第三十話 模擬戦練習
俺と雪菜の剣がぶつかり合う。激しい金属音をあげ激しい火花を散らす。
俺は必死に食らいつくが、雪菜の動きに合わせることしかできない。
(クッソ、あんだけ風音と特訓したのについていくだけで精一杯じゃねーか!)
俺に次々と二刀の刃が降り注ぐ。前回の決闘でもそうだが、流れる様な剣先は見惚れるほどに綺麗に思える。
だがそんなことを考えている場合じゃない。前回の決闘で雪菜に勝ったあの時は、卑怯とも言える手を使った。擬似アーツの破壊時の発光、だがこの作戦はもうこれから戦う相手には全く通用しないだろう。無能力者が雪菜を倒したとなれば、どうやって倒したかを調べるはずだ。
これからはそんな作戦は無しで勝ち抜かなくてはならない。
「相変わらず、見惚れるよ、雪菜の剣技は」
剣を交えながら言葉を交わす。雪菜は多少手加減してくれているのだろう。喋る余裕はできてきた。
「そうかな? 自分ではそんな気にしたことないけど、そう言ってもらえると嬉しいけど、喋れるくらい余裕があるのは嬉しくないかなっ!」
雪菜は剣を二刀同時に剣を振るう、二刀流ということもあり一刀づつの剣の重さしか受けてこなかった俺は、この一撃を支えきれず、攻撃を受けながら地面に膝をついてしまう。
(やばい、重すぎる、両刀同時だとこんな違うのか!)
俺は雪菜の攻撃を必死に耐える。能力者の身体能力強化は人それぞれ個人差があるが、やはり高ランクの能力者となれば身体能力強化は大幅に上がる。まだDランクの雪菜がここまでの力を出せているのだからこれから先もっと強い能力者になるに違いない。
「クッ、重すぎる」
「女の子に重いなんて失礼なんじゃないかな?」
雪菜は剣を振り切る。その振り切りに俺は体制を少し崩してしまう。その瞬間雪菜は俺に蹴りを入れる。
俺は蹴りの勢いで吹き飛ばされる。普通の女の子の蹴りなら少し体制を崩す程度だが、やはり能力者の蹴りともなれば話が違う。たった一度の蹴りでも重く、軽く吹き飛ばされてしまった。そのまま地面を転が
るが、俺はすぐさま剣を地面に刺し勢いを雪菜を見る。
雪菜は両の手に剣を持ちこちらに向け走ってきている。
雪菜の動きをみろ、行動を予測しろ、俺が出来る全てをやってみせろ! 自分の中で今出来ることを全て絞り出せ!
能力が使えない俺が擬似アーツで出来ること、そんなの一つしかない、工夫して戦い相手を上回れ!
雪菜はもう目の前まで来ている。俺は右手に持ってきた剣を左手に持ち替える、ポケットにしまってあった擬似アーツを右手で取り出し、雪菜に向け構える。擬似アーツはハンドガンの形になる、俺は瞬時に引き金を引き銃弾は雪菜に向け飛び出す。
銃式の擬似アーツは実際に銃弾を込めることはなく、自分の気力を銃弾とし打ち出す。無限に弾は打てるわけではなく、自分の体力がある限りなら何発でも撃てる。
雪菜は驚いた顔をしていたが、それも一瞬雪菜は自分の双剣で銃弾を弾き返す。
(あんなのありかよ!)
普通の人間なら銃弾を剣で弾き返すなんてこと普通ならできない。だが能力者の能力強化はその動きすら見えるらしい。
俺はすかさず数発の銃弾を放つ、だが放たれた銃弾の全ては雪菜の双剣に弾かれてしまう。
近くにつれ銃弾を弾くのは困難になるはずだが、雪菜はそんなの関係ないと言わんばかりに全て弾き俺との距離を詰める。
俺は右手で持っていた銃を捨て、左手に持っていた剣を両手で握る。
俺は地面を蹴り、勢いをつけ雪菜に向い走る。俺は両手で握った剣で走ってくる雪菜を迎え撃つ。
雪菜の勢いの乗った右手から放たれる剣を自分の剣で弾く。雪菜は左手に持っている剣で追撃をかけてきた。俺は雪菜の初撃で大きく怯んでしまったため、そのまま腹に雪菜の剣を受けてしまう。
クッ……。 歯を食いしばり痛みに耐える。傷口は赤くラインが入り、ダメージが入ったところは痛みがある。いくら体力に自信があっても、この痛みだけはどうすることもできない。
俺は痛みに耐え、雪菜に左肩に向け剣で斬りかかる。だが雪菜は右手に持っていた剣を真上に切り上げ俺の剣は後方に飛ばされてしまった。アーツは地面に叩きつけられ、光を放ち消滅する。
「これで終わりだね」
雪菜は俺の顔に剣を向け練習の終わりを告げる。もうアーツを所持していない俺の完璧な負けだ。
「やっぱ雪菜は強いね、まるで歯が立たないよ」
俺は地面に尻をつけ両手を体の後ろで地面に着く。
「そんなことないよ、よく戦えたと思うよ! 日向と風音との練習の成果が出てるんだね」
雪菜は自分のアーツを解除し、俺に手を差し出す。俺は雪菜の手を借り立ち上がる。
「ありがと.でもこれから戦う相手に勝つためにはもっと頑張らないとな」
俺はさっき地面に捨てた銃のアーツを拾う。そして「戻れ」と意思を送り、アーツは箱型に戻った。




