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クロッシングワールド  作者: たぬきいぬ
第一章     序章
11/151

第十話 トーナメント オブ エデン

 校舎に向かう途中には掲示板があり、そこには学内トーナメントの宣伝と学内模擬試合の告知が載っていた。


 学内トーナメント。


 学園内で開催されるトーナメントで、学内の能力者の頂点を決める大会だ。

 この大会はこの島で一番大きな大会である、TOE(トーナメント オブ エデン)の模擬試合みたいなものだ。


 TOEは本島からも観戦客が来るほど人気のある大会で、強力な能力を持った学生が、全力で己の能力をぶつけ合い頂点を決める。そして優勝者にはなんでも一つ可能な願いを叶えられるという。


 だがTOEに参加するには条件がある。各学区で行われる学区大会の上位16人に入らなければならない。


 だが学区大会は参加人数が非常に多いため、上位16人に入ることすら難しい。そして上位16人に入り、TOEに出場出来ても、各学区の強者と戦うことになる。優勝出来る学生は相当の能力者でなければなれない。


 TOEは総勢48人の学生が、学区関係なく試合を行い頂点を争うことになる。


 今回の大会は二人一組のペアでの参加になるため、今回は上位16人ではなく、16組になる。


 戦闘向きの能力者はこの大会にエントリーし、自分の強さを学園の生徒に証明できる場になる。


 ある程度、能力の強弱はランクにより分かっているが、能力者の能力の応用によっては、自分より上のランクの学生にも勝てる可能性がある。

 そういった全ての可能性を発揮できるのがこの大会なのだ。


 そしてもう一つ告知されていたのが学内模擬試合。

 これは学内トーナメントの模擬試合版だ。 この模擬試合は全3試合し、その内何回勝てたかを決める試合だ。


 この模擬試合の目的は今大会は二人組のため、パートナーとの連携の実戦ができる。この模擬戦での序列な変動はない。ここでパートナーを変える目安をつける方ができる。


 だが今回はパートナー探しが必要になるため、ここでくじけると出場すら出来なくなる。


「学内トーナメント、これにあたしはでるぜ。んでもんでベスト8に入って学区大会、んでもんでTOEも出てやる。」


 日向の目標はTOEに出ることだがその道のりは険しい。


「だけど今回の大会ってタッグだろ? 誰と組むんだよ。まあ一人しかいないか」


 今回は第7回大会となり、今までは一対一の戦いだったが、今回は二人組を組み勝ち進む必要がある。だからパートナー選びは重要だ。


「勿論、あたしのパートナーは一人しかいないな。なっ風音っ」


「勿論ですお嬢様」


 誰もいないはずの後ろから声が聞こえた。


 後ろを振り返るとそこには背丈は俺よりも少し背が低いくらいの女子生徒が立っていた。


 彼女の名は夏野 風音


 この少女は日向の専属の従者で日向の生活の補助をしている。


「お嬢様、急に走られては困ります」


 背丈は高く162センチくらいだろうか、女の子の中ではかなり身長は高い。日向の親戚で夏希家の分家にあたる。過去に夏野家は夏希家に大きな恩があるらしく、そのため風音は日向を特別に扱っている。いつでも日向のことを一番に考え、日向のことを一番に思っている。


「ごめんごめん優菜。集が女の子と話してるから気になっちゃってさ」


  俺が女の子と話してることがそんなに珍しいのかとツッコミたくなるが、日向の気持ちはわかる。


  「風音、この子が柊さん。集が探してた人」


  日向は風音に話していたのだろう。


  「あなたが柊さんですか。私の名前は夏野 風音と申します、風音とお呼びください。お嬢様からお話は伺っています。以後お見知り置きを」


  「こちらこそよろしくね風音さん」


 簡単な挨拶をお互いにし、並んで校舎に向かった。


 日向の隣を歩いていたが雪菜と日向の話が弾んでしまったので、風音と並んで歩く。


「なんですか集様。お嬢様をジロジロ見て」


 見ていたのは雪菜の方なのだが、風音に睨まれてしまった。


「日向なんて見てねーよ。」


「『なんて』だと?」


 風音の声音が変わる。

 少し前を歩いているため日向たちには聞こえない。


「出てる! 素が出てるから!」


 日向にはまだ風音の本性がバレていないため、風音も日向にバレないようにしている。自分の本性を知られてしまうことが怖いからだろう。


「貴様のせいだろうが!まあ今回は見逃してやろう。次お嬢様のことをなんて呼ばわりしてみろ、形がなくなるまで蹴り続けてやるからな」


 風音は俺にしか聞こえないくらいの声で話す。


「それは勘弁してくれ」


 俺は本気のトーンで返した。


「それよりさっきお嬢様なんて見てないとか言ったが」


「その話は見逃してくれるんじゃないのかよ」


 背筋に冷や汗をかきそうになる。


「そうじゃない、お嬢様を見てないのなら柊を見ていたのか?」


 風音は俺がこぼした言葉を聞き逃さなかった。


「まあな。なんか目に入るっつーか、気になるんだけどよくわからないんだよな」


「よくわからないとは何だ、好きとかそういう感情ではないのか?」


 風音の欲しい答えかはわからないが、俺はできる限りの本心を伝えた。


「可愛いし、性格も良いと思うけど何か引っかかるんだよな。 だから、好きとかそういうんじゃなくて単純に気になるってだけだ。」


 俺自身にも今の俺がわからない。可愛いとか好きとかそういうのではなく何かが気になる。


「なんだ煮え切らんやつだ。まあいい、お前はそのまま柊とくっついていろ。私はお嬢様と……」


 風音の顔は緩みきっていた。風音の日向への想いは知っているため、こんな会話も楽しく感じる。


「『お嬢様と』何だこの百合女! ほんと日向のこと好きだなお前!」


「当たり前だ。私はお嬢様を愛しているからな」


 そんなバカみたいなやりとりをしていると、校舎の前にたどり着いた。

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