吾輩は神である
吾輩は神である。名前はまだ無い。
文学の神の亜種として生まれた私だが、この言葉を使うのは少し夢だった。
人間の中では知らない人の方が少ない、有名の文学作品の書き始めである。
さて、最初に吾輩は神である。名前はまだ無い。 と言ったが、実は性別も無い。姿も無い。極め付けは性格も無いに等しい。
名前に関しては生まれてまだ間もない事もあるのだが、それ以外は私の神としての仕事が関係している。
どんな仕事かと言うと……
ふむ、丁度良いところに仕事が入った。
今から私の仕事ぶりを見せるとしよう。
--------------------
「初めまして、お兄さん♪ 貴方には異世界に転生してもらいます♪」
私は今、金髪碧眼ロリ美少女になってるんだ♪
え?さっきと話し方が違う? もう、忘れん坊さんだなぁ…… さっき言ったでしょ? 性別も姿も性格も無いって。
私は何もない代わりに何にでもなれるの♪
「貴方は人間界に降りていた私を、助けてくれました♪ でも代わりに貴方が死んじゃった……」
もちろんそんな事実はないよ☆ 今ここで適当に考えて作った設定だね。
このお兄さんは転生するんだから確認のしようもないし、どんどん来る死んだ人間の全てに理由を作ってたら時間が足りないもん。
「だからその御礼をしたくてここに呼んだんだ♪」
このお兄さんもかなり戸惑ってるねぇ。
でも今の私は転生者の言葉を無視しちゃう系の神サマだからね♪ そんなこと知らないよ☆
それでもって、ここからが私の神としてのチカラの見せどころだよねー☆
異世界の特典は何にしようかなー
「異世界でもう一生分過ごせる様にしましょう♪ でも、助けていただいたのに生き返すだけじゃ、御礼にはなりませんよね……。そこで! 貴方が転生したら天性の才能を授けましょう♪」
「それじゃあお兄さん♪ 良い異世界ライフをね☆」
--------------------
さて、これが私の神としての仕事だ。
死んだ人間の若者が主な対象だが、中には老人や子供もいる。
その時々に相手が何を求めているか理解して、外見と性格を決め異世界に送る。
地球にいれば常に足は地面に吸い寄せられるのと同じぐらい当たり前の私の仕事。
自信をもって他の神に言える仕事かどうかはわからないが、私はこの仕事に対して誇りはある。
これからはこの仕事の内容を日記に記すとしよう。
二話を17時に投稿します