第三十六話 繋ぎ止めた命
記憶を失っているということなのだろうが、今までなんの能力も発現してこなかったのに急に能力を使って戦ったなんて言われても納得できなかった。
「だがそのおかげで俺達は命をつなぎとめる事ができた……集に助けられてな」
「俺が……」
集は掌を見つめる。
(俺が能力を……今まで何も発現しなかったのに……)
突然のピンチに能力が発言する、そんなありきたりな展開で能力が発言するなんて事があるとは集ですら思ってもいなかった。
「だけど集、もし次に能力が使えたとしてもまだ使わない方がいい」
「どうしてだ?」
「コントロールしきれない能力は周りを傷つける可能性があるからだ、見た事があるだろ? 能力者の初めての能力の覚醒を」
「そういうことか……」
「一番最初に能力をコントロール出来ないことはたまにある、だが集、お前の場合そうじゃない。 正直コントロールは出来ていたと思う、だが見てただけだがアレはお前がコントロールしていたわけじゃない、記憶も無い状態はコントロールしていたなんて言えない」
「記憶もなけりゃコントロールなんて言えないか……まあ能力は使える気はしないがな」
そういうと集はベッドに体重をかける。
「それと何故だかわからないが集、お前はブレアからの攻撃を受けていないのにアレから三日間も眠っていたんだ。多分能力発現の反動だ」
集はブレアとの戦いでほとんどダメージを受けていなかった、だが集は体に傷は無いが眠り続けていた。
「まだ万全な体調になるまでしばらく休んでいてくれ、俺と雅人と凪は別の用で出るからな。 なんにかあれば葉風や才人を頼っってくれ」
「何かあったのか?」
俺は自分が眠っている間に何かあったのかを聞く。
「ああ、才人が作った偵察機が今までなかった施設のような建物を発見したんだ。 そしてまた人影を見つける事ができた」
「人影を道ける事ができったって……またブレアみたいな奴だったらどうするんだよ」
俺は蓮達がまたブレアのような相手と戦うことになると思うと心配になってしまった。
「ああ、今回は大丈夫だ。 人影は確かに人間だった、鮮明に写っていたからな」
「そうか、それなら安心か……。 道中は気をつけてくれよ、もうあんな思いはしたく無いからな」
俺は雪菜の腕の包帯を横目で見た。 雪菜と知佳はいつの間にじゃれ合いをやめていた。
雪菜は腕に巻かれている包帯を隠そうと腕を後ろで組み隠した。
俺の言葉で雪菜も俺が心配していることを再度感じたのだろう。
「今回、雪菜は連れて行かないから安心してくれ」
蓮は雪菜を見た後口元をニヤつかせながら集を見た。
「雪菜のことだけじゃねーよ!! 俺は皆の事も心配してるんだよ!!」
俺は雪菜のことだけじゃ無く、皆の事も心配していることを強調した。
確かに一番気持ちが爆発した瞬間は雪菜が殺されそうになった時だ。
「わかったわかった、まあ今回は雪菜はダメージ大きいからお留守番だ」
今回は雪菜の方をしっかり見てそう伝えた。
「了解、リーダーの怪我は大丈夫なの?」
雪菜は蓮の様子を見ている。
雪菜は蓮をリーダーと呼び蓮の状況を見ていた。
蓮はブレアとの戦いでまともに攻撃を受けていた。 アーツで守ってはいたがそれでも相当なダメージがあったはずだ。
「俺か? 俺は大丈夫だ」
蓮は左手を右肩に当て方を回し、自分が何の問題もないことをアピールした。
「大丈夫そうだね。 なら任せるよ」
雪菜は自分のベッドに戻り天井から吊るされているカーテンをしめる。




