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番外4:バレンタイン大作戦?2

何だかんだでバレンタインデー当日。

俺は近所のコンビニに菓子を買いに行った帰り、


「あ、祐樹さん。今日暇ですか?」

そう言ってきたのはシトリア。

「一緒に『天下統一奮闘記』見ましょう。」


『天下統一奮闘記』とは、

天下取りの将軍達の頑張りを100%おふざけで完全第三者的に説明する番組。

若手芸人が将軍役などを務めていて、完全にくだらない感じになっている。正直、超子供向け番組だ。


・・・で、何で俺はこんな説明をしたのか。


シトリアが指をクリクリと動かしながらブツブツと呟く。

「もう、ホントまったく・・・信さんとかのことをあんなふうにやるなんて本当に信じられない番組ですよまったく・・・。

いや、あのですね、別に心から見たいわけじゃないですよ。

あーゆー変なのを見て、将軍達の素晴らしさをより、実感するといいますかね・・・

ほら、スイカだって塩をかけることで余計に甘く感じたりしますよね?ね、それと同じ。

ですから、べ、別にあんなおふざけ番組、毎週楽しみにしているわけではないですし・・・。」


・・・毎週楽しみにしてるんだな。


「え、って言うか、アレって火曜日じゃないか?」


「いえ、大丈夫です。録画してあるので・・・はっ!」

シトリアはしまった!と言った顔で口をふさいだ。

しかし、ゆっくりと口から手を外し、口笛混じりに言った。


「あ〜、フランチュールが録っていた?みたいな感じみたいだった?ので?いや、録っちゃったものをすぐ削除って勿体無いと思ったり?」


・・・何か少しかわいそうに見えてきた。


「ま、まぁ、このくだらない番組を一緒に笑ってやりましょうよ。・・・で、今日暇なんですか?」



「んー・・・ま、今日は土曜日だしな。じゃ、見るか。」


バレンタインなんて別に特別何かする日でもないしな。


「じゃ、あとで私の部屋に来てください。今日はフランチュールもバカ姉もいないんです。何でなんですかね?」

「さぁ・・・?」


俺は、軽く手を振り2つ隣の部屋に入っていくシトリアを見送ると、自分の家へと戻った。

・・・そういえば、何故シトリアやリータが物凄く近所に住んでいるのかは伏せておこうか。



「ただい・・・むおっ!!」

物凄い悪臭。ずっと昔に理科の実験でかいだことのあるにおい。・・・昨日と何だかデジャヴだ。


「・・・フランチュールか・・・?」


台所へ向かった。まぁ、大体同じ。唯一の変更点は・・・火柱が立ってないことかな。


「よし、2つ程聞こう。どうやって入った?どうしたらこうなった?」


「えっと、一つ目は、針金・・・」

そういってポケットから細い針金を取り出す。・・・アレってマジでできるんですか?


「二つ目は、えーっと、アンモニア・・・」

ふむ・・・やっぱりアンモニアか。


「水に入れたら・・・凄く臭くて・・・。」

・・・そりゃそうだ。よく見るとフランチュールは少し泣き目だ。


「もう一つ聞こう。何でアンモニア?」


「チョコにパンチを効かせようとか・・・・・・・」

そういってフランチュールはチラッと台所のドアを見た。


「・・・シトラス。またお前が吹き込んだのか・・・。」


「・・・見つかっちゃった?」


「よし、今日こそ綺麗にしろ。俺は今からシトリアのとこにいくから、本当に綺麗にしろ。」


「なっ、てめぇ!!姫とっ・・」

「いや、待て、逆切れされる義理はないはずだ。」



俺はちゃんとやっておけよ。と言ってシトリアの部屋へと向かった。

玄関を出て、刺激臭から解放された感覚は、ちょっと癖になりそうだ。



「お、祐樹さん。来ましたね。」


「あー、うん。菓子もあるぞ。」

そういって俺はさっきコンビニで買った菓子の入った袋を見せる。


「準備がいいですね!」

そういってシトリアはニッコリと笑った。


「ささ、どぞどぞ奥に。ソファーやら何やら準備は完璧です。」


奥のリビングへ進むと、・・・うん、ホントに完璧だ。アメリカの映画とかってこういう感じだよね。ソファーで、ポップコーンみたいな。


「さぁてっ!」


シトリアがわくわくした顔でリモコンのスイッチを押す。



『てんかとーーいつふんとーきっ♪』

子供の声のタイトルコールから始まった番組。・・・うん。


手に大きな本を持つ中堅芸人の司会者が言う。


『えー、今日は本能寺の変について何となくやりたいと思いまーす。本能寺についてのことは・・・全て!この本の内に!』


・・・くだらねぇえ〜・・・・・・。あ、今、どこ笑うべきか分かった?

うん、一から説明しようか。つまりだな、本能寺ほんのうじと、『ほんのうち』をかけたんだ。うん、説明するほどでもなかった。


隣で笑いを堪え肩を震わせているシトリア。



ここで、若手芸人達の登場。光秀役・・・うん、誰だコイツ。

信長・・・うわっ。これは酷い。何で信長太ってるんだ。


『ふはははは!!殿!貴様を焼き豚にしてくれる!!』


で、ここでアメリカのコメディっぽく観客の笑い声。


『な、何!!てめぇ!!裏切るのか!!』

『あん?てめぇ、殿とか言われて調子乗ってるんじゃねぇの?』

『・・・すんません・・・。』


謝っちゃったー!信長、超腰低いっ!光秀、今少し睨んだだけなのにっ!


『ま、いい加減お前に媚びへつらうフリをするのも飽きてきたしな。そろそろ俺が天下とるぜぇ!』

『は?!いや、俺なんてもう、天下とる寸前なのに、』『何か・・・文句あんのか?』

『何もないですごめんなさい・・・。』


やっぱり謝ったー!!信長、土下座しちゃったー!!!





・・・結局結構楽しんじゃったわけで。・・・まぁ、ああいう番組も甘く見ちゃいけないってことが分かったわけで。っつーか、これ歴史関係ないじゃん。普通にネタじゃね?これ。



シトリアは・・・隣で堪えられなくなって俺の膝に倒れこみ笑い死んでいる。


「おーい・・・シトリアー・・・大丈夫かー?」

俺はシトリアの頬をぺちぺち叩いて言った。


「ふふ・・・祐樹ふぁん・・・・焼きぶ・・・ぶふっ!!」

ダメだ。再起不能だ。



しかし、普段は姫とか呼ばれて結構ツンとしてるシトリアが、こんなに笑って子供っぽい顔してるのを見たのは初めてかもな・・・。

こうして見ると・・・ちょっと可愛かったり。やっぱり子供は子供らしい顔してなきゃだよな。・・・・って、俺はおっさんかよ。



「楽しく・・・ないですか?」


シトリアが、俺が何か考えている顔をしているのを見て聞いてきた。


「・・・いや。楽しいよ。とても。最高に。」


そういうとシトリアはニコッと笑って言った。


「私も今、最高に楽しいです♪こうして・・・・・・祐樹さんと一緒に過ごせて。」


俺はドキッとした。何か・・・何か言わなくちゃ・・・。


「・・・俺・・・・」


シトリアは俺の言葉を遮り、言った。

「ここには女性が男性に気持ちを伝える日があって・・・今日、なんですよね。だから・・・。」



シトリアは、俺が買ってきた菓子の中の20円チョコを手に取り、包み紙を取った。


「今年は・・・ごめんなさい。これを・・・。」


そういってシトリアは、俺の口にゆっくりとチョコを入れた。


「来年・・・。いや、私は全然料理できないから、再来年とかになっちゃうかな・・・。その・・・待っててくれますか?」


さっきは言葉が浮かばなかった。でも、今度はすぐに浮かんだ。




「あぁ、待つよ。いくらでも。ずっと。」


俺がそういうと、シトリアはチョコレートみたいに甘く笑った。・・・そして言った。




「・・・来月・・・期待してますからね♪」



それか!それが狙いだったのか?!

しかも、そのチョコ、買ったのは俺だぞっ?!


「来月も・・・来年も・・・再来年も・・・その次も・・・その次も・・・その次も・・・ずっと・・・・・・。」

シトリアは目をつぶり、自分の胸を撫でながら誰にも聞こえないようにそう呟いた。



「たっだいまー!!って、あっれー・・・取り込み中?」

大声で入ってきたのはシトラス。そしてその後ろからフランチュール、リータ、クロイド・・・。全員集合ですか?


「あっ!わわっ!?いや!違うのっ!」

そういってシトリアは慌てて起き上がった。


「怪しいなぁ〜、お姉さん、そういう交際関係には目を光らせないと・・・♪」

そういってシトラスはニヤリと笑った。


シトリアはシトラスを無視して言った。


「その・・・で、皆さんは急にどうしたんですか?」


「その・・・今日はみんなでパーティーしたいと・・・シトラスが。」

フランチュールがモジモジしながら言う。後ろに隠しているのは・・・黒くて甘い・・・そういうことか。


「で、俺達は買い物とかしてたってこと!」

クロイドが大きな袋を俺とシトリアに見せびらかした。




・・・みんなが準備をする中、ふとフランチュールが俺をくいくいっと引っ張った。

「何?」

「てめぇ・・・その・・・姫からその・・・あ〜ん・・・って。・・・あ〜んって!!・・・そうじゃなくて・・・その・・・」


「あ・・・って、お前、見てたのかっ?!」


フランチュールは、俺の言葉を無視して言った。


「違う・・・違う・・・えーっと・・・お前は・・・俺の恋敵ライバル。だから・・・その・・・友チョコってあるだろ?

で・・・その、恋敵ライバルチョコってことで・・・。これ。・・・あげる。」


フランチュールは俺に向かってリボンで綺麗に結ばれた袋をポイっと投げると、みんなのところへと戻っていった。


「フランチュール・・・・・・はは・・・ありがとうな。」

俺は誰に言ったわけでもなく呟いた。




準備が終わり、みんなで一つのテーブルを囲んで座る。


「・・・じゃ・・・食べましょっか。皆さん、この国の風習は分かりますよね?」

シトリアがそういうと、全員が勿論!と頷いた。


「手を合わせて・・・・・・いただきますっ!!!!」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・


「クロイド・・・これ。・・・その・・・えっと・・・チョコ作るの手伝ってくれた・・・お礼。」


・・・・・・・


「姫・・・これ、ちょっと・・・失敗したかもしれないけど・・・頑張って作ったんです。食べてください!」


・・・・・・・


「リータ・・・ありがとう。来月はあまりの美味しさに死なないように覚悟しておけっ!」


・・・・・・・


「ふふ・・・ありがと♪・・・・・・・・・これ、美味しいじゃない♪」


・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「祐樹ぃ、私って凄く偉いと思わない?」

シトラスが言う。


「何で?」


「みんなの今日のために、こんな催し開こうって言ったんだよ?いやーっ、妹には必要無かったみたいだけど?」

シトラスはニヤッと笑った。


「・・・・・・お前も見てたのか?」


「さぁ、どーでしょっ!?ま、今日は楽しもうよ!」

「はいはい・・・・・・。」



今日、チョコレート・・・もらえた人、もらえなかった人、いると思う。

良くわかんないけど・・・なんていえばいいのかな・・・。


チョコレートの有無とか関係なく・・・全ての人に、幸せな『今日』がありますように。


あ、俺はもらってるからって、こんなこと言ってもむかつくか?・・・まぁ、別にどう捉えてもらっても構わないけどさ・・・?




『今日』を生きる全ての人に・・・ハッピーバレンタイン。

こんばんは、甘味です。

ようやく、バレンタイン特集終了しました。

結局場所とか時間とか設定とかがうやむやになりましたが、お楽しみいただけたでしょうか?

バレンタイン終わってるのに最後のところ書くのは少し恥ずかしかったですけど・・・。何とか本編に戻れます。

バレンタイン。私の中では毎日がバレンタインです。

ということで、いつでも私にならチョコレートを送ってもらっても構いません。

チョコレートを郵送するのが大変なら是非『評価』or『感想』をどうぞ。


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