表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

お嬢様の命令は絶対です!

1話ごとに完結します。

(6話ほど投稿予定です。)

 

「ちょっと、工藤! 背中、かゆいんだけど。」

 

 私は本条家に仕える執事である。名前は工藤。


 お嬢様のわがま……ごほんごほん!

 お嬢様の命令に従う。それが私の使命。


「はい。お嬢様、お背中をおかきします。」

 

 私はイスにお座りになっているお嬢様の背中の方へ回る。

 そして腰をかがめながら、服の上から背中をかく。


「ちょっと工藤! 服の上からかいても意味ないでしょ!?」


 お嬢様の発言に、私は困惑する。


「そ、それでは、どうやっておかきすればよろしいんですか?」


 お嬢様は、ニヤっと笑い、おっしゃった。

 

「直接に決まってるじゃない。」


「ちょ、直接……ですか!?」


 おろおろする私に、お嬢様はおっしゃる。


「そうよ。直接よ。」


「それは、一体どうやってですか。」


 お嬢様は、ドレスを着ていらっしゃる。背中だけ捲れるものではない。


「そんなこともわからないの!?」


 お嬢様は顔をしかめる。


「脱がせばいいじゃない。脱がせば。」


「脱が……っ!? い……いや、お嬢様。それは、その……。」


「何よ。何か私に文句あるの!?」


「い、いえ、滅相もございません!」


「私の命令は?」


 お嬢様が、この質問をしたとき、私がお答えできる言葉は1つだけしかない。


「絶対です。」


 私は、恐る恐る、お嬢様の背中のファスナーに手をかけた。

 その時。

 

「あ、やっぱり、もうかゆくなくなった!」


 そうおっしゃったお嬢様はイスからいきなりお立ちになった。


 急だったため、私は驚き、後ろに倒れ、尻餅をつく。


 お嬢様は後ろを振り向き、私におっしゃる。


「あれれ? もしかして、本気にしちゃった? 本当なわけ、ないじゃん。」


 お嬢様は高らかに「あははっ」とおっしゃった。


「工藤の慌てっぷりったら、笑える!」


 私は今日も、お嬢様にイジメ……ごほんごほん!

 お嬢様から笑顔を受け取らせていただいているのである。

 






 


  



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ