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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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ブロットル

「...さて、ガルゴン王国境を越えたのだからまずは王都・ロードガルゴンにでも赴くとするか」

心の裏表によってローガヴァル教会に行けなかったと思っているヴァルを押しのけ、【戦車】の操縦を行いながらセイタが言った。

ガルゴン王国はレギュリア大陸内でも相当大型の部類に入る。

ベルベッド共和国も大きな部類なのだが、ガルゴン王国はその面積の倍ほどの支配地を持っている。

ベルベッドでも反乱がおきる気配が稀にあるのに、一切反乱の無いガルゴン王国がどれだけ凄いか、というのも分かるだろう。


「...あの場所は色々と厄介だが...まあ、レイヴンが起こす行動次第、だな」

アリオスが口にしたのは、僕の名前。何かしらあるのだろうけど、僕の行動次第とは?

そんな事を言いながらも、ローガヴァル教会前にヴァルが出していた物を更に超える速さの【戦車】が馬車のいない横道を、木をなぎ倒しながら進んでいくのも気付かずに僕たちは談笑した。



2週間後、僕たちはガルゴン王国王都、ロードガルゴンの目の前にいた。

ロードガルゴンの関門までの道は、当然のことながら石の煉瓦。横には森があって、周りにはきっと獣が沢山いるのだろう。だが、僕たちが立ち止まっていたのには理由があった。

「おお...。」

ロードガルゴンの壁には、通常の石煉瓦にない紫の靄が見えた。

「あれは魔封煉瓦だな。魔力を煉瓦もしくは石煉瓦に込めたものだが、あれまで魔力が込められた魔封煉瓦はあの魔術学院の地下に隠されたライデオル要塞でしか見た事が無いほどだ」

魔封煉瓦。名前だけは聞いたことのあるものだけど、基本は石でしかない壁なのに使われているのは大国の王都か、もしくはレギュリア大陸南部にある<虹の橋>を越えた先にあるログロス大陸の東部に位置すると言われているエルフの都・イグドラシル(レギュリア極北にある<巨鯨の湖>と対になるらしい)ぐらいじゃないのか。


「...では、次の人は前に進むように!」

そう言われて、僕たちは急いで前に進んでいった。



―――



「...これは本当にロードガルゴンなのか?これほどに人の見えるのが少ないのは今まで見た事がないが...。」

セイタ―――というより、僕たちは人の少なさに絶句していた。

聞いていた話では、ロードガルゴンには人が至る所に溢れていて、裏道にも栄えている宿屋がある、という話だった。でも、今のロードガルゴンには活気すらが無い。

見える人は全身を鎧で覆った重武装の兵士たちだけで、僕たちの様な観光客はどんどんいなくなっていた。


「おや、君たちは観光客に見えるんだけど。此処は危ないから、君たちも非難した方がいいよ」

と、そんな兵士の一人が僕たちに声をかけてきていた。

「なぜ我々が避難せねばならないのだ?」

そんなセイタの言葉にも、「辺境の領主が珍しく魔物の軍勢に押されているようでして。魔物がそこを越えればあるのは麦畑、それを抜ければ物理に弱い此処なのですよ」と厳しい顔で応対し、「では、私は原隊へ戻ります」と言うと兵士の列に帰っていった。


「...別に戻る必要が無いように思うが」

「奇遇だな、私も同意見だ」

「頼むから面倒にだけはするなよ?ラヴィアの方に矛盾を直させるのは面倒なんだから」

そんな中、この旅の中で絶対の権限を持つセイタとアリオスが進行を選択したので、僕たちは進まねばならなくなった。

...此処に来なければよかった。



近くにあったギルドの転移装置を間借りして、例の場所―――デルマイユ伯領ブロットル村に着く。

既に無人になっていたギルドを出ると、僕たちは村に広がる戦火と大量の魔物に押し込まれていく兵士たちとその死体、そしてその3倍の数ほどの魔物の死体を見た。

「...まあ、来てしまったものは仕方ない、か。俺も加勢してくる」

それを見たアリオスが飛び出し、次いでうずうずしているユキとそれを止めようとしているイアが出て行った。

「私は参戦する気はないが...レイ君、多少魔力を融通してくれ」

珍しく口調がいつもと違うセイタに言われた通り魔力を融通すると、僕の身体から容赦ないほどの魔力が吸い出されて行った。


まさか、僕がパーシヴァルを殺しかけた時に使った様に、僕の魔力を使って武器を創ろうと言うのか。

それに気づいた時には、セイタの手に片手で振れなさそうな長さの長剣と赤い十字が染め抜かれた(?)、鉄のような何かで構成されたこれまた片手で構えるような大きさではない大盾があった。

「...ふむ、やはり私にはこの大きさが手に馴染む」

そう言うセイタの身体は、重厚な鎧に覆われていた。材質は大盾と同じように思えるが、元が魔力なので元とどれだけ違うかは分からない。それでも、非常にセイタも好戦的なのが分かった。


「...では、私も出陣する。優はどうする?」

そう言いながらも、セイタは僕の魔力を吸い出して歪なスタッフを作り出していた。

ついでに剣も創ると、ようやく魔力の吸出しは終わり、セイタは消えた。

「...はあ。私がこれだけの武器は使えないんだけど」

そう言いながら、ユウは歪な棍を僕に投げつけ、習性でそれを<次元収納デルヘドラ>にしまってしまう。


と、再び魔力が吸い出されていく感覚が。

「な、なんで...。」

焦ってそう言うと、眉をひそめた感じのユウが「私はこういう時は対物狙撃じゃなくてアサルトの方を使うの!」と謎の言葉を返し、僕は頭を捻ったものの、ユウがギルドの上に行ったと思ったら謎の破裂音が聞こえたので、それがアサルト?の力だと知り、残った僕たちは突撃した。

...ヴァルを残して。

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