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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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合同演習の終わり or 演劇祭前譚

...都合3週にわたって続けられたラォルーナ剣術学院との合同演習も、遂に終わりを告げた。

最後の最後に、「私にも生徒を守るという責任があるのだから、男子生徒とは合同演習を行えないな。まあ、ライディーン殿をしてあれほどに傲慢なのだから、内政はもっと腐っているのであろう?私はそのような者とは演習を行うことは出来ない。この言葉は、私ことラィデォル魔術学院長、ラヴィア・G・ロンリネスの言葉だ」とキリッと締めてくれたのが良かった。


そんなこんなで、すっかり僕は<転移ガレヲーノ>で移動させる雑用になったのを悔やみながら、ラィデォル魔術学院に戻るのだった。



―――



「わぁーー!猫さん、私に甘えたいの!?いいよいいよ、もっと甘えて!...あ...な、何でもないわっ‼」

教室に戻ってくると、そこにはすっかりと覆面を外して惜しげもなく白銀の髪を振り、時折同じような毛色の猫の腹に顔を埋め、いつもの堅い口調とは裏腹にユキのイアに対するような口調が顔を出しているユウがいた。

突然のユウの大声に驚いた猫が逃げて行き、「あ...。」と言って名残惜しそうに手を伸ばす姿は、嘗てイアが言っていた「猫麻薬」なる物にユウが完全に染まっていることが見て取れた。


「...それで?なんでそこにユキがいるの?」

照れ隠しと言ったように咳払いすると、ユウは覆面を着け直しながらそう言った。

「まあ、偶然かな?ていうかさ、優はどっか行ったと思ったらやっぱり異世界に来ていたんだ」

ユキの言葉には一考の時間が欲しかったが、「...まあ」とユウが答えてしまったことにより話が続いていき、僕に口を挟む猶予は消えてしまった。


そんな中、二人の言葉に一番適役な者が一喝。

「その話はあとで言え!それと、俺を忘れるな‼」

その陰に、正直僕も驚いてしまっていた。

そこにいたのは―――ヴァル・ヴァイオだったからだ。



―――



「あら、ヴァル、帰ってきてたのね。それでどう、私の依頼していたことは」

「俺がいない間になんで合同演習してんだよ!斉太、お前なんで俺に嘘を言った!」

「あまりにも遅いものでな。それより、依頼の品はしっかりと受け取って来たか?」

「おお、何とか俺達の世界に戻って調べてきたぞ...ってオイ!話をそらそうとするな!」

「...お前ら黙ってくれないか?」

ヴァルは相当仲がいいのか、自分の意志を一切隠そうとしないでストレートに物事を伝えている。


しかし、その言葉に重要なことが混じっているのを僕は聞き逃さなかった。

「依頼していた事って何ですか?」

その言葉にユウは小さく背中をぞわつかせ、セイタはやれやれとばかりに肩をすくめた。

その依頼に憤慨していたらしいヴァルが答える。

「演劇祭の用意をさせられていたんだよ!」



―――話は過去に遡る。

1月前。僕たちがいないときに、ユウはのんびりとしていた。

「何か秋の祭りが無いものかしら...。」

それに答えたのは、素性がばれる前のグレア。

「...演劇、などどうかな?」


そこでユウに天啓が舞い降りる。

それが今、彼女がヴァルに用意させていたものの正体だった。



―――時間は今に戻り。

「それで、演劇祭って言っても何を用意するんですか?演劇なんて、与太話程度にしかないですよ?」

「そこら辺については全くもって問題なしよ」

鼻高々にユウが口火を切る。


「演劇祭って言っても、聯隊レイドが何個か集まってその努力を発表するものなのよ」

「...いや、せめて普通に文化祭って言えよ」

イアが突っ込むのも気にせず、ユウは話し続ける。

「大体4人からかしらね。その位人数が居れば、たいてい何でもできるでしょ」

「いや、なおの事部活みてえなもんじゃねえかよ!」

「何よ、五月蠅いわね。由紀、兄さんが五月蠅いんだけど」

ユキはその言葉を無視した。


「...まあ、良いわ。もうラヴィア校長―――いや、くそ親父モドキはもうこれを認証してるんだから」

口が悪いが、もうこの言葉で後戻りが出来ないことを悟る。

後戻りをしたいものだが、そんな事をすれば首を斬られて引きずりまわされるよりもひどい運命が僕を待っていることだろう。

そう思いながら、僕は仕方なくその演劇祭の話を聞くことにしたのだが―――一つ分からない概念があった。


「...この、ギターとか、ドラム?とかってのは何なんですか?」

それは、ヴァルが持ってきていたギターとか言うものやドラムとかいうやつだ。

それに合わせて歌を歌う、『バンド』なる物を作るらしいのだが、どんな面妖な歌を歌うのか。

少なくともバンドとかいう異国の言葉が使われている時点で、『教会』の教皇が歌うような讃美歌ではないことが分かる。


「...ま、使ってみればわかるわよ。取り敢えずここにいる人を二分か三分してバンドを組んで、それで演劇祭に備えるわよ!あ、エミリアとレイは同じバンドグループでダブルボーカル確定ね」

突然伝えられたその言葉に二人そろって「「無理です!」」と伝えるものの、ユウは取り合ってくれない。

「ま、頑張れ」とユキが僕とエミリアの肩に手を置いているのがやけに印象に残ってしまった。

それが僕たちにとって拒否権が無い事を伝える物であることは言わずもがなで、僕は...。


「...頑張ろっ!」

と、僕を見上げる様にエミリアが応援してくれるので抱き締めついでに頭を撫で、仕方なくバンドの練習を始めることになるのだった。

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