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地図は図で覚える、とは

ソラノ「でも逆に場所で覚えないんですか? 位置とか、どう覚えてるの?」

K 氏 「え。なんか図で覚えません?」

ソラノ「図とは」

K 氏 「ほら。パソコンでこういう地図開くじゃないですか。そのまま、スクショみたいに覚えてるっていうか」



  K 氏 はその場でパソコンに現在地を出した。

 驚くことに、現在地を検索していない。

 なのに的確に出していた。意味わからん。



ソラノ「チョットイミワカンナイデスネー」

K 氏 「おえぇ?」

ソラノ「あ、でもSさんはわかる? 記憶力いいもんね?」



 Sちゃんに話を振ると、なぜかとても難しい顔をしていた。



S © 「いや……図は図でしかないんで」

K 氏 「地図だよ」

S © 「ただの絵って感じ」

ソラノ「わっっかる……」

K 氏 「ワカラナイ……」

ソラノ「いや私、地図を見た時に立体で考えちゃうんですけど」

K 氏 「んんん??? 芸術的な話してます?」

ソラノ「地図の話してる」



 なぜそうすぐ芸術になるのか?

 実は K 氏 が芸術脳なのか?

 謎は深まるばかりでも、話も深まる。



ソラノ「え? 考えない? 地図を見た時に自分から見たらどうなるか……」

S © 「わかる」

K 氏 「なんですかそれは?」

ソラノ「逆にどう見てるんですか?」

K 氏 「いやこの地図のままですけど」

ソラノ「地図のまま、とは」

K 氏 「えぇ〜? これみたいに俯瞰した感じって言ったらわかります?」

ソラノ「客観的に見てる……ってこと?」

K 氏 「逆に俯瞰的に見ないんですか?」

ソラノ「主観的にしか見ないですけど」

S © 「俯瞰的とは」



 さすが迷わない人は違う。

 どうも脳の作りから違いそうな気がする。

 見え方がまず違ったらしいと判明。



ソラノ「え……? 外歩いてる時目の前の道見て歩きますよね?」

K 氏 「歩きますけど、地図も考えてる」

ソラノ「地図も考えてる……?」

K 氏 「だから1回見たらなんとなくいけません?」

ソラノ「いけないけど……?」

K 氏 「えぇ……⁇」



 なぜ困惑するんでしょう。困惑したいのはこちらだというのに。 K 氏 だけ別のゲームしてるような話をしてる。



S © 「あれですか。ゲームみたいな」

K 氏 「そう! ゲームのマップみたいな!」

ソラノ「な〜るほど? え? すごいな? 地図回さないってこと?」

K 氏 「地図回す……?」

S © 「自分の正面の位置に合わせて回すってことですよね?」

ソラノ「そう!」

K 氏 「いやなんだそれは……」

ソラノ「えー! 俯瞰のほうがわけわかんないよ!」




 実際、我々の仕事では地図案内をする時があるのだけど……その人に合わせた現在地がわかるように、地図を回したほうが理解してくれる人、多いんだけどなぁ。



 でも、普段から俯瞰で見てる彼にはピンと来ないらしい。羨ましくもある。



S © 「でもゲームのマップがあれば私でもいけるかもしれない」

ソラノ「たしかに。その能力ほしい」

S©「ゲームのマップ右に出しといてほしい……あ、今右と言いながら左だったわ」



 Sちゃん、左を指しながらそのセリフを言っている件。抜けてる……!



ソラノ「あー、今のは他人から見た時で言ったのかと思ったら」

K 氏 「わかります、左右盲ってゲームだと一瞬わかんないんですよ。でも現実だとヤバい」

ソラノ「やばい」

S © 「私に先導させたら一瞬で迷えますよ」

ソラノ「ドヤるなドヤるな」

K 氏 「持たせたら終わりですね」



 楽しそうなSちゃんに、 K 氏 は友達と迷った時のことを思い出したのか頭を押さえていた。



S © 「え、でも、歩いてる時目印とか考えないんですか?」

K 氏 「考えないですね」

S © 「考えないの……⁉︎」

ソラノ「何を見て歩いている……?」

K 氏 「いや、道の本数とか」

ソラノ「道の本数いちいち数えてんの⁉︎」

S © 「目印で歩いてない……⁉︎」

K 氏 「逆に目印役に立ちます?」

ソラノ「立つでしょ⁉︎ そのための目印でしょ⁉︎」

S © 「そう。目印は覚えてるんですよ……ここで曲がるなって思って、反対に曲がる」

K 氏 「あぁ〜〜左右盲〜〜〜〜」

S © 「地図は……地図はだめ……」



 Sちゃんは国立大を出たくらいの才女なのだけれど、地図脆弱四天王の中でも最弱になってしまうらしい。左右の感覚は頭脳に比例しないのだなと改めて思った。



K 氏 「あ、わかりました。俺車乗るからです。車乗ると覚えるんですよ道」

ソラノ「そうかな……?」

K 氏 「車使うと大通り覚えるんで」

ソラノ「いや大通りは私もわかる。おっきい道行けばいいんでしょ?」

S © 「私もまっすぐなら歩けますよ」

K 氏 「あれ? じゃあなんで迷ってます?」

ソラノ「細かい道行こうとするとムリ。あと中途半端に大きい道がね、騙してくるから」

K 氏 「騙してくるとは」



 騙されたことがないらしい(忌々しい)彼に、ちゃんと教えてあげることにする。



ソラノ「ここかも? って思っていくじゃん? 行き止まりの時とかもあるじゃん? でも帰る時見た目違うから」

S © 「わーかる、変わっちゃうから」

K 氏 「変わってないですけど??? ……でもあれですか、左右が反対になるとか言ってたやつ」

ソラノ「それです!」



 やっと我々のことを少し理解したらしい K 氏 が、わからないという顔をしながらも歩み寄ってくれた。



K 氏 「まーソラノさんは不安になっちゃうってことですね。もっと自信持ったらいいんじゃ?」

ソラノ「自信持ったら、ズンズン進んで戻れないところまで迷うだけですが」

K 氏 「おぉ〜?」

S © 「私みたいになるだけですよ」

ソラノ「なんでそこは自信満々なの?」



 Sちゃんはどうも、迷うことに関してはとても自信があるらしい。誇ってる? というくらいいい顔で言った。

過去に我々は何も見ないで描くヒ゜カチュウ& イーフ゛イ大会を開催し、Sちゃんが優勝しています。私のはウサギだと言われました。K氏は半画伯。(画伯は別でいる)

次回投稿は本日18:10予定です。

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― 新着の感想 ―
地図に載っていない道にいつの間にか入り込むのが得意です 自慢にならない…_| ̄|○
色々と興味深いですね。 自分は割と地図が読める方で、シルバコンパスを使うとき以外は地図を回しませんが、「中途半端に大きい道が騙してくる」と「帰る時見た目違う」はよくわかります。 前者は、都内だと大体…
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