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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
39/151

第三十八話 保健室再び

 俺が意識を取り戻したのはまた保健室の天井だった。


(俺なんでこんなところにいんだっけ?)


 確か俺は模擬試合の一回戦に出て戦ってたはずだが……。


「集くん大丈夫?」


 聞きなれた綺麗な声、だけど自然とすぐに反応しなければならないと思えるようなその声に俺はすぐに振り向いた。そこには俺を心配する雪菜の姿があった。俺はその姿を見て模擬試合がどうなったかを確認せずには居られなくなった。


「大丈夫なんともないけど、試合はどうなった?」


 俺は対戦相手と戦って相手のアーツを破壊したところまでは覚えている。アーツさえ破壊していれば対戦相手はもう戦えないはず……。

 だが雪菜が勝ったかはまだ確認できていない。


「試合は私たちの勝ちだよ! それより集くんのアレはなんだったの?」


 雪菜は俺が使ったグラトニーの事をいっているのだろう。俺でさえあの時の記憶が定かでない。能力者のアーツを破壊できるほどの擬似アーツ、阿知賀さんが作った最新型の擬似アーツは俺の想像をはるかに超えたスペックだった。だがそれより阿知賀さんが言っていた体力や精神力を使って能力者と同じような性能を発揮すると聞いていたが、意識を飛ばすほどもって行かれるとは思わなかった。


「アレは試合前に阿知賀さんていうクリエイターの人に貰ったんだ」

「阿知賀さんってまさかあの?」


『まさかあの』?俺は阿知賀なんて名前聞いたことがなかったが雪菜はその名前に覚えがあるらしい。


「あのってどういう意味?」

「阿知賀さんて言ったらクリエイターの中ではトップクラスの研究者で、性能の良すぎる擬似アーツを作り何度も賞を獲ってるし、学園に配備されている擬似アーツも阿知賀さんが作ったんだよ」


 阿知賀さんがそんな有名な人物だとは思わなかった。


「阿知賀さんそんな有名な人だったのかよ、全く知らなかった……」

「阿知賀さんから貰ったていう擬似アーツ、アレはもう使わない方がいいんじゃないかな? 集くんが倒れるような代物なのに使い続けるなんて私心配だよ……」


 雪菜が俺を心配してくれている、だがそれでも俺はこのグラトニーを手放すわけにはいかない。

「だけどアレはがあれば能力者とも互角に戦える、雪菜とも並んで戦える。無能力者の俺が手に入れた最後のチャンスかもしれないんだ、だからゴメン……」

「わかったよ、だけど無茶はしないでね」

「わかったよ、無茶しないように頑張るよ」


 雪菜と話していると廊下からパタパタと足音が聞こえ、誰かが近づいてくるのがわかる。保健室の扉は勢いよく開けられ俺のベッドの方に誰かが近づいてきた。


「集! 大丈夫か?」

「お嬢様、保健室であまり大きな声は出してはいけません」


 保健室に入って来たのは日向と風音だった。試合で倒れた俺を心配して駆けつけてくれたのだろう。


「大丈夫だから静かにしてくれ、恥ずかしいから」

「そうだよ日向静かにしないと」

「ゴメンゴメン、それより大丈夫かよ集、擬似アーツ一回降っただけでぶっ倒れるし、相手は一撃で倒すし何があったんだよ」


 そりゃ気になるよな、俺だって驚いてるし何より一撃で相手を倒せるなんて思いもしなかった。


「阿知賀さん知ってるか? あの人に擬似アーツ貰ったんだよ、だけどそのスペックだ高すぎて俺の体がもたなかったんだ」


 俺は日向に話しているとまた扉が開きバタンと大きな音が鳴る。

「それは間違いですぞ集殿」


 聞き覚えのある声、最近聞いた覚えのある声が近ずいてくる。


「悠じゃん何しに来たんだ?」

「日向氏と風音氏ではありませんか、こんなところで何をしているのでありますか?」

 日向が阿知賀さんに話しかける。三人は知り合いらしい。


「それよりも集殿、先ほどの試合見事なものでしたです。ですがあの使い方はあまりよくないですぞ。グラトニーは所有者の意思に応じて体力を喰らうといったはずですぞ、あんな全力を出せばグラトニーは体力の全てを喰らい尽くしますぞ」

「俺も実戦で始めて使ったんだ、あんな一瞬で体力持ってかれるなんて思わなかったんだ」


 グラトニーの性能は想像以上のものだった、序列七十一位を一撃で倒せる性能、だがそれには副作用が大きい。


「私も驚きですぞ、グラトニーがあそこまで性能を発揮するなんて」

「てかグラトニーってなんだ?」

「何ですかそれは」

「グラトニー?」


 三人が阿知賀さんの言葉に反応する。擬似アーツに名前をつけてい人なんていないだろう。


「グラトニーってのは阿知賀さんが作った擬似アーツの名前だよ、普通の擬似アーツと違って自分と感覚を繋げるんだ、そうすると能力者と同じように力が使えるようになるんだ、だけどその代償が体力を大幅に失うことなんだ」


 阿知賀さん以外は驚いた顔をしていた、俺はどうせ聞かれるであろうグラトニーの種明かしも一緒にした。


「ならなんだ? 集は今能力者ってことか?」

「そうですな、半分能力者で半分は無能力者ということですな」

「半分は?」

「無能力者である事は変わりありませんから、ですがグラトニーは身体能力の強化も出来ますから使用中は能力者と変わりないですぞ」


 阿知賀さんが言っていることは間違いない。俺は能力者になった訳ではなく一時的に能力を付与されたようなものだ。


「それはそうとグラトニーはそのまま使っていいのか? 」

「是非使っていただきたいのですが、もう少し使い方だけは気をつけてくださいですぞ」


 俺は体が動けるようになり雪菜たちを連れ保健室を出た。

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