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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
23/151

第二十二話 圧倒的力の差

 そして放課後になり俺は訓練場に向かった。

 事前に擬似アーツは借りておき、特訓で壊れてしまうかもしれないことも伝えておいた。


 先に訓練場についた俺は、軽く体を動かしていると、風音が現れた。


「私より先に来ているとは感心しますね」


 落ち着いた声で近づいてくる。


「流石に教えて貰うのに遅れるのはな」


「その心意気はいいことです、ですがこれからの特訓は覚悟しておいてください」


 風音も軽く体をほぐし、アーツを出現させる。


「どの程度の練習をしたいですか?」


「まずは、学内模擬戦で雪菜の足を引っ張らない程度、いや十分に戦えるくらいになりたいんだ」


 俺は今の段階で可能な限り出来ることを、風音にお願いした。


 いきなりTOEで優勝できるくらいになんて言えるわけがない。風音や日向もTOE優勝を目標として掲げているのだから、今できる可能な限りのことをしようと思った。


「わかりました。では、ある程度力を入れさせていただきます」


「頼むよ、なら早速始めさせてくれ」


 俺はバックにしまってあった擬似アーツを取り出し意思を送る。


 擬似アーツは剣の形になる。


「それでは行きますね」


 風音がちょこんとつま先で地面を軽く叩く、すると地面に大きな亀裂が走る。


「んな!」


 風音の実力は序列十六位、第三学区では序列十六位と雪菜よりもはるかに強い。俺が練習をお願いした理由はそこにある。強い能力者と戦うことで今の自分を強くできると考えたからだ。


 だが風音は俺の想像をはるかに超えてしまう。


 風音はただ歩くように前に進む。ただの一歩、ただ人が一歩、歩く程度の動作だけで風音は俺の目の前に現れる。


(マジかよ! 俺との距離なんて10メートルは離れてたぞ!」


 そして風音はその場でヒラリと回転する、軽く回った程度の勢いで俺に回し蹴りを入れた。


 無駄な動作がないその動きに一瞬動きが遅れる。


(ヤバイ!)


 俺は瞬時擬似アーツでガードするが、反応が遅れた分ガードに力が入らなかった。


 ーーバキン! と大きな音を上げ俺は自分がいた場所よりもはるか後ろに吹き飛ばされる。


 擬似アーツの耐久値が風音の一撃の蹴りで四分の一程度もっていかれる。


 能力者ではないが、ある程度の運動能力はあるためなんとか地面に着地することに成功する。


(なんちゅう力だ! 軽く蹴っただけでこんな飛ばされるとかこれが序列十六位の実力!)


「休んでる暇なんてありませんよ」


 風音の落ち着いた声がすぐ近くで聞こえた。


 俺は着地に成功したが、一呼吸置く暇もなく風音の追撃の膝蹴りをみぞおちに受けてしまう。


「ガハッ!」


 呼吸が出来ない。風音の攻撃をガード出来なかった。


 その場にうずくまるように腹を抑える。


 そしてまた風音はヒラリと回転し回し蹴りを放つ。


 ドッと鈍い音を鳴らし俺は訓練場の壁まで吹き飛ばされる。


 訓練場の壁に叩きつけられた俺は壁にもたれ座り込んでしまう。


「この程度終わりですか?」


 風音は静かなトーンで話しながら近づいてくる。


「この程度で終わりなわけないだろ」


 俺は立ち上がり、擬似アーツを構え直す。さっきの攻撃で随分体力削られてしまった。


(風音のアーツは高さには弱いはずだ!)


 風音のアーツは脚に装備するタイプのアーツなため、上からの攻撃に弱いはずだ。


 俺は風音の頭めがけて剣を振るう。


「それで私が倒せるとでも? そんな攻撃いくらでも受けてきました」


 風音は脚を大きく上げ俺の剣を難なく防ぐ。


「やっぱこの程度じゃ通らないか!」


「当たり前です」


 風音は難なく俺の剣撃を押し返し、瞬時に俺を蹴りで吹き飛ばす。


 俺は壁近くまでまた吹き飛ばされてしまう。


「まだ続けますか?」


 風音はただ立っているだけ。


 だが、妙に汗をかいてしまう。


(なんちゅうプレッシャーだよ!)


 俺は自分の体なのに何倍も重く感じた。


「当たり前だ!」


 俺は再度風音に向け走り出す。


「その心意気は買います、ですがただ突っ込んでくるだけでは勝てませんよ?」


 またも風音は俺との距離を一瞬の隙に縮め、膝を腰の高さまで上げ攻撃の構えに入っている。


 思ったよりも風音の動きは早かったが、攻撃範囲はある程度わかっていため足蹴りが届かない程度に後ろに飛ぶ。


「それで避けたつもりですか?」


 風音の足蹴りは確かに届くはずはない。だが風音は攻撃のやめない。だが俺が想像していたよりもはるかに上回ることが起きた。


「ハッ!」


 風音は何もない空間を蹴る。俺は確かに風音の足蹴りを避けたはずだが、まるで蹴られたかのような衝撃を受ける。


 そしてまた大きく後ろに吹き飛ばされる。


「確かに避けたはずなのになんでだ!」


 俺は確かに風音の蹴りを避けた。だが蹴られた痛みを受け吹き飛ばされました。


「簡単な話です。風圧です」


 ただの足蹴りの勢いで出た風圧で俺はダメージを受けた。


「どんな脚力してんだよ!」


 避けられない蹴りを放たれてはただ防御するしかない。


「あなた達がTOEで優勝を目指すなら、この程度で怯んでいては勝ち上がれませんよ」


 風音も日向と共にTOE優勝を目指す能力者、風音を超えられなければ優勝など出来ない。


「そしてあなたと雪菜さん、二人が優勝するには確実に超えなければならない壁があります」


 風音の周りから風が起き始める。


「なんだよその壁って、」


「もしかしたら見たことがあるかもしれません、あなたにも雪菜様にも使えない力」


 風音の周りの風がより一層強くなり、風は風音を包み込む。


「第ーーーアーーー」


 風で声がかき消され所々聞こえなかった。


 そして気づいた時には俺は地面に倒れていた。

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