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王都召喚編 鎌瀬山の独白
今回はかなり短いです。
次回更新は明日です。
目を覚ましてまず思い浮かんだのは、東京太郎の顔だった。
そして、それと同時に身体が震えた。
当然身体にはアイツにヤられた傷なんて殆どない。
けど、
心が、覚えていた。
恐怖を。
しかし、恐怖と同時に俺の心はどろどろとしたものが溶かされ清々しく感じられた。
なんでか?それは簡単だ。
アイツは化け物。
それが分かったからだ。
俺は今までアイツを天才だなんだ化け物だなんだと散々言ってきていた。
しかし、根っ子では、アイツを人間だと考えていた。
だから、自分自身と比べてどうしようもねえほど、ムカついて、イラついて、悔しかった。
けど、違った。
アイツは、
アレは、
人じゃねえ。
人の目をしていねえ。
人の皮を被った。
人の形をした、『何か』だ。
今なら自分がどれだけ愚かだったか分かる。
人間が力を手に入れてどうにかなるような相手じゃねえ。
触れちゃいけねえ領域に、俺は触れたんだ。
劣等感の欠片すら、もう感じない。
根幹からして別生物。
アレは、最『凶』にして最『悪』なんだ。