第三十八話 戦士の成長
「さてと行きますか」
蓮と雅人と凪そして葉風は昇降口に集まっていた。
「今回は私達だけってことね」
「メンバーとしてはこれが最善ってことか」
雅人は蓮と凪を見てニヤリと笑った。 基地に残るメンバーは雪菜と香澄と集、最大限のメンバーを使い万が一の事を考えメンバー配置を蓮が決めた。 雪菜はブレアとの戦闘でのダメージが残っている為必然的にメンバーから外れる。
「蓮、何でこのメンバーなんだ?」
「ん? ああ、なんとなくだよ、なんとなく」
蓮は雅人の方を見ず全く別の方向を見ていた。 そこに何か深い理由はある様で無さそうな返しだった。
「ほんと適当ねアンタ」
凪は呆れ声を出す。
「まあ今回は偵察がメインだからな、危険な事があればすぐに逃げるさ。 その時は頼むぜ博士」
「危険な事が起これば私が助けに行くさ、蓮意外な」
葉風は表情と声色を変えずに淡々と話した。 そして葉風は蓮の手を握る。
「目的の場所は転移して真っ直ぐ進めば見えてくるはずだ、映像で見ただけだが建造物はそこそこ大きいから分かりやすいと思う。 まあ会議の時に見てるからわかると思うけど」
葉風は白衣のポケットからデバイスを取り出し、人影と建造物の写真を見せた。
「もし危険だと感じたらすぐに安全地帯まで逃げるんだ、そうすれば私が必ず迎えに行く」
葉風の声と同時に凪と雅人も葉風の手に触れる。
「準備はいい?」
葉風は三人を見回す。
「いいぜ」
「大丈夫よ」
「よし、行くぞ!!」
その掛け声と同時に四人は葉風の能力で転移した。
「転移完了、私は体力温存のためにも戻るよ」
葉風はその言葉を残し、一瞬の間に姿を消した。
「俺たちの返答を待たずに行っちまったな」
「博士はそういう奴だ」
三人が転移してきたのは森の中だ、葉風の転移可能位置そして目的の場所に一番近いところに転移した。
まだ時間は朝の九時、早い時間に出発したのは探索時間を十分にかけるためだ。 前の様な戦闘を避けるため
「安全地帯ではあるが警戒はしといた方がいいだろうな」
雅人はそういい、自分のアーツを出す。
「お前達は温存しといてくれ、俺が必ずお前達を守る」
雅人はそう言い、皆の前を進んでいく。
「頼むぜ雅人」
「お願いね雅人」
二人は雅人の後ろをついていく。 目的の場所は葉風が転移してくれた場所からただ真っ直ぐ歩いていくだけだ。 それぞれが持っているデバイスのマップアプリを使えば正確な位置までわかる。
凪はポケットからデバイスを出しマップアプリを開く。
「一応真っ直ぐ進めばいいとは聞いてるけど私がアプリで目的地見とくから」
凪が画面に集中した瞬間、木の影から狼型のアビスが飛び出してきた。 凪の首元に向け飛びかかって来たアビス、凪は突然現れたアビスに能力の発動が遅れ、自分の腕で攻撃を防ごうとした。 凪は両眼を閉じアビスの攻撃に構える。
ドンと鈍音が響く、凪は恐る恐る両眼を開ける。 目の前には雅人の背中があった。
「お前達は俺が守るって言っただろ」
空中で狼型のアビスは顔面に雅人の拳がめり込んだ状態で静止していた。 まるで時間が止まった様なそんな状態だった。
雅人はそのまま拳を地面に向け振り下ろす。 振り下ろした拳は狼型アビスの顔面を地面に叩きつけ、そして雅人の拳は狼型アビスの顔を粉砕し地面に大きなヒビを作る。
狼型アビスは顔面を砕かれ、砂になり消えた。
雅人は拳を地面から静かに離す。
拳の先から砂埃がポロポロと落ちる。
「雅人お前そんなに反応早かったか?」
今までの雅人は反応速度が遅いわけではないが、あんなにも早くアビスに反応できた事はない。
「さあどうだかな」
雅人はそのまま目的の方向に歩いていく。




