表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

お嬢様は天邪鬼です!


 お嬢様と私は、とある遊園地に来ていた。


 突然、お嬢様が「遊園地に行きたい! 工藤、連れてって!」とおっしゃったためである。


「私、あれ乗りたい。」

 

 お嬢様が指さした先にあったのは、コーヒーカップだった。


 お嬢様は、絶対に高速でぐるぐる回す気でいらっしゃる……!


 私は身の危険を感じた。


 しかし、お嬢様の命令は、絶対なのである。


「分かりました。お嬢様、乗りましょう。」


 お嬢様と私は、乗り場へと向かう。


 いざ、カップに入ると、お嬢様との距離が近い。


 けれど、そんなことは、気にしていられない。いまから、地獄が始まる……!


「これ、回すのよね?」


「はい。その通りでございます。」


 私の想像通り、お嬢様は高速でぐるぐると回す。


「きゃー!」


「ぎゃああああああ!」


 5分後、私は死にそうになっていた。


「あら、工藤……! 顔色悪いわよ!? 大丈夫? ……まったく、頼りないわね。」


 心配されているのか、けなされているのか分からない。


「次いくわよ! 次。」


 お嬢様が向かった先は、お化け屋敷であった。


 確か、お嬢様は暗闇とかお化けがお嫌いなはず……。


「……お嬢様、大丈夫ですか?」


「工藤、それどういう意味よ!? 私がビビってるとでも!? この私が!」


 お嬢様はお怒りになった。


「いえ、なんでもありません! 行きましょう。」


 そう言ったが、お嬢様は入り口に入ろうとしない。


「……工藤、しょうがないから、先に行かせてあげるわ。」


 それはつまり、先に行きなさいという意味だ。


 私はお化け屋敷の中に入る。


 お嬢様は私の後にピタッとくっつくようにして、ついてこられる。


「きゃああああ!」

 

 何かに触れたのか、お嬢様が叫ばれる。


「大丈夫ですか、お嬢様!?」


 お嬢様は私に抱きついてこられる。


「だ、だ、だ、大丈夫に決まっているでしょう!? 私を誰だと思っているの!」


 お嬢様は絶対に怖がっているが、強がっていらっしゃる。


「お嬢様、もうすぐ出口ですよ。」


「く、工藤、歩くの早いわよ。もっとゆっくり歩きなさい。」


「分かりました。」


 ようやく、出口にたどり着く。


「お嬢様、出口です。」


「……はあ。……たいしたこと、なかったわね。」


「そうですね。」


 同意しないと怒られるので、同意しておく。


「それじゃあ、帰るわよ。」


「はい、分かりました。お嬢様。」


「……また、いつか一緒に来るわよ。」


 お嬢様は、私の方を振り返ることなく、おっしゃった。








 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ