不死鳥シリーズ little sister
それは15年前のお話。中庭の花壇でダブダブのドレスを着た少女がしゃがみこんでいる。
『何してるんだい?服が汚れるよ』
今年4歳になったばかりの妹を抱き上げる。去年より少し重くなったみたいだ。
「にーに、あのね。アリ」
泥だらけの手でイグニスの頬にべたべた触れながら、抱きついてくる。
「は?アリ…お部屋で飼ってるじゃないか!」
土を払いながらため息をつく。確か昨日、ビンに土とアリをいれてやったはずだが…眉を寄せてたしなめる。
『んー?かぞく!にーに、まま、ぱぱ、くれあだよ』
どうやらアリに名前をつけるらしい。確か角砂糖を持ち出していたっけと思い出した。
「あのな…アリさんは働きアリと女王アリが…」
アリ社会のシステムを説明しようとしてやめた。地面にキャンディが投げられたからだ。べちゃり、すぐさまアリが集まってくる。
『きゃははは!このこ、にーに、にーに!』
地面を指差しながらアリを視線で追うクレア。どうやら付き合わなくてはならないらしい。
「はいはい。地面に物を落とさない」
クレアが落ちないように抱き上げ直して家族のアリを探すのだった。
fin