷の風音選手の姿だ!!」


 実況も声を荒げるほどに興奮している。今この場にいる全員が口を開けたまま唖然としている。あんな大きな爆発の中風音は無傷でいる。そのことに会場全体が驚きを隠せない。


「なんでと言われましても私には効かなかっただけのこと、ただそれだけです」


 風音は涼しげな顔をして話した。だが目線は鞭使いではなくずっと日向の方を見ていた。


「風音、わかったから落ち着け、な? この蔦くらい私でなんとか出来るから」


 日向は徐々に締め付けられているはずが何故か風音も涼しげな顔をしていた。


「この蔦くらいだと! 私を舐めるな!! 『第二位階アクセス』 フレアガーデン!!」


 蔦の能力者も第二位階を発動した。蔦は日向を離さずそのまま燃え上がる。


「なんとまたしても第二位階を使い出した!!  

 日向選手が燃えて見えなくなってしまったーー!!」


 日向はみるみる炎に包まれ姿が見えなくなってしまう。


 だが燃え上がる蔦の中から声が聞こえた。


「第二位階アクセス」


 燃え上がる蔦の中から日向の声が聞こえた。その途端燃え上がる蔦は爆発し飛び散ってしまう。


 トランス能力者は能力で出した物体を壊されてもダメージにはならない。アーツ能力者はアーツが傷つけばダメージになるが、トランス能力者は直接ダメージを与えなければ倒れることはない。これがアーツ能力者とトランス能力者の差だが、トランス能力者はアーツ能力者と違い身体能力があまり強化されない。一重にアーツ能力者とトランス能力者どちらが強いというわけでもないのだ。



「私の蔦が……。 なんで!!」


「その蔦を私が燃やしたからさ」


 炎の中から日向が現れる。蔦の能力者の心技を受けてなお無傷のままでいる。


 だがいつもと違うのは日向の拳が赤が燃えている。


「出ましたこれが日向選手の第二位階!!  炎拳と呼ばれる由来になった能力だ!!」


 俺はこの時初めて日向が炎拳と呼ばれる意味を知った。そして日向の第二位階を初めて見る。


 今まで俺に隠していたわけではないが、俺が能力から遠ざかっていたから見ることはなかった。


「風音悪いけどもう終わらせていい?」


「ダメですお嬢様」


 その瞬間蔦の能力者の隣に鞭の能力者が飛ばされてきた。


「なんなのよアンタ! 今まで手加減してたってわけ?」


 鞭の能力者はいつのまにかボロボロになっていた。観戦しているほぼ全員が日向に集中していて風音の方を見ていなかった。


 だがそのほぼ全員の中のそうではない人物が隣にいた。


「あれが風音の第二位階」


 風音の脚はいつのまにか風で包まれていた。


「手加減はしていません。 第一位階でどこまで戦えるか試していただけです。 それとお嬢様が傷つけられたことで頭に血が上ってしまっていましたが、もう関係ありません。 お嬢様のあの姿を見て安心しました」


「安心?」


「まるでダメージを受けていないので」

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