第十二話 擬似アーツと擬似トランスシステム
「集! 今から特訓しようぜ!」
机で寝ていると日向から特訓のお誘いがきた。特訓といっても能力の使えない俺は本来実践などできるはずもない。
だが日向は俺がいつか能力が使えた時のためによく特訓に誘ってくる。
だがどんな能力者、無能力者でも実戦の練習をすることができる。
幻想形態の擬似アーツと擬似トランスシステム。
この二つは戦闘型では無い能力者と教師のために作られたシステム。
基本的に教師は擬似アーツしか扱えず、擬似トランスシステムを使用できる教師は数少ない。
本来、アーツとトランスは生まれた時から決まっており、そのどちらかしか使用できないが、
この擬似システムによりトランス能力者でもアーツを扱えたり、戦闘型ではないアーツ能力でも戦闘型アーツや戦闘型トランスを扱えるようになった。
「嫌だよ。お前手加減してくんねーもん」
俺は日向と何度か練習でアーツを使ったことがある。
だが日向の戦闘能力はこの学園内でも上位の能力者なため、日向にまともに勝てたことはない。
「いいじゃんか今日バイト休みだろ、付き合えよ!」
「休みだけど!! お前にボコされたくないんだよ。優菜とやっとけよ」
日向と優菜はほぼ同じレベルの能力者なため練習相手にはうってつけだ。
「優菜は本気出してくんないからな」
日向は少し寂しそうな目をして話した。
優菜にとって日向は自分よりも大切にしている存在。
日向が傷つくことがあれば優菜はその相手を形が亡くなるまでボコボコにするだろう。
「まっそれはいいんだよ。何ならあたしに勝ったら何でも言うこと聞いてやるよ」
日向はそうとう自信があるのだろう、勝てばなんでも言うことを聞いてくれるらしい。
「ならいいぜ。俺が勝ったら何でも言うこと聞いてもらうからな」
日向の話に乗り訓練場に向かうことにした。
訓練場は誰でも使用することができ、能力向上の訓練をすることができる。
「相変わらず無駄に広い場所だなここは」
能力を自由に行使できるほどの空間は、狭ければ無差別に誰かを傷つけてしまう可能性がある。
だから訓練場は広く設計されているのだ。
この学園で能力特訓が出来るのは、この訓練場と試験場の二か所しかない。
「まあ能力使うしなこんなもんだろ。それはさておきさっそく始めようぜっ」
日向は俺に向けて何かを投げてきた。
疑似アーツを収納できる手のひらより小さいくらいの箱。
「いつ取りに行ったんだよ……まっいいか」
擬似アーツは学園の職員が管理している。
擬似アーツは必要とする者しか使わないため、本来持ち運ぶ必要がない。
俺は自分用に学園内だけ擬似アーツの所有を許されているため、日向から渡されなくても所持しているのだが自分の擬似アーツを使うとまた取りに行かなければかならないため、日向から渡された擬似アーツを使うことにした。
自分が持っていた擬似アーツはポケットにしまった。
「ほんじゃ…」
「始めますか!!」
俺と日向の模擬戦が始まった。




