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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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ローガヴァル教会

「...それで、婚約と言ってもどれまで話が進んでるんですか」

相当にぶれてしまった話の軸を直すために、僕はそんな言葉を口にする。

思えば、エミリアが暴走したのも相まってこうなっているのだ。


「ああ、其のことに関しては結構進んでいるよ。グレスの方にレーヴァの兄がいるのは知ってるんだけどさ、その人が面倒な人らしくて」

シンの言葉を、よく見ればシンの斜め後ろにいるレーヴァが続けた。

「ヴァー兄...いや、ライゼオンお兄様って言った方が良いかな?ともかく私に対して激アマで。それに、私がエミリアを護衛として付けるって言った時も、『女と言えどきっとヴィーラによからぬ思いを持って近づいてるに違いない‼』って言って危うく血を見かけたんだよねー」

成程、確かにそれは面倒そうだ。


「ああ、所謂シスコンか。俺にはそういう素質はないが、優辺り由紀に甘いのもシスコンみたいなものなのか?」

「な!?ち、違うわよ‼私のは従姉妹だから問題ないの‼」

「あ、その時は私が従姉だからね‼威亜、間違えちゃだめだよ‼」

...ただ、あちら側の言葉が少々引っかからざるを得なかったが。


「...ライゼオン=ヴァーダルガ・グレス皇太子か。現在は、グレス王国内の紛争及び近域の魔物掃討を行っているはずだが」

そんなことをセイタが言い、レーヴァが何か言った気がするも、エミリアが「じゃあ、ボク達が何をしようと気付かれないってことですよ‼」と言った為に、言葉を聞くことは出来なくなった。



―――



「じゃ、また来てね。次此処に来るときは、シンが18になって、レーヴァさんと結婚すると同時に此処の領主を継ぐのを見る時だけどさ」

さらっとそんな事を言ってから、お父様は手を振った。

それだけなのに、<転移ガレヲーノ>を使ったのか僕たちはアリオスの外へとはじき出されていた。

「...まあ、良いだろう。次に近かったのはヴァルだったか?それでは再び【戦車】で向かおうか」

多少意外そうにするも、それ以外は再び感情を自嘲気味なものだけにしたセイタはそう口にした。

それに反対する声は一つもなかった。



「...まあ、俺の目的地はちょっと遠いところにあるんだよな」

「それはどこに?」

ヴァルが独りごとのように言ったことを僕は問う。

「...ベルベッドをさらに西に行ったロガリア連邦の、ガルゴン王国との国境付近にある、ちっちゃな教会が俺の目的地だ。まあ、どちらかというと孤児院だな。俺が面倒を見てたんだが、セイタにひっ捕まって今はこんなことをしてんだ。...心配じゃないって言えばうそになる。でも、それでもあそこのシスターはあれで面倒見がいいからな」


そんな事を言いつつも、僕たちはベルベッド共和国境に到着した。

歩きであれば半月は堅い距離なのに、半日もせずに着いたのだ。

「とまれ。見た事の無い馬車だが、貴君らの所属を明らかにするように」

当然ながら、関門の兵はいた。何故ここまで来て無かったのかは分からないが、もしかしたら関税が無い、と言ったところだろうか。


「...我々はラィデォル魔術学院長、ラヴィア・G・ロンリネス付き特別小隊だ。国境に関して、如何なる注意や関税を受けないものという名を受けている」

「...ラィデォル魔術学院長付きとなれば話は変わるな。どうぞ、お通り下さい」

「うむ」

いつそんな勅命が下ったのかと思いきや、ラヴィア学院長=セイタだった。

幾らでも自分の自由は出来ると、そんなふうに言っているように思えた。


「では、ロガリア連邦辺境、ローガヴァル教会に向けて前進」

正直に言えば、これだけは術式で何とかしてほしかった。



「...ただいま戻りました、神よ」

ロガリア連邦の辺境、ローガヴァル教会。恐らくはヴァルも神に近しいような奴な筈なのに、その言葉は<教会>の清教徒と同じ言葉だった。

「...さあ、皆さまも教会内へ。神はあなた方を祝福してくれるでしょう」

顔に浮かんだ表情すらいつものものとは一切変え、慈愛に満ちたまさに司祭と言った顔つきになっていた。


「...まあ、良いか。ヴァル、教会を案内し給え」

「了解いたしました、神の信徒様。それでは、案内いたします」

本割と明るい笑顔を浮かべたヴァルが案内するのは大聖堂。

大聖堂と言っても大きいわけではなかったが、それでも辺境の地にあるには勿体の無いものだった。

「...戻りましたか、ヴァル司教」

「ええ、戻りました、シスター・アンバー。...子供らは?」

「現在は昼食の時間でございます。また、今日は神に感謝する日でもありますので、牛や羊、鳥などのものは与えておりません」


シスター・アンバーと呼ばれた老女と、司教にまで上り詰めているらしいヴァル。

しっかりしているようで抜けているヴァル司教は、「...では、豚を与えましょう」と口にした。

「いけません、豚など‼臭く、またまずいだけです‼」

シスター・アンバーは否定するも、そこにユウがぬっとヴァルと入れ替わる。

「じゃあ、臭くなくて、美味しければ食べるの?」


その答えは、「...明日になれば、あるいは」という、苦心に満ちた言葉だった。

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