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第21話:ルート切り替え

「あぁ〜、食べた食べた。食べましたね。うん。」

シトリアが幸せそうな顔で言う。


「・・・いや、ま、おいしかったけどさ・・・。」


「どうしたんですか?」

シトリアが不思議そうな顔で聞いてきた。


リータは俺と同様に居心地の悪そうな顔をしている。

いや、まぁ美味しいのはいいんだ。


「ま、美味しかったからぁいいんじゃねぃか?」

知らないおじさんが目の前にレギュラー顔でいなければ尚いいんだ。


「・・・・・・っつーか、誰だよお前は。」


「ちょっと祐樹さん。仕方ないじゃないですか。どこも満席なんですから、少しくらい相席になっちゃっても。」


「・・・少し・・・か?これが。」

360度どこを見ても人しかいないこの空間が、か?



「兄ちゃんらぁ、旅してんだろぅ?」

目の前のおじさんが俺に聞く。


「え、あぁ、はい・・・まぁ・・・。」


もうな、居心地悪いったらありゃしない。と言うより息苦しい。

シトリアは気にしていない。フランチュールは気に留めていない。リータは、・・・何かもう死にそうだ。


「リータ、大丈夫か?」

「・・・・・・。」

返事は無い。もはや屍のようだ。


「うん、っつーか、出よう。もう出よう。苦しい。正直。」



「ちょーっと待て兄ちゃんら。旅をするんだったら俺を頼りにしないでどーぅするんだいあんたらぁー?」

・・・いや、ここから出ますけど?


「俺はこの辺ではちぃーったぁ名の売れた商人でねぇ。旅に役立つものたぁーっくさん持ってるのさぁ。」


・・・いや、出たいんですけど?


「とぉ、ゆうことでぇ、見ていくだろぃ?」


「・・・いや、もう出た「何があるんですか?」


そこで興味を持っちゃったシトリアに、俺とリータはえぇぇええ〜・・・・と言った顔をした。


「すいません、とりあえず出ませ「おぉ〜う!興味持ってくれたかぃ嬢ちゃんー。流石ぁ、見る目があるねぃ!」


「いや、だから出た「ふっ、それほどです。」

シトリアは誇らしげに言った。今ほどコイツに恨みを持ったことはない。


「よぉうしぃ、ではぁ、とりあえずここから出るかぁ?」


「いえ、この場でいいでしょう。」

えぇえええ・・・・・・シトリアの言葉を聞いてリータと俺はもうどうにでもなれとテーブルに突っ伏した。



「そぅかぃ?じゃあ、早速見てもらおうかぁ。」


ゴロゴロとよくわからないものをテーブルに出した。一つ俺の頭に当たり、それは俺の頭にぬるっとした感触を残した。

もう、何か突っ込むのも面倒だな・・・。


「えーっと、まずこれはよぅ、あの、伝説の剣士の・・・・・・弟子が愛用していた・・・」


「・・・アイマスク。」

いや、もうそれって、只のアイマスクだろ。

一瞬そんなことを思ったが、口に出すことは無かった。


「・・・どうしよう。」

シトリアが言った。迷うのか?NOのほうに即決じゃないのか?


「待て、兄ちゃん。こんなものでビックリされちゃあ困るぜぃ?」


俺は伏せてるのに何で分かるの?いや、当たってねーし!

「仕方ねぇ、兄ちゃん。これなら兄ちゃんは絶対気に入るだろうよ。」


おじさんがごそごそと音を立てるので、俺は少し頭を上げて、それを見た。


「・・・これだぜぃ。」


俺の中に衝撃が走った。こ、これは・・・


おじさんは俺を見てニヤリと笑った。


これは・・・メイド服と言う名の聖服パーフェクトコスチューム!!これは・・・まさしく伝説のアイテム

スカートのフリルから生まれる芸術的インスピレーーッション!!

そして、膝から腿にうかがえる絶対領域おとこのロマン!!!!


か、完璧だ・・・。


いつの間にか俺は天に手を突き上げガッツポーズをしていた。

俺を夢から覚ましたのはシトリアの冷めた目だった。


「・・・いや、まぁ、これは・・・買いだろ?」

シトリアの目を気にせず俺は言った。


「買いだな。これは、買いだ。うん。っつーか俺が買う。」

そう言ったのはフランチュールだった。


「え、お嬢さん、着るんですかぃ?」


「えっ、ん、あ、いやこれはだな。その、な。別に俺が着るわけじゃねーけどー・・・。」


フランチュールは頬を赤くして言った。

・・・是非とも着てほしい。そう思ったのは秘密だ。


「よし、じゃあこれはお買い上げってことでぃ。」

おじさんはサラサラと値段を書いて、服と共にフランチュールに手渡すと、フランチュールはお金を渡した。




・・・それから2時間。

結局楽しんでしまった俺とシトリアとフランチュールの買い物は続いた。

リータは死んだように眠っていた。


シトリアはピッツルとか言うよく分からない果物を購入。そしてその場で食べつくした。

そしてアイマスク。インクが切れないペン。切っても切れない爪きりを購入。

最後のは縁結びのお守りだとかどうだとか。ようするに錆びて使い物にならない爪きりにしか見えないのだけど。


フランチュールは、メイド服、くまのぬいぐるみ、毛糸の可愛い帽子、可愛い可愛い赤い靴を購入。

フランチュールはその全てを腕に抱き、満面の笑みを浮かべている。

「別に可愛いから買うわけじゃないぞ!男として・・・こんな軟弱な品物は責任を持って使・・じゃなくて処分するだけだ!」

・・・とのこと。



「・・・さて、じゃあ、そろそろ行きましょうか。」


リータは、ようやくかとガバッと起き上がった。

「へっへ、お買い上げありがとぅごぜいやしたぃ。」


そういっておじさんは人ごみの中に何となく消えた。

・・・まぁ、結局旅に役立つものは何一つ買えなかったんだけど。





「あぁ〜、物凄く満足です。」


店を出て、シトリアはアイマスクを額にかけながら言った。


「さて、では、早速城に向かおうかと思ったのですけど・・・・・・。」



「けど?」


「・・・もう暗いですし、明日にしましょうか。城までは少し遠いのです。」




こんなグダグダな調子でいいのだろうか。俺は何だか少し不安になった。

こんにちは、甘味です。

何だか全然進展が無いように見えますが、大丈夫です。進展・・・しております。

このお話は次回に向けての布石の役割を果たしています。それが次話で伝わればいいなぁと。


では、これからもどうかよろしくお願いします。

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