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第0話 「音楽の国」

アランはこの国で退屈で窮屈で非常に憂鬱だった。

ここは地球の北側にある国で無駄に大きい。この国は音楽に支えられている。国の輸出額の9割はレコードやらで残りの一割は野菜ださらにその野菜にまで四六時中音楽を聞かせて育っている。そして必ずここの国民は絶対と言っていいほど音楽をするのだ。病的なほど音楽に取り憑かれているこの国を人々は愛とか皮肉などをつめて音楽の国と言う。

アランは枕に頭を沈めながら音楽を心から楽しめない自分の居場所を探した。アランは幼い頃に突如として聴力を失ったのだ。それに気がついた父は仕事が手につかず毎日悲しい歌を演奏しそれを聞いた母は何かを察して父のトランペットに合わせて毎日声を震わしている。そんな感じでほぼ無職しかいないうちが家を失わずに済んだのは皮肉なことに両親の音楽が世間に受けてしまったからである。それがアランを傷つけることとは知らずに世間は父母を私から遠ざけてしまう。私だって─違和感を感じてアランは振り返る。

木材の軋む音を響かせながらドアをノックして開ける父親にアランは気づかなかったのだが。父のトランペットが空気を震わせ、思わずアランは後ろを振り向き視線を指先へ集中させた。トランペットの指使いでアランは「朝の歌」であることがわかった。このような爽やか曲は久々に目にしたアランは頭の中で曲を再生しながら父の服装に目が行った。いつものピチピチで黄ばんだシャツに対してアランの顔が反射して見えるのかと思うような藍色のスーツを身にまとっている。アランは今日何かあるのだなと悟り、父の口元に目をやった何を喋っているか聞き取ることはできないがトランペット同様、口の動きで読み取る事はできる。どうやら出かけるらしいなんでも歌姫がこの街に来るとかで街中大騒ぎだそうだ。当然歌姫なんぞ知る由もない長らく外に出ていないのアランは外に出る気が微塵も湧かなかった。だが裏に控えている母親と年に一度クリスマスだけ帰って来るお兄様と姉ちゃん。そしてめったに見ない叔父さんまで出て来た。相変わらず肩にインコを乗せている。5人は軽快なリズムを刻みながら母と姉ちゃんはアランが普段は絶対に着ることのないコンサート用の服の中に放り込み、お兄様はそれを茶化してくる。とてもうざったい。父はインコと話しているし、叔父さんは父をインコに取られてなぜか悲壮感を出している。具体的に言うなれば、顔を下に向きながら少しだけ方に乗っているインコをにらんでいる。とりあえず父と叔父さんとお兄様は邪魔なので出て行って欲しい。騒がしい準備が終わり、叔父さん、お兄様と姉ちゃんはまだ身支度ができてないため先に父と母で出かけることになってしまった。時間はあったはずだろう。アランは怒りを覚えた。ガチャリとドアを開けた先にはアランの白い肌を襲う鋭い直射日光とそれよりも眩しい音楽隊の演奏である。あとついでに寒い。母はアランに日傘を手渡しその音楽隊にまじりに行ってしまった。一方、父は歌姫についてやたら熱心に語っている。父の語彙力はなくなっておりとにかくすごいらしい。これじゃ何もわからないわけだが世間知らずの私が分かる事はこの国で歌姫を呼ばれるということはよほど人間離れをしていることだ…まあ、  とにかくすごいのだ。

今後、アランが「音楽の王様」と呼ばれる未来は歌姫だけに見えていた…

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