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【連載版】『絶対王者』と呼ばれた男は、冒険者になって無双する  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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 ファイアリザードの素材をまとめて売ると、合わせて金貨二枚ほどになった。

 肉は一日熟成すると美味くなるということなので、明日もらうことにする。


 俺達の場合二人だから金貨一枚になるが、四人パーティーで倒せば一人あたりの取り分は銀貨五枚ほど。

 そう考えると中層の魔物はさほど実入りがいいとはいえないのかもしれない。


 肉を持ってくる方が安定はするためこの街の冒険者達はファイアリザードを好んで狩るらしいが、金を稼ぐなら換金性の高いものを大量に詰めて持ってくる方が良さそうだ。


 そのまま中層に入ろうかとも思ったが、炎古龍の討伐がこのままでは現実的でないとわかり、俺のやる気はかなりなくなってしまっていた。


「とりあえず別行動でいいか?」


「はい、私は宿に戻りますけど……ギルさんはどうしますか?」


「とりあえず適当に酒でも飲んでくる」


 手渡された金貨の感触を確かめながら、グラバドの街へと繰り出す。

 時刻はまだ午後三時ほど。

 仕事終わりの男達がやってくるのはまだまだ先のため、軒先から見た店内はどこも空いているように思えた。


 中層の魔物達と戦うつもりだったんだが……なんだかやる気を一気に削がれてしまった。


 今の俺なら深部の魔物ならなんとかなるだろうが……その後はどうするべきか。


 俺の予定では深部に出てくる魔物はAランクという話だったから、そいつらを倒して守護者討伐のための装備を整え、次に守護者の素材を使った装備を整えて裏守護者に挑む計画だったんだが……このやり方だと、果たしてどれだけ時間がかかるかわかったもんじゃない。


「まあこういう時は考えるだけ無駄だ。とりあえず飲もう」


 今はなんとなくやる気がなくなってるだけで、明日になれば元気も回復しているはずだ。

 深部で金稼ぎをするもよし、別のところで装備を整えるのも良し、守護者相手に裸一貫で勝負をするというのもありだろう。


 いや、なるほど……。

 守護者相手に防具なしで戦うのもアリだな。


 それなら恐らく今までにないくらいに苦戦するに違いない。

 ここ最近は、俺がまだ騎士や魔導師相手に死に物狂いでなんとか勝利を収めていた頃のようなギリギリの戦いをすることは久しくない。


 炎古龍に挑みたいのも強敵と戦いたいというのが一番の理由だし……もしかすると今の俺は、苦戦がしたいのかもしれないな。


「よし、ここにするか」


 適当に店に入り、店員に聞いたオススメの料理を頼む。

 名前だけ聞いてもなんだかわからなかったが、とりあえず炒め物が来るらしい。

 酒はエールではなく、ワインしか置いていないようだ。


「一番が銀貨二枚、二番が銀貨一枚だよ」


 何が違うのかと思ったが、どうやら水を加えて薄めていない原液に近いものを一番といい、加水をして飲みやすくしたものを一番というらしい。

 今は酔いたい気分だったので、一番を頼む。


「ふむ……なるほど」


 ワインを飲むのは久しぶりだった。

 以前飲んだのも時間が経ちすぎた在庫処分品だったので、それと比べればやはり上手い。


 苦みはエールより弱いが、その分酸っぱさとえぐみがあるな。

 まあ酒なんて飲めればなんでもいい。


「お待ち!」


 酔うために敢えて空腹の状態で酒を飲んでいると、料理がやってきた。


 その上には豆類らしい何かと肉を炒めたものが乗っている。

 食べてみると肉は硬めだが、豆が柔らかい分さほど気にならない。


 肉は臭みを消すためかハーブか何かをすり込んであるらしく、スッと鼻に来る爽快感が癖になる。

 腹が減っていたのでおかわりを頼み、ついでにワインも飲んでから店を出る。


「毎度!」


 一軒目で早速金貨一枚を使ってしまった。

 まあ別に金なんぞ明日稼げばいいと、二件目へ向かおうとする。


 どうせなら地元の奴らが集まるような名店に行きたい。

 『麺屋花蕾』のような店が、どこかにないものだろうか。


 まだ見ぬ名店を探しながら歩いていると、気付けば俺は見慣れぬ場所に入り込んでしまっていた。


「迷ったな……」


 どうやらここは少し前に来た工房のある区画らしい。

 ウェステリア工房の本店より下町側にある、庶民向けの金物屋なんかが集中している場所だ。


「この大馬鹿者が、何度言ったらわかるんだ! 素材の無駄遣いはやめろと言ってるだろう!」


「無駄遣いじゃないっす! これは未来のための大いなる前進っすよ!」


 酔いを覚ますために適当に歩いていると、どこからかおっさんの怒鳴り声が聞こえてくる。

 野次馬根性を見にいくと、そこには親方らしきドワーフの男と……彼に反駁している若い女性の姿があった。



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