第27話:シトリアwithシトラス
本当に・・・本当にすみません。
また大分時間が空いてしまいました。
「・・・痛た・・・ここは・・・?」
周りを見回す。
ここは・・・私の第二王女就任で世界中を回ったときに見たことがある。
確か・・・チレブインっていうところね。
・・・でも、何でこんなところにいるのかしら?
・・・あぁ、あのメルシィとかいう奴の射た矢に刺さったんだっけ・・・?
・・・まぁ、いいわ。きっと、何か意図があってのこと。
彼女は敵じゃないのかしら?
「隊長!侵入者です!」
「えー?何ー?マジ超侵入とかたるいんですけどー?っつか、体勢とか整ってねーし、このタイミングで侵入とかありえなくなーい?」
・・・やっぱり、敵だったみたい。
っていうか、この人は人間・・・なの?
何て禍々しい顔・・・
「貴女は・・・化け物?」
「えー、マジそういう冗談むかつくんですけどー。バリどう見てもフツーだしー?ちょ、自分可愛くないからって拗ねてんのか知らないけどー?
ふざけんのやめてくんないー?」
私はニッコリと笑って言った。
「あっ!ごめんなさい!余りにも『グロテスク』なお顔だったので、間違えちゃいましたー!
あれ?っていうか、それ、そのメイクってわざとやってるんですかぁ?・・・・・・あっ!そっか!すいません!今日はサーカス団が来てるんですね!
ピエロさんは貴女ですか!あー、すいませんホントに!」
「は?マジあんた喧嘩売ってんのー?
このローズ様に勝てるとでも思ってんのー?んー?クソガキのお嬢ちゃん?」
「・・・うるさいですね。さっきから、むかつくんですよ。その顔といい、話し方といい、顔といい。
あ、ほら、部下もさっき貴女に話しかけるときめちゃめちゃ嫌そうな顔してましたし。」
「マジなのかてめぇ?!」
ローズは物凄い顔で部下を怒鳴りつけた。
部下は話をそらす。
「た、隊長!そんなことより、こいつが世界の主様から言われていた奴等の一人ではっ?!」
「あー・・・?・・・マジそんなこと知らないんですけどー?」
「ノベル様から人相書きを渡されたでしょう?」
「・・・・・・知らねぇって言ってるだろーが!」
「・・・なくしたんですか?」
「片っ端からぶっ潰せばいーんだろ!」
「・・・なくしたんですか・・・。」
「っつーことだ、クソガキ?仕方ないから、ローズ様が直々にぶっ殺してやるんでー?マジ感謝してほしいってゆーかぁ?」
「・・・いいでしょう。これ以上話すのもイライラしますし、どうせ戦う運命だったのでしょう。
本当は私は戦ってはいけない身なのですが・・・この際・・・そんなことどうでもいい。
『殺す気』で貴女と戦いましょう。」
「つーことで、第一弓隊!マジこのガキ撃っちゃって欲しいんだけどぉー。」
「なっ・・!」
いつの間にか10人近い兵士がローズの後ろから現れ、矢を構えていた。
ちっ・・・まずい。一人だと思ってなめてたか・・・。
私は一斉に放たれた矢を横に飛んで避ける。
「へー、避けれちゃうんだぁ?第二戦闘隊!行っちゃって〜?」
すると、一般的な邪族が10・・・いや、20匹ほどローズの後ろから現れた。
私は武器紙を取り出す。
動くのはあんまり好きじゃないけど・・・仕方ないわ。
私は細身の剣を描いた。そして形を思い浮かべた次の瞬間、それは立体の物へと変わる。
「へぇ、ここで使うんだぁ?それー。」
ローズがニヤニヤと笑いながら言った。
「グギャオオー!!」
・・・醜い鳴き声。ふぅ、気持ち悪いけど・・・。
一匹が襲いかかってきた。
私は飛んできた足を横に避け、そのまま膝に剣を突き刺し、そのまま体を真っ二つに切り裂いた。
「・・・やるじゃーん?」
当たり前。伊達にあのバカ姉の下で生きてない。
私は前衛の三匹に大きく踏み込み、右端の一匹に剣を突き刺し、
大きく左に振る。
・・・これで、四匹。
「・・・ふ〜・・・・・・。」
「え〜?もう息上がっちゃってるの〜?マジ雑魚なんですけど〜。
そんなんで、このローズ様に逆らったの?って感じだしぃ〜。」
「・・・止まらない口ですね。」
私は手に持っている剣を一匹に投げつけた。
そして、自分の持っている最後の武器紙を取り出し、一瞬で描く。
「・・・?何それぇ〜?そんな細腕でそんなでかい剣振れんの?」
「馬鹿に・・・するのも・・・やめてもらいましょう・・・か。」
・・・重い。いけるかな?って思ったけど・・・重い。
私の体ほどある大剣。
自分でもどこからこれを使いこなす自信がでてきたのか分からないけれど、・・・どうしよう。
剣を持ちながら少し迷っていると、声が聞こえた。
「シトリア。ガードして。」
「はい?」
私はとっさに剣を自分の前に置く、すると剣に大量の矢が当たって、大きな音を立てた。
「・・・誰?」
「何、お姉さんの声も分からないくらいに慌ててるの?」
声を出していたのは、私の背中に巻かれていた本だった。
「ヴェイ・・・ですか?」
「いや、シトラスよ。祐樹がいないところで、何でキャラを作らなきゃいけないの?・・・ま、いいわ。大分まずいみたいじゃない?」
「・・・別にそんなことは・・・」
「私、教えなかったかしら?騎士の心得、第4条。戦いにおいて、常に自分に有利な場所、敵、武器が与えられるとは限らない。
如何なる劣勢に立たされても・・」
「自分の有利になる環境を作る・・・でしたっけ。」
「正解♪さ、続いて問題です。敵の数は、私の一部から見たところでは、敵の数は弓兵が50人、邪族が100匹ってところ。
場所は、左、右には岩壁。背後には少しのスペース、けど行き止まり。つまり逃げ道は無し。
武器は体格に見合わない大剣。武器の変更は不可。さぁ、どうやって切り抜けますか?」
「・・・また難しい問題・・・ですね。」
私が普通に姉と暮らしていた頃、姉は徐々に詰め込まれていく知識を使って、私に問題を出すのが大好きだった。
ローズがイライラとした口調でいった。
「ちょっとぉ?マジ独り言とかキモいんですけどぉ〜?
っつかマジ、もうローズ様が直々にぶっ殺してやっからぁ?」
そういってローズは背中から鉄の棒を取り出す。
「・・・さぁ、ここで、ヒント!この辺りの岩は酷く脆いなー。」
「・・・・・・・・・・あぁ!・・・成程。分かりました。正解が。」
「じゃ、早速見せてくれる?」
姉はいつもヒントを出す。飛びっきり分かりやすいヒントを。
「だから1人で喋っててキモいっつーの!」
ローズは私に飛び掛り、棒で突いてきた。私はそれを紙一重に避ける。
そして、大剣をローズに・・・ってのは無理。重いから、そんなに早く動けない。
「なっ?!」
ガラガラと言う大きな音と共に、壁は崩れ、ローズと私、他の兵の間に瓦礫の壁ができた。
「・・・これで一対一、ですね。」
私は、壁に突き刺さった剣を引き抜きながら言った。
「は・・・どっちにしても、そんな大きい武器扱えないじゃん?自分に不利な状況作って何にやついてんのぉ?」
「武器・・・あぁ、この『ゴミ』のことですか?」
そう言って私は武器を地面に投げる。
「貴女一人ならば・・・・・・私の体一つで十分です。」
「・・・バッカじゃないの?」
ローズは狭い中棒を振り回し、私に近寄る。
ドカッ!バキボキバキャ!・・・ゴキ・・・!・・・ドンドンドンドン!!!・・・・・・
「さて、ここで聞きましょうか?今、この場で死ぬのはどっちでしょーか?」
私はローズの鉄の棒をグニャリと曲げながら言う。
「っつーかぁ・・・化け物って・・・・・・どっちよ・・・?」
「さぁ?どっちでしょうね。」
私は最高の笑顔で、ローズの顔に最高の一撃を浴びせた。
「おー、鮮やかだね。さ、シトリア。西へ向かいましょっか」
「・・・はい?」
「私の一部がギリードが世界の主とやらのお陰で面白いことになってるのを見せてくれたの。早く行かないとまずいんじゃない?
他の、祐樹と・・・愉快な仲間たちも、きっと今向かってるわ。」
「分かるんですか?」
「・・・いや、勘よ。」
少しの間沈黙が流れた。
私はふぅとため息をついてから言った。
「まぁ、信じるとしましょう。じゃあ・・・早速行きますか。『面白いところ』に。」
そう言って私は瓦礫の壁に足をかけた。
こんばんは、すみません少し振りです、甘味です。
雰囲気的に四方へと散らばった祐樹と愉快な仲間たちの戦い、『シトリアwithシトラス』編となっております。
シトラスへの未練丸出しの感じになっておりますが。
そこは、いいとして。
次話では、リータ編をお送りしようかと思います。
番外編で沢山出ていながらも、本編ではやはり影の薄いリータが今回こそ頑張ってくれます。と思います。
思えば先日、書き始めてから4カ月が経過しました。
皆様からはランキングのほうに沢山のクリックを頂き、大変励みとなっております。
もう、いくら感謝したって足りないだろう!というくらいであります。
本当にありがとうございました。
・・・そして、残り少ない執筆期間とはなるでしょうが、これからもあおしろをよろしくお願いいたします!・・・・・・あれ、卒業作文みたいですね。
・・・何はともあれ次話もどうかよろしくお願いいたします。