第四十一話 嵐の前の
模擬戦二試合目の今日、朝の目覚めはあまり良くなかった。全身に昨日の疲労が残り筋肉痛さえある。
(こんな状態で二試合目か……きつそうだな)
昨日の試合からの練習がかなり体にきている。だけど昨日の練習は決して無駄ではないと感じている。風音に貰った時間は確かに俺の勝利の可能性に繋がってくるはずだ。
朝食を食べ学園に向かう。学園に向かう道がいつもより長く感じる。側から見たら今にも倒れそうに思われてしまうだろう。こんな状態のままで雪菜に会うわけにはいかない。
疲れた顔を雪菜に見せるなんて絶対にしたくない。
長く感じた学園までたどり着き、雪菜にデバイスで連絡する。雪菜からはすぐに返信が返ってきた。学園の校門前で待ち合わせし、俺は校門に背を預け雪菜を待つ。
今日の試合雪菜一人に任せず戦えるように頑張らなければならない。そんなことを考えていると学園側から足音が聞こえてくる。
リズムよくそれでいて早足で向かってくる足音の主は雪菜だった。俺よりも早く学校に着いていたようだ。
「お待たせ集! 待たせたかな?」
「全然待ってないよ! もう先に学園に着いてたんだね」
「少し早く起きれたから先に来てたの」
俺と雪菜は模擬試合第二試合が行われる会場の訓練場に向かう。
会場に着き試合の時間までまだまだある、その時間まで他試合の観戦をする。
「日向と風音の試合がもうすぐ始まるね」
「始まるな、まああの二人なら今回も余裕だな」
「そうでもないかもしなれないよ?」
雪菜は俺に対戦表を見せてきた。対戦相手は序列四十六位と三十九位、日向達とほぼ序列は変わらない。
今まで日向と風音以上の能力者の試合は見てこなかったが、今回は簡単に終わるように考えていたが予想よりも苦戦しそうだ。
二人で話していると2日目の第三試合が始まろうとしていた。
「それでは只今より模擬試合二日目第三試合スタードです!!」
辰美 美久の実況も同時に始まる。
「試合開始」
試合開始の合図で戦闘が始まった。
「「「「第一位階アクセス」」」」
四人が同時に第一位階を使う。日向と風音の対戦相手は二人とも女で、鞭のアーツ使いと、第一位階を使っていてもアーツが出現しないところを見るとトランス能力者なのだろう。
「そんじゃ行かせてもらおうかなっ!!」
日向は地面を蹴り相手の正面に突っ込んで行く。
「お嬢様考え無しに行動しては!!」
日向は風音の言葉を聞くこともなく突き進む。素早い動きは徐々に相手との差を詰める。
「そんなに焦らなくてもいいんじゃない?」
対戦相手二人は同時に後ろに大きくさがる。
「逃げてちゃ戦いは終わらないぜ!」
またもう一段日向は早くなる。相手との距離を縮める。
「逃げてなんかないは、もう戦いは始まっているのだもの」
トランス能力者がニヤリとした瞬間、日向の足元から蔦が現れた日向に絡みつく。
「お嬢様!」
日向は蔦に絡まれ動けなくなってしまう。
「おおっと! 蔦が体に巻きついて動けなくなってしまっているぞ」
日向は蔦を剥がそうとするがまるで剥がれない。
「んだこれ、動けない!」
「あーあ簡単に捕まっちゃって」
トランス能力者は手を前に出し、掌を徐々に握っていく。すると日向に絡まっている蔦は徐々に日向を締め付けていく。
「クッソダメだこれ全然取れない」
日向は蔦を剥がそうとするが蔦は簡単には剥がれない。
「お嬢様今行きます!」
風音が日向に近づこうとするが目の前に鞭のアーツ使いが現れ道を塞ぐ。
「そう簡単に行かせるわけないでしょ、せっかく捕まえた獲物を簡単に離すわけ無いじゃない」
鞭のアーツ使いは風音に向け鞭を放つ、風音は鞭を避けるが第二撃からの攻撃は予測をつけるのが難しいほど軌道が読めない。
何度か回避するがとうとう風音に攻撃が当たってしまう。横薙ぎに放たれた鞭は風音の横腹に命中し吹き飛ばす。
鞭は見た目はからはあまりわからないが風音を吹き飛ばすほどの威力を持つ。
風音は会場の床を転がるが、すぐに体勢を立て直す。
(鞭の軌道が読めない)
風音は相手の攻撃に備えるが相手から放たれる鞭から逃げることで精一杯だ。
「逃げてばかりじゃ勝てないよ? まあ逃げ続けるならこうするけどね!!」
鞭のアーツ使いは風音に向けていた攻撃を日向に向け放った。
鞭はそのまま日向に絡み付いている蔦の間を抜け日向に攻撃を与える。
「クッ!!」
日向に攻撃が当たり動けない日向はそのまま鞭でダメージを与えられ続ける。
「十五位も大したことないね! このまま体力が無くなるまで痛ぶってあげるよ!」
鞭はひたすらに日向に攻撃を続ける。
「お嬢様に何をする!」
風音が近づこうとしても鞭が風音を襲い日向との距離が縮まらない。
「風音! 私はいいから目の前の敵に集中しろ!!」
日向は風音に向け叫ぶが、風音はそれどころではない。日向を傷つけられ正気ではいられなくなっている。




