表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/42

第25話:もう一つのプロローグ

真っ暗な部屋の中。

黒いフードを被った男は蝋燭ろうそくに火を灯し、汚れた木のテーブルの上に地図を広げる。


「ねぇ・・・何でこんなことするの?」

女の声。

男は一瞬振り向いたが、またすぐ地図を見ながら言った。


「君には分からないと思うよ。咲。

でも、これはやらなければいけないんだ。どうしても。」



「ホントに・・・全然分からない。何で私がこんな目に遭わなきゃいけないの?!

ここどこなの?!何をしてるの?!何を考えてるの?!」


咲はガチャガチャと音を立てながら泣き叫んだ。

咲の腕は壁に鎖でつながれている。


咲は静かに泣きながら言った。

「何でこんなことになっちゃったの・・・?浩太君・・・。」


「・・・分からない。けれどこれはずっと前から決まっていたんだ。

運命さだめってやつ・・・かな。」


そういって浩太は、はは・・・と笑った。


「でも、もう少しで終わらせることができる・・・この、最後の『失敗作』を。」


そういうと浩太は地図に四ヶ所画鋲を刺した。


「これで・・・よし・・・と。」



「何を・・・しようとしてるの?」


「君はただ黙って僕の傍に居ればいい。君は邪魔な虫を払ってくれるだけでいいんだ。」


「・・・・・・。」

咲は黙り込んだ。




すると、ガチャっと音を立て誰かが入ってきた。


「世界の主様。どうやら奴等が動き出したようです。」


「いよいよ・・・か。まぁ、いいよ。もう遅い。準備は9割がた整ってる。」


「どういたしますか?」


浩太はそうだなぁ・・・と言って少し考えると言った。

「クラシュの幹部を何人か・・・送っておいてくれ。勿論殺したって構わない。この世界の人間には価値なんてないんだから。」


「しかし・・・あの、祐樹とか言う人間は?あれはこちらの世界の人間ではないでしょう。」


祐樹という名を聞いて咲が叫んだ。

「祐樹?!祐樹がいるの?!」


浩太は咲に向かって言った。

「あぁ、来ているよ。だから君を連れてきたんだ。」

そして次は入ってきた男に向かって言った。


「・・・愚問・・・だな。僕がこの世界に足を踏み入れた人間に情を移すとでも思ったかい?」


「いえ・・・申し訳ありません。他には何かありますか?」


「あぁ、西のコトゥール、南のリズレバーク。それと・・・東のチレブイン。それぞれにありったけの邪兵を待機させておいてくれ。クレパには・・・必要ない。既に手を加えておいたから。」



「了解しました。・・・では、失礼しました。どうか、世界の主様の最後の願い、叶いますように。」

「あぁ、ありがとう。君にも期待しているよ。」



男は深く一礼し、部屋を出て行った。



「さて・・・と。そろそろ始めようか。やっと・・・やっと終わらせられる・・・ふふ・・・はは・・・はははは!!!!」



浩太の笑い声が響く部屋の中、咲はただ一人で泣いた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ