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勇者の彼女は魔王様  作者: 勇者くん
98/112

番外編 バレンタイン 後編



 それはチョコレートだった。



 紛れも無い誰しもが焦がれるはずの、甘いはずのデザート。



 本来の姿を一見して見れば、というだけの話であるが。



 渡された瞬間、優がまず注視したのが渡される物体よりもまず、真っ先に何処の誰からの物であるかという人物関連。



 そして物を持ってきた人物を目視した瞬間、優は全身のありとあらゆる関節が外れたんではないかというくらいに脱力して後ろに倒れ込み、途方も無く目眩のする絶望に打ちひしがれた。



 身体が暫くの間を大きく後ろに仰け反った後、勢いよく状態を起こすと、取りあえずやりきれない思いを吐き出すように机を叩く。



(お前かよぉおおおおおおおおおおお!!)



 全身全霊を込めた、提供者の変更を求めた心の叫び。



(…が、ま、まだ慌てる時じゃない…)



 が、しかし何も考えていなかったわけではなく気持ちの切り替えは早い。なにせ一番速く終わりそうだと認識してはいた。なら時間を稼いでこの場を凌ぐ手を決行させる。




「あ、あのな魔王…」



 しかし手段を選ぶよりも先に魔王はつぶらな瞳で優を凝視すると、まるで最後まで言わなくてもちゃんと分かっているよ、とでも言いたげな顔で頷き、ニッコリと微笑むと



魔「はぁい、ゆ~うくぅ~ん」



 魅了されてしまいそうな程に甘い声で優の耳元に囁く魔王。素晴らしい事にその効果は見事に絶大であった。全力で全神経が危険信号を発し、優の全身には凄まじい汗と悪寒が走ったのだから。




 こいつまるでわかってない。




魔「たんと食べてね」

優「いや、あの…ね?」

魔「ん?」



 首を傾げる素振りを見せた魔王を見つめ、緊張で乾いた喉を潤すべくゴクリと音を立てて生唾を飲み込む。



 数回の浅い呼吸を繰り返した後、優は意を決して差し出されたチョコから視線を外すと、目の前で眩い笑顔を振りまく魔王に顔を向ける。



魔「なぁに? 優くん」

優「その…匂いが…な?」



 決死の辛い物は苦手で食べられないアピールタイム。そもそも普段こんな辛い物を食わないのだから、つうか長い間一緒に過ごしてきたのだからそれくらい分かっていてもいいのではないか。



 パチパチと右目を瞬きし、とりあえずは俺の心境を察しろと差し出されたチョコを必死に何度も指さす。

 


 すると、魔王は何かに気が付いたのか、ハッとした顔になる。



(気がついてくれたか…ッ!!)



 が、魔王は人差し指で頬を掻くと、少し照れた様子で視線を何度も反らす。



魔「あ、もしかして分かった? え、えへへ…な、何だと思う?」



 あ、分かった? からのえへへ何だと思う? じゃねーよ知ってるよ。知ってる事を知らされても意味ねーよちげーよ俺の気持ちを知ってくれよ。



 ソワソワと期待に瞳を輝かせて待機している魔王の様子に、ガックリと肩を落とす。



優「………唐辛子と…ハバネロだよねこれ」



 すると、すんごく嬉しそうな表情を浮かべて片目を閉じると、指でokの形を作りすかさず指を弾いて音を鳴らした。



魔「さっすが優くん! 食べる前から分かるなんて…ッ!」

優「ねえそれ褒めてるの? 貶してるの? 思いっきり作ってるとこ披露してたじゃん何言ってんの」

魔「そう! 唐辛子! あとタバセコやらハバネロ! いっぱい入れて私と優くんの関係を表現してみたの!!」



 確かに横暴なくらいにいっぱい入れていた。ぶつぶつと投入量は少々と呟いていたのは何だったのだろうか、まあ開き直りやがったんだろうな。



 深く考える事を止した優は、返事を返すべく差し出されたチョコへ視線を向ける。



 真っ赤な物体が一つ鎮座している。何かの物体に赤い塗料でも塗りたくったのかと思う程、ただただ真っ赤な物が鎮座している。



 どうやらこの真っ赤な何かは、口ぶりから察するにお互いの関係を模した象徴らしいが、一体何を表してるのだろうか。見た目だけで現状を模したら一方的な虐殺で返り血を浴びせられたイメージしか湧いてこない。



 もしかしてわざとなのだろうか。ボケて欲しいのか、褒めて欲しいのか、貶して欲しいのか、慰めて欲しいのか。まるで返答に正解を見いだせないで困る。



 なので、妙案が全くと言っていい程に浮かばす思ったまま、見たまんまを言葉にすることにした。



優「…うん…その、何だ…とても…素敵…な…真っ赤な色…だな」

魔「うん、情熱的な赤って感じだよね~」



 どう見てもただの憎悪の塊にしか見えない物騒な物体を、魔王は熱烈的な恋表現として捉えていたらしい。



 魔王の言葉を聞いて、何だ、そういう事かと何度も頷く。



 うん、これっぽっちも理解できねえ。



優「赤過ぎてもはやチョコじゃねぇよ、面影すらねーよもはや別の何かだよ」

魔「いやー、愛が燃え滾ってる感じが上手く表現できてると思うんだぁ~」

優「燃えたぎり過ぎてただの火の塊と化してるじゃねーか、一瞬で精魂尽き果るわこんなん」



 すると、再び魔王は満面の笑みを浮かべて言い放つ。



魔「御託はいいから、さっさと喰え」



 笑顔とはかけ離れた恐ろしく低い声音。多分、どちらにせよ食べなきゃ殺される、そんな威圧である。



 だが、食べたら食べたらで口の中が無事では済まない気がする。まあ多分きっと恐らくは死にはしないだろうけど、でも激辛大好き君でもない人が好んで食べられるはずも無い。



優「その、や、やっぱりメインは後にしときたいなと思うんだよね」

魔「今すぐ食べて感想が聞きたいんだけどなぁ~」

優「そ、その」

魔「だから、今すぐ食べて」



 ダラダラと汗が噴き出てくる。どうしよう、逃げられない。



 助けを求めようと隣に座っている浅部に視線を向ける、すると此方の様子に気が付いたらしい、ハッと瞼を見開きコクリと頷く。



優「(浅部さん…分かってくれたか…!)」

浅「一番乗りは魔王! さすがメインヒロイン! やはりこの座は譲れないか!! このチョ…コ……を食べて優が上手いと言えば、そこで魔王選手の優勝が確定します!!」

優「(実況そっちじゃねえよくそがぁああ!!)」



 そうこうしている間に、ついに魔王は待ちきれなくなったのかチョコを鷲掴みにすると、それを優の顔面目掛けて近づけていく。



優「いや汚ねぇ!?」

魔「ほら、食べて優くん」

優「ちょ、ちょっとま…むぐぁッ!」



 グリグリと頬に押し付けられるチョコ、強烈な刺激臭に食べてもいないのに涙が溢れだしてくる。



優「っぐぅおおおお!? 目がぁ! 目がぁああ!?」

魔「ほら、ほらぁ」

優「ぐぁああ!? ひ、一先ずは押し付けてくるのをやめろぉ! 体温でチョコ溶けてるから! 顔面に押し当てるな! 塗りたくるな!!」

魔「じゃあ食べて」

優「っぐ…!」

 


 匂いだけでむせ返る刺激臭、というか息が苦しい。これを食せと魔王は言っているのか?



 突き出されたチョコを見つめ、涙を流す。



 ハハッ、冗談だろう?



 常人なら、普通の人間相手にこんな物を無理やり食わせようとしないはずだ。それくらい、いくら魔王だって常識としてわきまえているだろう。



魔「ほら、は、や、く。溶けてきちゃったでしょ!」



 うん、この子絶対冗談じゃないや。



優「じゃあ持つのを一旦やめろや! 手が真っ赤な色でドロドロのデロデロじゃん! 汚ねぇ以前に怖いわ!!」

魔「さっきから失礼じゃない!?」

優「むしろ逆だろ!?」

魔「いいから! つべこべ言わずに食べるの!」




 そういって、魔王はリスのように頬をぷっくりと膨らませると、再びチョコを持ち上げる。



魔「はい、あ~ん」

優「………」

魔「はい、あ~ん」

優「………」



 っくそ! この状況をどうにかしようにも、説得が聞く様子でもないし、逃げ道が無い…ッ!! 



 だが、そう簡単に諦めたりはしていない。ここで断固として口を開かなければ、流石の魔王も無理に食べさせようとは…ッ!



魔「次口開かなかったら、顎の骨砕いて無理やり捻じ込むよ?」

優「ちくしょぉお!!!」



 諦めるの一択しか選択肢が残されていなかったので、泣きながらチョコを頬張る。



魔「どう? おいしい?」



 そう聞かれるが、結論は食べる前から分かっていた。



優「ぉおおおおおおぉおおおおおおおおぉおおおおおお!!!!!」


 

 第一声が声にならない悲鳴もとい、呻き声。



 美味しいよりもまず痛い。甘いよりもまず辛い。



 口内が、喉が、焼けるように熱い、というか痛い。



優「っは、はひ…お、おい魔王…!! み、水…水が欲しい!! なるべくいっぱい持ってきてくれ!!」

魔「…え!? 『おい…しい、もっといっぱい持ってきてくれ』って!?」

優「一部分省いてどんだけ頭の中がお花畑な脳内変換してんだ!? 違うわ! 水だ!!」

魔「も、もう…今更照れなくたっていいのに~! まだまだいっぱいあるからたんとお食べ☆」

優「ぶっ飛ばすぞこんちくしょう!!」



 駄目だ、さっさと終わらせなければ身が持たない。何度が深呼吸をして、何とか落ち着きを取り戻す。



優「あー、ごほん…い、いやぁ! 美味しかった!! もうこれ以上のチョコレートは出てくるはずもない! という訳で魔王が優勝という事で…!!」



 すると途端に肩を思い切り掴まれた。



浅「何言ってるんですか? まだ桜のチョコレートを食べていないでしょう」

優「…それはこっちのセリフだ…ッ! 優勝者が出ればもう喰わなくてもいいはずだろ!?」

浅「そんな事はいっていない。大体そうだとしても、折角真剣に作ってくれた物を食べずに終えるというのは、いくら何でも酷だとは思わないのかい?」

優「少しは俺に対しても酷だと思わないの?」



 あまりにも一方的過ぎやしないだろうか。そりゃあ浅部の言いたい事も分かっている…しかし、それが安全ならまだしも生死に関わるレベルだからこそ全力で断っているのだが。



 優勝者云々の特典とやらも問題視するべき点だが、死活問題な今を乗り切るためには泣いて馬謖を斬るしかねぇ。



優「どう言われようとも…もう俺は誰のチョコも食べん…」



 そういうと、目の前にスッと新たなチョコが差し出された。視線を上にあげてみると、そこには桜の姿が。



桜「その…食べては貰えない…のでしょうか…」

優「…うぐ…いや、その…」



 もの凄く悲壮に満ちた表情で肩を落とす桜の姿に、良心が痛む。



 いくら桜が相手であったとしても、命に関わる問題なのだ、俺は決して屈したりなんて…。



桜「今回は、上手にできたと思っていたのですが…」



 やめて、そんな今にも泣きそうな瞳を向けないで。



桜「ご、ごめんなさい…無理意地で食べさせるような事いって…失礼ですよね。これは私が食べますね」

優「悪かった! 俺が悪かったから! 食う! 食うから!!」

桜「ほ、本当ですか!」



 流石にあれを食べさせるわけにはいかないと思わず咄嗟に引き留める。するとパァッと瞬時に笑顔になった桜の姿に瞼を細める。



 ああ、その純粋な笑顔がとても眩しく、そして何よりも残酷だ。



 ゴトンと、チョコから発せられる音には似つかわしくない物音を立てて机に置かれる。



 ゴツゴツと凹凸が激しく、月の面積のように大量の気泡によってブツブツと細かな穴が開いている。そしてなんといってもその重量感。



 取りあえず皿を持ち上げてみる。凄く重く片手で持ちあがらない。



優「(ちょっと待って、これ何キロあんの?)」



 ふぃー…と一息つき、今度は付近にあったナイフを手に取ると、それをチョコに目掛けて刃を押し付ける。



 全くといっていい程に、刃が通らない。



優「(…これ食えるの?)」



 ごそごそと手元ばかりを動かす一方で、一向に口を付けようとしない様子に次第に桜の顔色が曇っていく。



 やばい、そろそろ一口でいいから口に運ばないと……っく! 仕方がない!!



 意を決してチョコを両手で持ち上げる。そしてその勢いに便乗してかぶりつく。



優「(……歯…歯が通らねえッ!!)」



 まるで石を食っているかのようだ…というかチョコ風味なだけの石だこれ。



 歯を立てる事にゴリゴリと異質な音が響く。



桜「……ど、どうでしょうか優さん」



 かぶりついた姿勢のまま微動だにしない優の様子に、桜は恐る恐る尋ねる。すると少しして優は持ち上げたチョコを下すと、口内からダクダクと血を流しながらニッコリと笑顔で笑う。



優「…ほ、ほいひい…よ…」

桜「ほ、本当ですか!? よ、良かったぁ…」



 喜んでくれたようで何よりだ。俺もそんな桜の笑顔が見れて嬉しいよ、もう食べられないけどね。



優「…あの…流石にもう優勝者決めていいですよね浅部さん」

浅「ああ、意義は無い」



 何故か満足気に頷く浅部。この人ただの親バカだ。



優「…まあ、桜なら変な事もしないだろうし…優勝者は桜って事で…」

柚「ちょっと待ったーー!!」



 高らかな静止の声に思わず聞きたくないと耳を抑える。



 まだ何かあるのかよ。



優「…何? もう終わるとこなんだけど」

柚「いやいや、まだ私の分を食べてくれてないよね」



 そういって、柚依が作ったであろうハートの形をした一口サイズのチョコを差し出してくる。



優「ああ、うん…そうだね…はぁ…」

柚「露骨にめんどくさそうな態度に加えて溜息まで漏らさないでくれない!? 傷つくよ!?」

優「いや悪いな…作ってくれた事自体には嬉しいとは思ってるんだけどな…」

柚「微塵も嬉しそうにしてるとは思えないんだけれど?」

優「…本当はお前のチョコが一番最初に食べたかったんだよ」

柚「…え? それって…どういう…」

優「まずお前が一番まともだからな、今頃に出されても…という気持ちがすげぇ強くて」

柚「ああ、そういう…まあ、まともだと分かってるなら、折角作ったんだしとりあえず食べるだけ食べてよ、んで一言でいいから感想頂戴」



 そういわれ、渡されたチョコを手に取って一口。じんわりとチョコの甘味の中に、ほのかなイチゴの酸味が口の中で充満する。



柚「どーよ」

優「ああうん、上手いな」

柚「でしょー?」

優「思った通り上手いし、もうお前が優勝でいいよ」



 すると、柚依は喜ぶのではなく不思議そうに首を傾げた。



柚「…ふぅん? それは光栄で何よりだけど…それで本当にいいの?」

優「…何が?」



 言っている事の意味がよくわからないと怪訝に眉を顰めていると、柚依はくすりと笑う。



柚「誰が優勝とか、誰が優勝じゃないとか、一番だとか二番だとか」

優「いやいや、だから何がだよ」

柚「変なところで素直じゃないなぁ、まあ別に強要するものでもないからいいけどね。でも、優しさだけじゃなく、たまには素直にならないと…ね」

優「…何言ってんだよ」

柚「さあ? なんだろーね。ま、本当は薄々分かってるんでしょうけどね~」



 その言葉を最後に、柚依はバイバイと手を振るう仕草を行う。瞬間、その仕草の意図を問うよりも先に脈略もなく景色が歪んでいき、そして間もなく意識は途切れていった。





 ………


 ……


 …






 目が覚めると、そこは見覚えのある真っ白な天井だった。



「………何か…すっげー変な夢を見ていた気がする」



 休んでいたはずなのに、さっきまで全力疾走していたかのように身体がだるい。



「…寝すぎか? とりあえず起き上がるか」



 ベットから身を乗り出し、立ち上がると軽い準備運動を行う。快適な目覚めとは言えないが、前日の疲労が残ったままなんて言う事は差ほど珍しくも無い。



 パキポキと腕肩腰と関節の音を鳴らし、背筋を伸ばしてある程度のだるさが身体から抜けたところで、ふと下の階から甘い匂いが漂ってきた。



「…何だこの甘い匂い」



 いい匂いに釣られて丁度小腹が空いてきた、腹の虫がぐうぐうと音を鳴らす。



 気になって下の階に降りてみると、降りてくる気配を悟っていたのか魔王、桜、そして柚依の三人が待ち構えていた。



「おはよー優くん」

「おはようございます優さん」

「大分髪がぼっさぼさだけど、よく眠れたの?」

「おはよ、まあ結構深く眠れてたんじゃないかな」

「そう? そりゃ良かった。で、早速目覚まし用にといっては何だけど…」

「ん、何か用か?」

「うん、実は優くんに渡したい物があるんだよね~」



 そういって、魔王は少し照れた様子で小さな箱を手渡してきた。



「ん、何だこれ?」



 素直に魔王が差し出した箱を受け取ると、手に持って箱を見つめた直後に違和感を覚えた。



 …あれ、何だろ。何かこの光景に似たようなのを最近何処かで見たような気がする。



「え、えっと…ですね…優さん…実は…その…私からもなのですが…」

「え、あ、ああ…」



 魔王同様に桜も小さな箱を手に持っていた。差し出されたその箱を受け取ると、桜はすぐさま恥ずかしそうに目線をずらしてしまう。



「…実は言うと…その…私からも渡す物がある」



 今度は柚依だ、妙に歯切れの悪い声を掛けられる。二人と同じでその手には何かを握られている。受け取ると柚依までもが照れたように人差し指で頬を掻く。



「…一体どうしたんだ?」



 何時にも増して彼女らの様子がおかしい。三人から受け取った箱をマジマジと見つめる。



「…えーと、開けてもいいのか?」



 その言葉に三人は同時に頷く。



 許可を得たところで一つ一つ箱に縛られた赤い紐を解いていく。すると箱の隙間から、何やら先ほど嗅いだ覚えのある甘い匂いがする。



「あれ…? この匂いって…」



 疑問に思いながらも箱の蓋を開けていく。すると三人から渡された箱の中には、それぞれ違う形のした茶色い小物が入っていた。



「……これ…もしかして、チョコ…か…?」

「え? あれ、優くんもしかして知ってた?」

「ん? いや…ただ何となく、どっかで見た事がある気がしてな」

「でしたら、今日が何の日かも知ってますか?」

「あ、ああ、多分」

「なら話が早いね」



 魔王、桜、柚依は優の近くに寄り添うと、三人は楽しそうに口を揃えて言った。


 


「「「ハッピーバレンタインデー!!」」」




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