第18話:真実(2)
・・・あれから3日。
俺の体は男の塗ってくれた薬のお陰で大分動くようになり、
フランチュールもあの後ずっと普通に眠っていた。
「・・・・・・」
外から声が聞こえる。
「エクサーを匿ってるんだろ!?」
「匿ってないって言ってるだろっ!!!」
俺を助けてくれた男と別の男との言い争いの声だ。
エクサーって・・・俺達のことか?
「祐樹、ここから出たほうがよさそうなんじゃねぇか?」
散々眠って立ち上がれるほど元気になったフランチュールが言う。
ふむ、俺もそれは思う。
しかし3日もお世話になって勝手に出て行くのも気が引ける。
・・・ガチャッ
男が入ってきた。
「おい・・・どうだ?」
「えぇ、大分体は動くようになってきてます。
本当にありがとうございました・・・。」
「あぁ、そうか。ならもう出て行ってもらおうか。
聞こえたかも知れないが・・・そろそろ困るんでな。」
「・・・はい、分かっています。・・・けど、1つどうしても聞きたいです。
この町では、なぜエクサーは嫌われているんですか?」
男は少し悲しそうな顔をして、質問には答えず話し出した。
「・・・外に馬車を用意しておいた。それに乗って何処へでも行ってくれ・・・。」
男が余りにも俺と話すのがつらいように見えたので、
俺とフランチュールは男に軽くお辞儀をして部屋を出た。
外へ出るとそこには運転手を除いて2人乗りの小さな馬車があった。
どうぞ、と運転手が後ろを指差したので俺とフランチュールは馬車に乗り込んだ。
「・・・どこへ行きますか?」
・・・ふむ、どこへ行ったらいいのだろう。
当然シトリアたちとは連絡を取れていないし、普通にリズレバークへ向かっていいのか分からない。
「ここからリズレバークまでの間に街はあったか?」
フランチュールが運転手に言う。
あぁ、確かにそれが妥当かもしれないな。
「ここからだと・・・ピリュを通ります。そこでいいのですか?」
はい、と俺とフランチュールは2人で答えた。
静かに馬車は走り出した。
「祐樹、今更だけど悪かったな。よく覚えてないがたぶん俺のせいで落ちたんだろ?」
フランチュールが申し訳なさそうに言う。
「・・・いや、別に大丈夫だよ。・・・ま、意外だったけどな。」
そういって俺はからかうように笑った。
「人間誰でも苦手な物はあるもんだ。うん。」
フランチュールは照れを隠すように一人うなずきながら言った。
「ところで・・・さっきの街ってどういうところなんだ?」
フランチュールは急に話が変わったせいか少し驚いた顔をすると、答えた。
「いや、俺も来たのは初めてなんだ。何か・・・気味悪いところだったな。今馬車の中にいてもずっとジロジロ見てきやがった。」
ジロジロ?・・・何だかいやな予感が・・・?
「あ、着きましたよ。」
運転手が言う。馬車の窓から見ると、そこは先ほどまでいた街よりも少しばかり近代的な街だった。
いや、近代的と言っても先ほどまでいた町が余りにも低い水準だったからかもしれんが。
「祐樹さん!!!」
シトリアの声。シトリアとリータが馬車の進む先で手を振っていた。
俺は運転手に止まるように言い、馬車を降りて2人へ駆け寄った。
「どうしてここに?」
「グォズィまで行くつもりだったんですが・・・途中で馬が怪我をしてしまったため、ここで待つことにしていたのです。」
グォズィ・・・さっきの町のことか。
「ところで、さっきの町のことなんだが・・・」
俺が聞こうとすると、シトリアは遮るように話した。
「大分時間を使ってしまいました。新しい馬車を手配してあるので、とりあえずまたリズレバークへ向かいましょう。」
・・・?聞いちゃいけないのか?
近くに用意された馬車に乗り込んだが、何故かシトリアは不自然なほど口を開こうとしなかった。
こんばんは、甘味です。
次回、個人的には第一章最終話。
第一章が終えたら番外編をいくつか入れたいと思います。
忘れられると困るので第二章に手をつけながら、ですが。
では、これからも『あおしろ』をよろしくお願いします。