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第23話:消えた本と現れた少女

煙の中から現れたのは、真っ黒な服を着た少女だった。・・・お迎えですか?


「祐樹?」


「あ、いや・・・誰?悪魔?」


少女は、少し嘲るような顔をしたあと、言った。


「私の名前は、シトラス。・・・って言っても分からないでしょうね。1-βと言えば分かる?」

「1-βって・・・お前が?」


「まぁね。ま、話は後。まだ一匹ゴミが残ってるみたい。」

そういうとシトラスは俺の乗っていなかったほうのがあったところをチラッと見た。

そこには、チーが体についた砂をパッパッと手で払っていた。チーは俺達に気付くと怒っているのか少し大声で言った。


「お前らぁ?まったくよぅ、なーんてことしちゃってくれてるんですかぃ?バカ部下二人は逃げちまったしよぅ?」


シトラスはチーをギロッと睨み、言った。


「部下同様に逃げるなら今のうち、ですよ?」


「はん?ばぁか。逃げなきゃいけねぇのはお前らですよぅ?」

チーは背中に背負う袋から、ビンを取り出したかと思うと、その中身を俺達に向かってばら撒いた。

その中身は小さな黒い玉のようなもので、地面に落ちても・・・特に何も起きない。


「チッ・・・」

シトラスは舌打ちをした。しかし表情な何だか余裕そうだ。

・・・お前は余裕でも俺は余裕じゃなさそうだ。この匂い・・・やばい。


チーはニヤっとして懐から見慣れた小さな木の棒を取り出すと、シュッと自分の服にすり火をつけた。

そしてその火を黒い玉にめがけてヒョイッ・・・


「座標、akft231、hjfkwb12、qrkhrt53、khrtgb41234。

ベクトル全方向変換。中心oへ。防膜設定10%。」


爆発する直前。シトラスがそういった瞬間。黒い玉がある場所を大きな四角形の膜が包んだ。


「セット完了。・・・ベクトルムーブ。」


・・・・・・爆発・・・した・・・よな?

うん・・・爆発・・・した・・・はず。


無傷なシトラスは黒い玉があったはずのところへと歩いていった。そこには真っ赤な球体があり、シトラスはそれを手にとってチーに向かっていった。

「さてさて、これは何でしょうか?」


チーは何が起こったのか全く理解できず呆然とシトラスを見る。


「はい、時間切れ、不正解者には・・・罰、ゲー・・・ムッ!!っと!」


シトラスは赤い球体をチーに向かって投げつけた。



ズドォオオオオン!!!!!!!



・・・・・・。え?



「ふぅ。」


そういってシトラスがパンパンッと手を払った。


「お、おい!?今、何があったんだ?!!」


「えーっと・・・ま、祐樹に言っても分からないと思う。さ、とりあえず妹とかを助けましょっか。」


・・・・・・妹・・・?



「え、聞いてないの?シトリアは、私の妹だけど?」


・・・あ、そういえば何だか似てる気がする。って言うかそっくりだな。

この、何かたまに少しイラッとくる性格も。


俺とシトラスは、もう既に殆ど原型を残していない馬車からシトリアたちを引っ張り出した。

リータとフランチュールはあの爆音の中で眠っていた。・・・のんきなもんだ。


シトラスがシトリアの目隠しをはずすと、シトリアは後ろへのけぞり言った。


「ば・・化け物!?!」


・・・そりゃないだろ。


「ゆ、祐樹さん!何でコイツが・・・ちょっと、これ、早く撃ってください!!」


「え?え?」

何で?


俺が訳の分からない顔をしていると、シトリアは「あー、もう!!」と言って武器紙を取り出しサラサラと書くと、大きな銃器を手に持った。

「いや、ちょっと待て、お前・・・」


俺が止めようとしたとき既に遅く、シトリアはシトラスに向けてでかい一発を放った。そしてそれは直撃した・・・



「・・・貴女ってこんな子だったかしら?お姉さん悲しいわぁ〜。」



・・・はずなのに何で無傷?



「・・・チッ・・・化け物め・・・。」

シトリアがシトラスを睨みつけた。


「ちょ、ちょっと待て!全然話が読めない!」


俺がそういうと、シトラスが先ほど当たったはずの銃弾を手に持ち、まじまじと眺めている中、シトリアが説明を始めた。



「アイツは、あの1-βなんです。全ての知識を持ち、この国でただ1人の・・・無限筆者なんです。」


無限筆者?

俺が疑問を持つ顔をすると、シトリアはそれについて説明を加えた。


「本来、エクサーは世界に一本だけ線を加えることができる。そんなことを聞いたことがあるはずです。

無限筆者であるアイツは、それが無限にできる。つまり、パンだろうが、ペンだろうが・・・爆弾だろうが、何でもその手だけで生み出すことができるんです。

それだけじゃない、この世界にあるものの全てを自在に操ることができるのです。あるものをどこかへ飛ばしたり、大きくしたり、小さくしたり・・・。」



・・・そうか!だからさっきのは・・・爆発を縮小したってことか。それなら説明がつく・・・よな。



「つまり・・・コイツはこの世界で最強で最悪な災厄なんです。」



「最強って・・・世界の主よりもか?」


「はい。」

・・・え。それじゃ、俺いらなくね?


「ただ・・・」

シトリアはシトラスをチラッと見ていった。


「アイツに任せると、世界の主どころかこの世界全てを破壊しつくす恐れがあるんです。」


「どういうことだ?」


「性格に・・・相当問題があるんです。」

シトリアは悲しそうな目で言った。


・・・いや、何それ。


「性格って・・・姉妹なのに、ホントに酷いわね〜・・・。すっかりいいお姉さんになったってのに。」

シトラスがいつの間にか近くに来て言った。


「・・・じゃあ、何でここにいるんですか。アナタは研究所で監視の下にいたはずでしょう。

せっかく、檻の中にいるあなたをみんなで見下してやろうと思ったのに。」


・・・それはそれで性格としてどうなんだ?


「え?だって、妹がこんな・・・こんな楽しそうなことやってるのに、黙ってみてるのはつまらないじゃない?」

シトラスがニンマリと笑いながら言った。



シトリアは、はぁとため息をついていった。


「・・・で、目的は何なんですか?」


「いや・・・ヴェイとして会うのも面倒だし、どうせなら直接会って共に人生を歩もうかな?って。・・・ご主人様、とっ♪」


そういってシトラスは、腕を折らんばかりにギュッと俺を抱きしめた。

折らんばかり・・・っていうか、心なしかボキッって言わなかった?



「そういうことですか・・・。でも、祐樹さんはこの国に必要なんです。貴女に奪われる訳にはいきません。」



「あら?貴女ってそんなごまかす子だった?私の妹なのに。・・・祐樹が欲しいなら、国とか言わないでそう言えばいいじゃない?」


「なっ!ど、どういう意味ですか?!」

シトリアが慌てて言った。


「え?わからなかったの?じゃあ、祐樹にちゃ〜んっと説明してあげよっかな〜?」


もう・・・何かどうでもいいからとりあえず俺を離せ。

普通ならもう、抱きしめられて凄く嬉しい状態かもしれないが、とにかくもう、腕がマズイ。逆に曲がってない?もはや逆に曲がってない?何?この怪力娘。

心地よさっつーか、痛み痛み痛み・・・もう痛みしか感じないけど?



「・・・とりあえず、それを離しなさい。」

シトリアが言った。すると俺は何とか離された。あぁ・・・。って言うかまだ痛い。

でも、『それ』って何だ。それって。



「・・・ま、この感じやめましょう?別に私まだ悪いことしたわけじゃないんだから。」


「・・・・・・研究所、どうやって出てきたんですか?」


「そりゃ、研究員全員をボコボコに・・・。」


・・・化け物だったな。うん。



「で、それで帰れない。どうするつもりななんですか?」

「ま、一緒に旅しようかなーとか思ってる感じかな。」


「嫌です。」

シトリアはきっぱりと即答した。


「それに・・・貴女はもう長くここにはいれないでしょう?」


「・・・ま。そうね。」


どういうことだ?

もう、さっきから何だか蚊帳の外にいる感じだ。



「・・・あー、何でこの体にしちゃったのかなー・・・。」

シトラスは悲しそうに自分の体を撫でた。

そして、今度は俺に向かっていった。


「じゃ、あの本。もうちょっと大切にして欲しいな。ヴェイとして・・・この・・・物語を見させてもらうよ。じゃあね。」



そういうと、シトラスはフッ・・・とどこかへいなくなった。



俺は本を取り出した。

本には、字がごちゃごちゃと戻っていた。

こんばんは、甘味です。

悲しすぎます、紙一重でヒロインになり損ねた少女、シトラスは僅か2話出て終わりです。残念です。

普段はテンション低いけど、メールとかチャットではテンション上がる人っていますよね?

シトラスはその類の子です。だからヴェイはあんな感じです。と言うことです。

次回、バレンタインにちなんで番外編。

シトラスも登場するといいなぁと思います。

もう、番外編ですから、場所とか時間とか、何でこの人いるの?とかなるかもしれませんけど、目を瞑っていただきたいです。

では、次回番外編。よろしくお願いいたします。

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