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祖父の無茶振り
2014年7月15日
ー神奈川県横浜市緑区ー
ドンドンと部屋をノックする音が聞こえた。
舌打ちをして15歳の少年はドアを開けた。
「誰だよ?」
その声はふてぶてしい響きを奏でた。
彼は15歳という年齢からして中学3年生、そう、受験生である。が、彼はここ一ヶ月程学校に行っていない。何故かというと、難関私立を受験してほしいという親と自分の身の丈に合った県立を受験したいという本人との軋轢が理由である。
ドアを開けると痩せた老人が立っていた。
「爺ちゃんじゃよ。」
その声と同時に笑みを浮かべた。
「何の用なの?」
嫌そうに質問した。
老人は笑顔で
「ちょっと出かけよう。」
と返した。
「はぁ?」少年はふてぶてしく反応した。
「いや、電車の事でな。お前詳しいだろ?」
そう言うと腕を掴んで引きずっていった。