靖国神社
品川で降りて地下鉄に乗りしばらくすると祖父が
「そろそろだな。」
と楽しそうに言った。
降りて少し歩いてから
「着いたぞ。ここだ。」
と手で示してくれた。
場所は東京九段の靖国神社だった。
少年は靖国神社だと合点したとき先日にニュース番組で見た閣僚達が靖国神社に参拝したというニュースを思い出したと同時に
「こんな所で何をするんだよ?」
と、疑惑が浮かんだ。
鳥居をくぐって少し歩くと白壁の洋館風の建物が見えた。そう、遊就館だ。
その建物の前で祖父が
「ここだ、一緒に来てくれ。」
と言い、少年は難色を示したが、暇つぶしなら、と思い中へ入った。
中に入ると実際に戦争で使われていたという戦闘機や戦車、火器類が合ったがスルーした。彼はまったくそういった物に興味が無いからだ。
そして、ある展示室らしき場所の入口の前で急に祖父が立ち止まり、凛とした顔で
「いいか、今から入る場所で見るのは日本人、いや、人間として知らなければいけないことだ。」
と語りかけると孫は
「何の話だよ。」
と思いつつも、人間として知らなければならないという点に興味を示した。
中を覗き込むと「特攻隊」という文字がちらりと見えた。