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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
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第十四話 勝者の報酬

「お嬢様に……何をしようとしていた」


 ブチ切れた顔の風音がブーツ型のアーツを付けそこにいた。


「いやいや、何もしようとしてないですって」


 俺は風音に敬語になりながら何もしようとしていない事を伝える。


「『何でもする』とか聞こえたが? どう言うことか説明してもらおうか」


 風音に事の顛末を話した。

 俺と日向が賭けをして、日向が反則をして俺が勝った事。

 模擬戦をして俺が勝ったら『何でも言うこと聞く』という条件があったことを伝えた。


「そんな賭けは無効だ! 無効!! お嬢様に何でもしていいわけないだろ!!」


「いや、でもさ!! 俺日向に勝てたんだぜ? 褒美くらいあっていいだろ!!」


 俺の意思は揺るがない。

 いくら無効と言われようが、こんな絶好の機会なかなかない。

 しかも俺が日向に反則勝ちとわいえ勝ったのは事実。


「風音、あたしの負けだからしゃーないんだよ、集に何されるかわからないけど我慢するしかないのさ……」


 日向はすすり泣きをしながら風音に話し出した。


(あれ絶対嘘泣きじゃねーか!)


 日向は俺とのやりとりの時に、自分の立場が悪くなるとすぐ嘘泣きをよくする。

 近くに風音がいれば確実に助けてくれるからだ。


「わかったよ、風音が許す範囲のお願いにするから問題ないだろ? んで今回は保留にする、それでいいだろ?」


 どっちみち風音が許す範囲のお願いでなければあとが大変なことになる。


「いいだろう。それで手をうってやる」


 なぜかわからない風音の上からの判断でことを終えることが出来た。

 日向になんでも言うこと聞かせられるのはかなり大きな褒美だ。


「あたしは別にエロいお願いでもいいんだぜ?」


 日向は俺をおちょくる様に腕にしがみついてくる。

 それを見た風音の顔は怒りの形相を浮かべでいた。


(これ俺悪くないでしょ!)


 内心そんなことを思いつつ日向を引き剥がす。


「俺が大丈夫じゃないからダメだ、変なお願いしたら風音に何されるかわからんからな」


「当たり前だ、考えることすら許さん」


「わかってるよ、というか風音はここに何しにきたんだ?」


 大体の予想はつくが一応聞いておかなければならないと思い風音に聞いてみた。


「勿論お嬢様を探しに来たに決まっているだろ」


 予想どうりの答えが返ってきた。風音は放課後になると真っ先に日向を迎えにくる。

 今日は風音が教師にお願い事をされたか何かで、日向を迎えに行くことが出来なかったらしい。

 だから日向は俺を放課後に練習に誘えたのだろう。


「まあ大会も近い、訓練したくなるのはわかるが、お嬢様何かあってからでは遅いからな、私がしっかり見ておかなければ」


「風音は過保護すぎなんだって、風音が思ってはよりよっぽど頑丈だぞこいつは」


 俺は日向の頭を小突く。


「集に言われたくないんだが……。 集なんてあたしが殴っても全然痛がらないじゃんかよ」


 日向は俺のお腹あたりを軽くだが殴ってくる。


「いや、普通にっ痛いからなっ? お前痛いってっ言ってもっやめてくれっないだろっ?」


「いつかはやめるよ? いつかは」


「今殴り続けてるのも止めろ!」


 会話を続けている間も日向は俺のお腹を殴り続けている。じゃれる程度の強さなので痛くはないが。


「まっこのくらいにしといてやるか」


 日向は俺から離れ日向の隣に立つ。


「ほんじゃ集、今日は帰る。また明日な!」


「それでは集様、失礼いたします」


 日向と風音は訓練所から出て行く。俺はその後を見送った。


 一人残された俺は地面に置いてある擬似アーツを持ち構える。


(やっぱり敵わないな)


 日向の最期の動き。あれは能力者ならではの動きだ。無能力者の俺には動けない動き方。


 反射神経、運動能力、身体能力その三つの基礎能力が、能力者なら個人差はあるが飛躍的に上昇する。


 大会では能力・技術共に優れた能力者が大会では活躍できる。

 ただアーツやトランスが使えるだけでは戦えない。


 もし俺が擬似アーツを持って戦ったとしても、技術で勝ったとしても能力の差で確実に差がつく。


 今回の日向との練習でわかった。


 無能力者では能力者には勝てない。

 あの最後の動き、まるで反応できなかった。一瞬の勝機を掴みかけた途端にそれはすぐさま離れていった。


 エデンで俺は能力者としての成長はない。

 エデンで何より充実しているのは能力のスキルアップ。

 思春期にしか使えない能力を、全力で扱える環境。この島はそれを可能にしている。


 本島で能力を有効活用できる環境は少ない。

 自分自身の能力を、特別を、思う存分に発揮できる環境がこの島にはある。

 皆が望んでエデンへの入学を希望し、今しかない時を楽しんでいる。

 この縛りのない環境は学生には楽園としか思えないのだろう。


「帰るか」


 俺は擬似アーツを元の形に戻す。

 戻す方法は簡単だ。擬似アーツに〈戻れ〉と意思を送るだけでいい。

 擬似アーツは箱状の形に戻る。

誤字報告有難うございます。

見ていただいていなければこういった報告も上がってこないので、有り難く感じています。

これからたくさんの熱い展開を作れたらと思いますのでよろしくお願いします。

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