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前夜祭

 【フレイヤ山攻略作戦】

 王都マグナスの北部に存在し唯一冒険者の完全踏破が行われていないこの山への攻略作戦。

 リディルドによる発案、ユニオンによる一部変更、並びに最終調整が行われ各ギルドへの参加希望を募られた。

 結果としては総ギルドの約三割、人数にして二千人近くによる踏破が決定されその中には当然カナタ達のギルドForward's ourも参加していた。


 作戦内容は約二千人を三隊に分け平行してフレイヤ山の頂上に向かうというというもの。

 それぞれの隊の中でも戦闘班と補給班を分けた、戦闘班は隊の七割近くで構成し交代で前線を押し上げる。補給班はマグニスから食料やアイテムなどの補給物資を前線へ送ることが仕事になる。

 作戦日程は一週間、マグニスからフレイヤ山まで二日、フレイヤ山の四つに分けられた各エリアを一日で踏破する。本来ならもっと日数をかけるが今回は数の暴力で迅速に頂上を目指すことになった。

 作戦決行まで十日間各ギルドへ準備の期間として設けられたがカナタ達にとってその十日間はあっという間に過ぎ去っていく。


「第三番隊の補給班に決定、戦闘班に回されなかったけど私達じゃ役不足ってことかしら?」

「少数ギルドは基本的に補給班に回されるそうですよ、まぁフレイヤ山に登ったこともない八人が前線に行くのもどうかと思いますが」

 Forward's ourは補給班に回された。元々実績がある訳でもなく人数も八人しかいない、尚且つ装備ランクも低く前線での戦闘は不向きとされたようだ。

 補給班は補給物資を運送、護衛することになる。カナタ達はエリアCからエリアAにかけての補給搬送が役回りとなった。

「ただし戦闘がない訳じゃありません、補給物資を守ることや”もしも”の場合はすぐ戦闘班として動くことになります」

「のんびりできる訳じゃないんだな」

 

 出発を明日に控え皆の緊張は目に見えて高まっている、だからといってどうすることもできないのだがリーダーである自分に何ができるか、カナタは考えていた。

「まぁ二千人もいるんだしなんとかなりますよ」

「そうよね、考えたってどうしようもないわね」

 今考えてみればこの八人で過ごすのは今日を含めて後八日くらいになるのだろうか。

「最初この世界に来た時はどうなるかと思ったけど何だかんだで無事ここまで来れましたね」

 カナタは特に何も考えずこの今思ったことを喋った。

「私はあの時にカナタさんに着いていって正解でした、もしあそこでカナタさんについて行かなかったら今ではどうなってたことやら…」

 そう言ったのは傍に座るアリサだった、最初の町を出発しようとした朝アリサと門の前で出会った。

「あの後あんなに怖い熊と会うとは思ってませんでしたけどね」

 町の周囲のモンスターとは違い格段に強かった敵、二人ともボロボロになってなんとか勝てた強敵。

「そして次の町でドレッドさんとイースさんとメイさんに出会って」

 嘘つき野郎のおかげでね、とイースは付け足した。元の世界に帰れる方法が港町にあると聞き大人数で行ったものの結局レベルや装備不足なんかですぐ引き返したある意味初のレイド戦。

「お前はその後オークとの戦闘中おかしくなっちまうしな」

「その節はご迷惑おかけしました」

 ドレッドにカナタは謝罪する、”龍の腕”による暴走事件は今でも記憶に新しい。

「でもそこでタツヤさん達に出会えましたよね」

 そしてたまたま通りかかったタツヤと出会えた、元の世界の友人の一人。

「港町アプシルでミッチーと再会できて青い鳥の人たちとも仲良くなれて」

「まぁその後問題が発生するんだけどね」

 コウヘイの一件、しかしその後はミチタカ、シータ、シンシの三人がパーティに加わった。

「長い一ヶ月の旅でしたけど…今コウヘイさんはどうしてるんでしょうか?」

「さぁね、りんごに聞いたけどこの街にはもういないそうよ」

 それを聞いたアリサは不機嫌になりながらカナタの仕返しができなかったと愚痴った。

 イースはうんうんと頷くがカナタは二人をなだめながらこの街に彼がいないと聞いて少し安心した。

「この街に来てマモルさんに会えた時のカナタさんの喜びようはすごかったですね」

 それを聞いてカナタ以外のメンバーは噴出した、それには笑いの意味もありながらカナタとマモルの関係に驚いたこともあるだろう。

 カナタは何故そこまで反応するのかという顔をしながら不思議そうに皆を見た。

「まぁカナちゃんは一番色々な体験をしたんじゃないかな」

「そう、かもね」

 不思議な経験をしたのは事実だ。

「ただ暇つぶしの為のネットゲームだったんだけどな」

 その世界でもう三ヶ月が過ぎた、早いような遅いような。

「元の世界に戻ることが何より一番の願いだ、だけど」

 カナタは続ける。

「この世界に来れた事はけっして無駄じゃなかったと思う」

 そんなカナタの一言に皆は頷いた。

 もしかすればこれがこの街での最後の夜になるかもしれない、八人はそう思いながらギルドホールで夜遅くまで話続けた。


うおおおおあと二話あああああああ

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