第三十九話 支配者の城
森を抜けると同時に大きな建造物が目の前に現れた。 建造物は城のような構造になっており周りは城壁で囲まれている。 入り口と思われる場所には大きいな門がそびえ立っている。
「本当にあったんだなこんな大きな建物」
「アンタ映像で見たでしょ」
凪は蓮にツッコミを入れる。 いつもの作戦会議で建造物の映像は見ている。
「見たけどさ、こんな建物本当にあるとは思わなかったんだよ」
凪はハアとため息を吐く。
「さてと、人影は間違いなくアビスではなく人間のものだった、だから今回は敵では無いと信じますか」
蓮はそびえ立つ扉をノックした。
「すいません、誰かいませんか〜」
蓮は扉に向け大きな声を出す。 元の世界にいた時の当たり前のような声色で、家の中にいる友人や知り合いを呼び出したり、近所の人を呼び出すようなそんな声の大きさで。
数秒が経ちそびえ立つ扉はギギギと音を上げ、静かに扉が開いていく。
「おっ扉開いたぞ」
「こんな簡単に開いちゃうんだ」
凪は呆れたような表情をしていた。
ギギギと徐々に扉が開いていき中の様子が見えてくる。
扉の先が一センチほど開き中の様子が見えた瞬間、キラリと何かが光った。
ズドンと空気を爆発させた高音が響く。 銃声が辺りに響き渡った。
「え?」
「なっ!!」
雅人と凪は反応が遅れただ驚くことしかできなかった。
「フッ!!」
キーンという銃声とは別の高音が響いた。 蓮はいつの間にかアーツを発動しており、迫りくる弾丸を真っ二つに切り裂いた。
「どういうつもりだ、開けてくれたかと思ったら随分な歓迎の仕方じゃ無いか」
蓮は扉の向こうの人物に問いかけた。
「……」
扉の向こうには背の小さな少女が立っていた。 だが少し違うのはハンドガンをこちらに向けていた、獣のような鋭い眼光でこちらを睨んでいる、返事もせず全く動こうとしない。
だが銃口は確かにこちらに向けられており、喋らずとも銃口が語っていた、『動けば撃つ』と。
動けば撃たれると感じ蓮達三人はそのまま動けずにいた。
「鳴、銃を下ろせ」
鳴と呼ばれた少女の後ろから身長180センチくらいの背の高い男が二人現れた。 鳴は男に命令され銃を下げた、そして銃は光になり消えた。 本物の銃では無く鳴のアーツだった。
「ようこそ、我が城へ」
自分の城だという男が現れ蓮達三人の前まで歩いてくる。
「随分なご挨拶じゃ無いか、打ち落とさなければ当たってたぞ」
「死ぬわけじゃない」
男はニヤリと口元を歪め笑う。
「お前!!」
雅人はそのまま男に殴りかかる。
「よせ雅人!!」
蓮は雅人を静止するが間に合わない。
だが雅人の拳が男に当たる瞬間、別の男が現れ雅人の拳は別の男に防がれてしまう。
「ダイジョウブデスカボス」
大柄でさっきの男よりも身長の高い男は両の腕を交差させ雅人の一撃を防ぐ。
「人間相手に何やってんだテメーら、この世界じゃ俺たちの力でも人は死ぬんだぞ」
エデンにいた頃はアーツやトランスで受けたダメージは心にダメージを与えていた。
だがこの世界ではアーツやトランスで受けた傷はそのまま体に残る。
人を殺そうと思えば、この世界では殺せるのだ。
「下がれアイク」
カタコトで話している大柄の男はアイクと呼ばれているらしい。
「うちの奴らが迷惑かけたな、俺の名前は高嶺 響。 後ろにいるのは佐倉 鳴」
鳴と呼ばれる少女はかなり小柄な容姿で髪の長さはセミロング程度、プラチナブロンドの綺麗な髪の色をした少女だ。
狼のような鋭い目をしていて、気を抜けば食べられてしまいそうなそんなかんじだ。
鳴は高嶺の後ろから蓮達を真っ直ぐ見ていた。
「後ろの佐倉さんは随分と警戒してるみたいだけど?」
「気にするなこいつそういうやつだ」
高嶺はそう言い背を向け建物の方へ歩いていく。




