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境界の物語  作者: ∀・1
βストーリア
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魔物との戦争―――2

突如始まった、学院長による謎の宣言に学生諸君たちは驚いたんじゃなかろうか。

僕はそんなふうに思いながらも、一旦は話を聞くことにしておく。そっちの方が後の話のすり合わせなどしなくて済みそうだし。

【...まあ、いきなりこんなことを言われても驚嘆のあまり言葉が出ないのは理解できるのだが。だが、此処で参加しないようなら最前線で剣を持って魔物と戦ってもらうが、それでもいいのかな?】


そこでラヴィア学院長―――もといセイタは脅迫を敢行した。何故かそれが初めてじゃない気がしたけど、多分気のせいだろう。

「...あの親父め、あん時みたいに脅迫して。...しかも、働かなきゃ全員道連れとか、あの時よりもひでえな」

「ま、威亜と一緒に機動兵装群をすっぱすっぱ斬っていった時よりましじゃない?あの時はコロニー守らなきゃだったし」

後ろではその息子と姪が話している。どうやら同じ世界にいた時に巻き込まれたときの話らしいが、機動兵装とかコロニーとかいう謎の言葉を発している。ガイオならわかるかも...と思ったが、その当人は攻め込んでくる相手の首魁だ。聞いても、その後に倒されるだろうから意味はないだろう、というのが僕の見解であるがために二人に聞きたかったものの再びセイタが話し始めたことによって僕の行動は断念することになる。


【...まあ言っておくが、参加するしないに関わらず私は君たちに強制兵役としてこの任務を遂行してもらおう。予定としては、あと3...いや、2か月で完成しなければ魔物の猛攻には耐えられないだろうな。完成度で言えば120%、君たちが全力で要塞の建築を行ってもらわねば、一人が『自分は働かなくても他人がやってくれる』と自らの業務をおろそかにすれば、その場所から魔物が浸透してすべてが滅びる。その点、肝に銘じる様に。それと、三日後に業務を開始する。諸君、せいぜい滅びぬようにあがくことだ】


...なんて傲慢な。そう思ったがいつものことだったので特に何を言うでもなく、セイタがこちらに来るのを待つことにした。

「...ま、こんな所だろうか。彼らに厭戦意識を持たせることによって絶対不可侵の防護要塞を創らせ、自らは安全な場にて生きる事、それを優先させてもらった」

まあ、いつもの事だ。それにしても、この男が効率を求めるなんて珍しい。

「大方、そうやってプレイヤーを踊らせて魔物が少なくなった最終局面と言った時に一か所だけ脆い場所を作って、そこから魔物を浸透させて弱い奴らを殺して、残った強い奴らを戦闘中の極限状態なのを良い事に無理やり子を為させようとするんだろ?俺達は同じ方法に踊らされたから分かってるよ」

「その通り。だが、そんな方法に踊らされて実際子を為した愚息には言われたくもないな」

「初恋の相手に一途に思い続けた純情なせいで、グレンが暴走して殺した時に性格がひねくれた自分の親には言われたくはないな」


―――喧嘩してるような、してない様な。でもユキが止めないと言う事は多分、いつものじゃれ合いなのだろう。実際、セイタが苦笑して「...流石に痛いところを付いてくるな」と苦笑していた。

こんなに性格がひねくれ切ったなりたくない大人の鏡の様な男が、純情な時があったなんて正直思えない。というか、僕とシン、それにレーヴァとエミリアはその戦闘中の極限状態にいすぎたせいで自然的に其の『無理やり子を為させようとする』魔力にかかっているのだろうか。

...子を為させようとする、などという言葉を聞くとついつい恥ずかしいような気持ちになる。

気にしない、と思ってもその言葉が頭にちらついて離れない。

...エミリアが戻ってきたら、剣術学院との合同演習でされた意趣返しとして、少々遅すぎる気もするけど告白でもしようか。...それに本当の気持ちを込めることは、気付かれないようにしなくてはならないけど。



「...じゃあ、そこのブロックを置いてくれ。ああ、そっちのはあとで上にやる奴だからまだ早い。おいそこ、遊ぶな!」

取り敢えず、僕の所には一年だと思われる者達が多くいた。流石にこんな急なことを言われても分からないのか、はしゃいでいる奴もいるみたいだが。

「...そう言えば、君は何で何もしないの?」

ただよく見ている奴もいるようで、こんなふうに僕に声をかけてきた少女がいた。

これ幸いと、一旦ヴァルの鬼の様な(普通はこんなに張り切っていないから、陣頭指揮をとれると言うのは流石のヴァルでもうれしいらしい)指揮を離れて僕の方を見る残りの少年たち。


「...僕が何もしていないと思われちゃ困るな?こう見えても五つの事を同時並行してるんだから」

『?』

流石に分からなかったようだが、実際僕は5つの事をしている。

まず、会話。こんなくだらない会話だったら集中が乱れると言った事は無いので大丈夫だ。

次に、神龍ノ鋼の精製。これが結構体力を使うが、案外大丈夫だ。

次に、魔物の討伐。これは魔力で象った自分の残像を思考のみで物理的に操って、酔ってくる魔物を殺戮する感じだ。比較的きついが、体力的、精神的には問題なさそうに感じる。

次に、神龍ノ鋼を空にあげて組み立てる作業。これは<幻視ディル>と同時並行なので、魔力を相当喰う。結構きつい。

最後に―――ディスペアーとの<同調ゴルデァ>。物理的に1300㎞程離れたディスペアーを同調するのは魔力が一秒単位で溶けていく感覚を感じる。こうなるかもしれないからとイアが渡してきた魔力結晶がこれほどありがたいと思える事は無い。あちら側も対策を講じているようで、空に浮かんでいる謎の船を打ち落とすかどうかを考えているらしい。ま、あれが大昔の王の創った戦艦だとしれば驚きに腰を抜かすだろうが。


そんなこんなで2ヶ月が経ち―――ぽつぽつと、魔物が増えた。

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