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第28話:リータwithクロイド

「・・・痛っ!!」

目が覚めると、私は白い天井の下、白いベットで眠っていた。

「おぉ、起きたか。」

「・・・んー・・・何で手ぇ握ってんの?」

「いや、それは事故にあった恋人設定だろう。常識だろ?まったく。」

「あっは!そっかそっか!ごめんごめん!何かこっちの世界の空気になれちゃってさー、あっちの・・・っておい!!何?!この状況はっ!」

私の手を優しく汗ばんだ手で握っていたのは、クロイドだった。

私は手を大きく振り払った。それと同時に腕に酷い痛みが。どうやら私は大分けがをしているようだ。「つれねーなー」という反応は無視だ。


「っていうか、ここ、どこ?」

「ここは、リズレバークの病院だ。何だか知らないけど、お前が俺のとこに降ってきてな・・・」

「それで、私が気絶してるのに乗じてセクハラってこと?」

「そうそう!」

・・・ぶっ飛ばしてやりたい。こいつは。

けど・・・何だろ、うれしいような・・・何だろう。可愛さ余って憎さ百倍ってやつかしら?


「・・・まー・・・とにかく、ありがと。助けてくれたみたいで。」

「ん?あぁ、気にすんな、そんなこと。ところで、さ。何でこんなところに来たんだ?」


「・・・あ、それは・・・あの、メルシィとかいう女に矢で射抜かれて・・・気づいたらここに。自分でもよく分からない。」

「へぇ・・・あいつが・・・。」

「知ってるの?」

私がそういうと、クロイドは少しハッとした顔をして「いや、初めて聞く名だな。」と答えた。


「そう・・・って、こんなことしてられない!姫がっ!」

私が慌てて起き上がろうとすると、再び強い痛みが走った。

「・・・おいおい・・・寝ていなきゃ駄目だろう・・・?」



「へ・・・?クロイド、何を・・・?」

クロイドは私の頬にそっと手をかけ、スルスルと手を私の体に向けて滑らせた。

「ちょ・・・何、やめ・・・」

それでも体は痛み・・・・・・いや、違う。痺れてるんだ。これは。

「おい・・・今更何を言ってる?本当は・・・俺のことが好きでたまらないんだろう・・・?」

意味分からない。クロイドってこんなやつだった・・・?


「ば・・・い・・・」

体中に痺れが回り、呂律すら回らなくなってしまった。


「何?どうしたんだ?リータ。誘ってんのかぁ?・・・ま、言われなくてもこっちはもう準備万端・・・」

そう言ってクロイドは私の服の中に手を・・・


「・・・誰だ、お前。」


・・・え?・・・。

私は声が聞こえたドアのほうを見る。

クロイドが・・・二人?


私の目の前でふわふわしたことをしようとしたクロイドは、女の声で言った。

「ちっ・・・これからが面白いところだったのにー。間の悪いですね。」


「え・・・え・・・?」

・・・やばい、全然喋れない。

急に女の声になったクロイドは、顔の皮をべリべリ!と剥がした。

「え・・・え・・・?!」

この人は、騎士団の入団試験の時の・・・

「お久しぶりです。リータさん♪もう少しでリータさんとあんなこととかこんなこととか・・・色んなことができたんですけど、残念でしたねー。」

「あ・・お・・・?!」

「残念でした。私がよく効く薬を飲ませてあげたので、当分は動けませんよ。世界の主様の計画が終わるまでは♪」


「何だか知らないけど、どうやらお前は敵っぽいな?」

クロイドは元偽クロイドの女に向かって言った。

「申し遅れました。私はクラシュの幹部、兼王国騎士団一番隊隊長のシーラです♪

以後お見知り・・・あ、そんな必要はないか・・・」


「ベラベラと・・・何がしたい?お前は。」

「だって、貴方達二人はここで『死ぬ』んですからね♪・・・あ、リータさんは後でゆっくりと色んなことをしてからってことになりますけど・・・」

コイツ・・・変態だったんだ。


「あ?色んな事?!ど、どんなことだっ?!」

・・・誰かー・・・。ここに変態が二人・・・。


シーラはクロイドを無視して言った。

「さて、おしゃべりはこれくらいにして、男のほうを片付けますか♪」

そう言ってシーラはどこからか剣を抜きだし、クロイドに向けた。


「・・・片付ける・・・?面白いな・・・それ・・・。」


「でしょう?」

シーラは剣を振りかぶり、クロイドに向かって跳んだ。


「では、さようならっと!!!」

「う〜ん、微妙だな。ホントにそれで隊長か?おい。」

クロイドはそう言いながらも少し息切れしながら本気で避けていた。


「あ・・・こんなの知ってるか?針治療っつーんだけど。」

クロイドはバッ!と手を振り、その瞬間、何か光るものがシーラに向かって飛んでいった。


「針治療っていうのは、ある器官とか、筋肉とかを刺激して治療する・・・ってやつなんだけどよ。

刺激の仕方によっては、面白いことになる。」


「ぐっ・・・体が?!」


「体にも力が一番働くところー・・・とか、そういうのがあるわけだ。

そこを針で刺す。するとどうなる?」


「・・・動かない・・・?!」

シーラは苦しそうな顔をしながら言った。

「はい、大正解。力が一番働く・・・つまり力の起点となるところ。そこに針を刺してブレーキをかけちまえば、

全身に行き渡る力ってのは極端に減る。」

クロイドはニヤッと笑って見せた。


「あとな、力の起点を今、例えってことで出してみたけどよ。

生命の起点・・・ってのも当然あるんだよな。針の届く範囲に。」


そう言ってクロイドは手に一本の針を取り出す。

そしてシーラに向かって思い切り投げた。その瞬間、シーラはその場に倒れこんだ。


「・・・よし、『片付いた』。楽だったな。」

するとクロイドは私をちらっと見て言った。

「大丈夫。別に殺したわけじゃない。ずっと寝てればそのうち助かる。起点から少しだけずらしといたからな。」


・・・何よ、こいつ・・・メチャメチャ強いんじゃない・・・。


「ほ、え・・・・」


「さて・・・次はお前の治療か・・・

でも、こんなチャンスめったにないよな?」

そう言ってクロイドは手をわきわきと動かしながら私を見た。


「は・・・・?!」


「さっきのコイツの『色んなこと』っつーのが気になるけど、まぁ、色々やってみてもいいか?」

こいつ・・・やっぱり駄目だ!


「お・・・・!!」

「冗談だよ。早いところ、俺達は行かなきゃならない。北の町・・・ギリードにな。」


ギリード・・・世界の主の本拠地か・・・。



「・・・・・・でも、やっぱりちょっとだけ色々やってみていい?」


「ク・・・・ド・・・ぉ!!!」


よく分からないけど、私の中には怒りとともに、何か嬉しさがあった・・・・・・ような気がしたけど、気のせいよね。絶対。


こんばんは、甘味です。

リータの戦いと言いつつ、結局リータは何もせずに何とかなりましたね。


さて、次回はフランチュールの戦いです。

そして、この『ラスボスの居る塔とかで、各階に中ボスが待っていて、

階をあがるごとに【ここは私(僕)に任せて!】みたいな感覚で

途中でメンバーに入ったような交流の浅い仲間が減っていき、

最終的には主要メンバーだけになる』状態が終了いたします。

少し違う気もしますけど・・・。


と、言うことで(?)次話もよろしくお願いいたします。



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