表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

お嬢様はかわいいです!

「工藤、ちょっとそこに正座しなさい。」


 お嬢様がおっしゃったので、私は指示通り正座する。


 私は、何か失態をしてしまったのだろうか。


「目を閉じなさい。」


 私は目を閉じる。


 お嬢様が、私の後ろに回り込まれたのが、足音から分かる。


 何かされる……!


「わ!?」


 お嬢様が、私に何かを被せてきた。……アイマスクだろうか?


「じゃ、ちょっとまってて。」


 お嬢様は私を残したまま、部屋を出ていかれた。


 ……もしかして、放置プレイ?


 怒るのすら、めんどくさいと思うほどの失態だったのだろうか……。


 私は一人で反省していた。


 しばらくして、ドアが開く音がする。

 

 お嬢様が戻ってこられた。


「まだ、目を開けちゃだめよ。」


 なにやら、ごそごそと何かの作業をしていらっしゃる。


 私はお嬢様の作業が終わるまで、待つ。


「はい、じゃあ、目隠しを取っていいわよ。」


 私は目隠しを取る。


 その瞬間。


 パンッ! と音ともに何かがこちらに飛んできた。


 お嬢様が手に持っていたのは、クラッカーだった。


 私の頭にはクラッカーの中身が乗っかっている。


「工藤、誕生日、おめでとう!」


 お嬢様が笑顔でそうおっしゃったことに、私はポカーンと口を開けて驚く。


「ほら、あんた、今日誕生日でしょ。仕方ないから私がお祝いしてあげるのよ、感謝しなさい。」

 

 お嬢様は、テーブルの上を指さし、言った。


「ほら、ちゃんとケーキも準備したわよ、感謝しなさい。」


 テーブルの上には丸いケーキがおいてある。ピンク色のクリームと、イチゴ、チョコレートが載っていた。

 

「ほら、食べなさいよ。私が『あーん』してあげるから。」


 お嬢様は、ニコニコしている。


「あーん、ですか!?」


 私は、お嬢様のこの行動の真意を探る。

 

 少し前の紅茶事件からして、このケーキも何か仕込んであるに違いない……!


 でも、お嬢様の命令は、絶対なのである。


「はい、あーん。」


 お嬢様はケーキを私に差し出されている。


 覚悟を決め込み、それを口にする。


 そのケーキは、甘くて、おいしかった。


「お嬢様、これ……!」


「何よ、私が何かケーキに入れてるとでも思った?」


 私はぎくりとする。


「今日は工藤の誕生日だもの。ちゃんと祝うわよ! ……おめでとう。工藤。」


「はい! ありがとうございます! お嬢様!」


 私は笑顔でお嬢様に最大の感謝の意を示す。





 お嬢様は、わがままで、天邪鬼で、気まぐれだけれど、


 とっても、可愛らしいお方なのである。


 私は今日もお嬢様と過ごせてよかった。

 

 そう思う一日であった。

 












最後までお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ