9話 『集合』《アルカナ》
私がここに来てから約2週間。
今日はアルカナ正教会のメンバーが珍しく全員集合するらしい。
……というか、私が気になって皆無理して来るらしい。
少し緊張しながら、大聖堂への扉を開けると……
「……ふむ、この娘が例の継承者なのか?」
「おー、何や!フツーに可愛いコやんか!
こんなコがあのムサい男の後継者でええんか!」
「アリアちゃん、だよね。はじめまして!」
初対面の人達がすぐに話しかけてきた。
「あ、あの……」
私が対応に困っていると、
「はいはーい、皆注もーく!
個々の自己紹介は後にしてねー!色々報告するよー!」
マッドさんが手を叩いて皆の注意を私から逸らしてくれた。
「さてと、久しぶりの面子も居るねぇ……
大体察しはつくけど、キミら何してたの?」
「仕事が忙しくて……」
「俺の血が騒がなかったのでな……」
「えーだってめんど……
集まれって言われんかったし……」
「あはは、適当に言ってた奴ら後でレオ君の雷決定ね!」
……本当にこの人達は最強魔法使いの集団なのだろうかと思ったのは何度目だろうか。
「……で、報告って何だい?」
マッドさんの近くにいた白いローブの男性が本題に戻してくれた。
「あぁ、そうだった。
……えーとね、最近また増えてきた『悪魔』の被害だけど……」
マッドさんが私の顔をチラチラ見ながら話し始めた。
私に気を使っているのだろうか。
心配はない、と首を振りサインする
「ここ半年で10件……
辺境の村なんかを中心に被害を受けて、犠牲者も多く出てる。」
「……それ自体はいつも通りの報告ですね。
他に伝えることがあるでしょう?」
と、盲目らしい青年が発言する。
「流石『天眼』だねぇ。その通り。
遂に王サマが重い腰上げてくれたよ。」
「……と言うと?」
「王室から直に『悪魔』調査の依頼が来たよ。
王サマってバックがついた以上、サボりが出来なくなったよ!やったね!」
先程変な理由を言った人達に綺麗な笑顔で言った
「まぁ、やることはいつもと変わらんか。」
「そうですわね……
というか、王室からの依頼って未だに無かったんですの?」
「知らなかったのかい?
基本王族なんて自分達の保身にしか興味ないからね。」
私が会話に入る余地もない、という感じだ。
「あ、それと魔物討伐の依頼書はあそこね。
暇がある時に受けるように!以上!」
近くの掲示板を指差し、そう言って会議(?)は終わったらしかった。
……それから私は、彼らの自己紹介ラッシュを喰らうことになる……