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間奏曲 籠絡の夜想曲

隣で気持ち良さそうにスヤスヤと寝る少年。失礼、少女の手には鞘に収まるナイフが握られている。


宿屋が大盛況で、相部屋しか取れなかった結果、俺が夜におかしな行為を働かないように握っているそうだ。生憎、俺はお前を女としては見ていないんで取り越し苦労だぞ。


そんな杞憂はどこへやら無邪気にぐっすり眠るレミファ。その寝顔を見ながら顔がにやけてしまう。


良い女を見付けたもんだ。いや、良い駒を見付けた。


レミファのベッドの縁に弓と並べて立て掛けてあるリュート。


俺に音楽の良し悪しは分からない。街中で音を出すこいつを見付けた時、俺はこいつの手に持っていた只の楽器より、脇に少量の荷物と共に置かれていた弓矢だけに惹かれた。

銃や弓は剣より断然強い。銃はこの国、ハーシルでは治安維持のため、兵士以外は持てない。今は只の傭兵な俺がハーシルの兵士に声を掛けても無駄になるのは分かっている。だから、銃の使い手は諦めていた。

弓は誰でも持てる故に、せめて、弓の使い手が欲しかった。だからレミファに声を掛けた。こいつの腕を試して見るつもりで。


しかし、予想外だった。弓の腕は良くも無く、悪くも無く。俺がドラゴンの尾に意識を失った演技をしたら、あっさり、弓を捨てやがった。


その時は別にこいつが死んでも良くなった。ドラゴン一匹に殺される奴を俺はいらない。


だが、レミファは俺の予想を遥かに越えていた。リュートを手に取り、歌った歌。ドラゴンの皮膚を引き裂く神の風。呪文歌。昔、祖母から聞いた消え去りし古代魔法。呪文の歌い(スペルシンガー)と共に歴史から消えていく魔法。それまで、祖母の作った子供用のお話の中だけの代物が、俺の目の前で歌われた。


今では、レミファの弓等、俺の眼中に無い。俺の欲しい物は、レミファの声と指とリュート。


本当に良い駒を手に入れたものだ。こいつは優しい顔をして、飯を食わせてやれば、ほいほいついて来る。これから、こいつに働いて貰う事を考えれば安い物だ。


レミファが身動く。おっと、笑い声が漏れちまったかな?


まぁ、その時が来るまでのしばらくは優しく面倒を見てやるから、楽しい夢を見てろよ。

その後は、俺がシャットの覇権を奪い取るために、存分に働いて貰うからな。

俺の手駒としてな。

。まだまだ、この小説には、愉快な合奏者達が出てくるのですが、取り敢えず、このどちらもどちらな腹黒コンビから、旅は始まります。


どうぞ、続きをお待ち下さい。今週中には更新します。

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