一食目 「仕事帰りの焼肉は至高」
「坂本くん。まだ次の会議の資料完成していないのかい?」
「坂本さん、この仕事肩代わりして貰えます?」
「坂本〜、もっと真面目にやれよー。」
ストレス溜まる現代社会。俺平凡社会人唯一のオアシスは間違いない。メシだ。
ーーー残業込みの14時間労働を終えた俺は、ふらつく足で家へと帰っていた。
「帰ったって飯作る気力もないし…外食だな。」
やっときた金曜に心躍らせ、周りを見渡すと、そこはまるで玩具箱。
トンカツ屋・回らない寿司…いや、俺は回転派だ。
串カツ屋・もんじゃ…そして、焼肉。
「やっぱ、焼肉に限るんだよなぁ。」
現代社会は焼肉を欲している。
「いらっしゃいませーー!」
「さてと…何を食うとするか。」
メニュー表を手に取ると、真っ先に《黒毛和牛上カルビ》が目に入る。
むむ!これは即買いだな。ジャストサイズで690円か、日頃頑張っていた俺へのご褒美だ。
次は…原価カルビ740円か。これは二つだな。
牛塩タン990円を一つと、忘れてはいけない。ねぎ塩は必須事項だ。190円。
最高だ。やはり1人焼肉こそ至高。頭の中で先にイメージトレーニングを済ませてから、定員さんを呼ぶ。
「黒毛和牛上カルビ…一つと、原価カルビ二つ。牛塩タン一つと…ねぎ塩で。」
俺は指をさしながら注文して、追加でまた頼む。
「ホルモンのレバー一つと。(590円)ライス大で(220円)。これでお願いします。」
「確認いたします。黒毛和牛上カルビ一つ。原価カルビ二つ。牛塩タン一つ。ねぎ塩。レバーお一つ。ライス大で。」
俺は頷くと、定員はそのまま去っていく。
目の前のロースターに火がつくと、俺は期待を膨らませ、特製だれと塩を皿に垂らす。
定員が慌ただしく店を歩き回る。店は大繁盛、満席だ。
(やはり、焼肉にしてよかった。)
昼飯を抜いてきたのでギアは全開。いくらでも食ってやるさ。
俺が待っているとお肉が届く。
「黒毛和牛上カルビと、原価カルビでーす。」
届いた肉をすぐに焼き上げるため、火を強にし(勝手に)、黒毛和牛上カルビから乗せていく。
少しだけ、少しだけ赤みが残った状態がベスト。1番柔らかく、美味しくいただけると思う。
「いただきます。」
手慣れた技で焼きあげたカルビを口に運ぶ。余りの空腹に米が届く前に食べてしまったが、問題ない。イメージで米などいくらでも想像できる。
………う…うますぎるぜぇぇぇえええ!!!!
思わず大声で叫んでしまいそうなところを必死に抑えて、全集中で焼き上げていく。
やはり、カルビはタレが合う。個人の意見だ。この店のは実に柔らかく、食べやすい。口に入れると溶けてしまうようだ。それはないが。
「ライス大と牛塩タンです。」
ライスが届いた瞬間、目にも止まらぬ速さで書き込んでいく。あまりにも早いライス完食。当人じゃなきゃ見逃しちゃうね。マジで。
「しまった。ライス大を一口で終わらせてしまった。」
俺は追加で注文して、牛塩タンを焼いていく。
すぐに焦げてしまうので、しっかりと見極めないと行けない。絶対に焦げてはならない…絶対に…。
「ここダァ!!!」
俺がトングで掬い上げると…!焦げてしまっていた。
「ノォぉぉお!!!」
しかし、やはり牛塩タン。うまい、うますぎる。
全身にエネルギーが供給されるのを感じる。そこで、次はねぎを投入して、届いたライスをかきこむ。
(ビール頼んでも…いや、今日はやめておくか。絶対二日酔いする。)
みるみるうちに注文した肉が無くなっていく。ライスも三杯目。ラストスパートだ。
「レバーお一つでーす。注文以上で。」
きたキタキタ!締めの登場だぜ!!!
やはりホルモンはラスト。これも個人の感想だ。
俺は焼き上がったレバーを口に運ぶ…!
それと同時に俺は昇天していった。
合計金額4600円
「やはり焼肉こそ至高。またいこう。」
俺は膨れ上がった腹を叩きながら、家へと帰ろうとする。すると、後ろから話しかけられる。
「ヨォ、坂本じゃん。飯食おうぜ。」
後ろを振り向くと、友人の中村がいた。
中村を一言で言うと、ガサツな美人系女子。高校、大学が同じであり、なんとなくで飯を食い合ったり、ゲームをしたりする仲になった。
「中村。すまんな、もう飯は食っちまった。」
「あぁ、知ってる。だって焼肉屋から出て来てたからな。」
焼肉屋を親指でさしながら、ドヤ顔で喋る。
「なら今日は無理だろ。」
「もう一軒行くぞ!!!」
こういう強引なとこは直したほうがいいと、切に思う。
「で、二軒目も焼肉はほんまに頭おかしいと思う。」
「いーじゃねぇか、私食ってないんだしさ。」
注文表に目を通しながら、中村が喋る。
「その様子じゃ、また連日出勤ってとこか?」
「お前もその様子じゃ、連日パチンコ生活だろ。」
「残念、競馬でした。」
変わらねー。ただ、2軒目ってガチで何を食おうか悩むな。
「マジで腹入らないし…ビビンバと豚トロもいいな。」
「な?結局食うだろ?」
「そりゃ入ったからにはな…仕方がなくだよ。」
「嘘つけ〜。」
やっぱ腹立つやつだな。と、思いつつも、届いたビールを乾杯する。
「今日はどうだったん?うっま」
「計14時間労働。マジで殺す気かよ。うんま」
「私も14時間ぐらい競馬してたんじゃねぇかな?同じだな!うま」
「労働と賭け事を同じにするな。全社会人に謝れ。うますぎんだろ。」
トングで皿に肉を盛り付け、ビビンバと一緒に流し込む。まさに贅沢な食べ方。ちなみに、石窯ビビンバではない。
「お前…2軒目なのによく食うな。」
「まぁ、入ったら食えるもんよ。こういうのは」
「そういうもんかね」
「そういうもんだろ」
トングでカルビの取り合いを制したところで、俺は締めに入る。
「流石に食い過ぎたな〜。明日の昼飯は抜きかな。」
俺はビビンバを食べ尽くし、その後ビールを飲み干したところで話題をだす。
「ん?明日って暇なん?」
「え、そりゃあ俺に予定があるわけ無いけども」
俺は「強いて言うならゲームのイベント」と付け加えると、中村は身を乗り出す。
「なら、坂本。夜予定空けとけ!宅飲みしようぜ!」
「えぇ…マジかよ。」
俺は顔の近い中村をまじまじと見つめ、そういえばこいつ美人だったなと思い返す。性格で帳消しにされていたが。
俺の地獄の宅飲みが決定したところでお支払い。
「ごちそーさまー。」
2軒目 中村の分合わせて12730円。三分の一を支払い帰宅。




