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境界の物語  作者: ∀・1
αストーリア
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ユキ

「ふああぁぁ...。...ん?アレ、君たち誰?」

そこに現れたのは、僕よりも少し大きくなったエミリアだったもの(髪の色は神体時の僕と同じ銀色だった)と、茶髪の少女だった。

神体降臨レヴァイン>を発動させて起こった事は何故か非常に既視感デジャヴを覚える物だったが、それが何故かはよくわからなかった。


「二人とも―、エミリアの<神体降臨レヴァイン>は成功したのk―――...由紀、なんでここにいるんだ?」

途中まで柔らかな口調だったイアは、イアがユキと呼んだ少女を見るなり厳しい視線と共に口調も急に厳しいものとなった。その表情は厳しい様でいて、ユキと呼ばれた少女への慈愛があるようにも思えた。


「威亜!こんなところにいたんだ。探したよ、消えたからさ」

「俺を子ども扱いするな。それと、なんで由紀は俺より強そうなんだ!」

「そりゃそうだよ、ボクは威亜の保護者だから!」

「だから俺は由紀の子供じゃないって言ってんだろ!」

「...戻ろっか」

「...そうだね、レイ」

ユキとイアが言い争っている間に、僕たちはこっそりと帰る。


二人が帰ってくる頃には日も相当西に傾いていて(正直なことを言うともう夜になりかけていて)、セイタはイアが帰ってこないことに相当ご立腹だったのは言うまでもないことだろうが、勿論のことながらユキを歓迎しつつもセイタは二人を相当に〆て居た。

とても温厚そうに見えたラルクさんも「...一日分演習が潰れてしまったなあ」とグレアに向かって何かを詰めさせる作業をさせていた。


それだけに二人が怒るほどの(セイタは同じ世界から来たものが何かやらかすとすぐに怒るが)時間の浪費を行ったというわけだ、あの喧嘩だけで。

なんだかんだで5時間くらいだろうか?それだけ言い争えるという事はある意味凄いとも思った。



―――



イアとユキの二人の喧嘩のせいで演習が終わらなくなりそうになったこともあり、僕たちは急遽テントを作ることになった。

一応は剣術学院の私有地であるこの場所だが、魔物も多く出るらしく滅魔結界を張ってからテントを作ることにした。


夕食はユウが用意したカレーだった。

慣れないからさに驚いているのか、しきりに<水弾ウォータ・ボウル>を使用しようとして滅魔結界に弾かれていた。

その為結界内を魔力使用可能空間にし、滅魔結界は表面だけになった。

可笑しい話だが、それが可能となっているのだから...まあ問題は無いのか。


早速テントを張るが、4つほどの大きなテントが出来上がっていた。

一つはあちら側のテントで、もう一つは此処の世界が元の場所ではない人たちのテント。

もう一つは何故かシンとレーヴァなど、5人だけの小さ目なテントで、残りは僕がいたのだけれど―――。


「...なんで僕が此処に居なきゃならないんですか!」

「いやあ、同じ剣士らしく仲良く話そうじゃないか」

「まあ、ボクは何もなければいいよ?」

「ユキさん、そんなこと言わないで!」

此処もたった6人のテントとなっているが、その中には僕もいた。

もう一人の男であるイアはさっさと寝てしまい、ユキに撫でられたりしていた。


しかし、そうなると僕は肩身が非常に狭くなる。

別にいいのだけど、こうなると話が基本僕の許に集まってくるために居心地が非常に悪い。

どうにかして逃げようとしても、テントの入口は封印されていて逃げ出せない状態になっていた。

なんていう酷い事か。きっと、イアが仕組んだことなのだろう。


「そういえばさ、エミリアちゃんって好きな人いるの?」

ラルクさんの何気ない一言。ただ、僕は少しだけ気になる。

エミリアのそう言った浮ついた事は聞かないし、それに少し気になっているエミリアにそういた部分があるのかも確認しておきたかった。


「...え?何か言いました?」

しかし、エミリアは一瞬だけ分かりやすく顔を赤くして僕の方を見ると、顔色を戻して何事もないように聞き返した。

その様子を見ると、特にそう言った事は無いのだろうか。そう思うと、嬉しいような、それでいて少し寂しいような気持ちになった。


だが、その反応だけで十分だったらしい。

剣術学院女子主席、ファン・ルキシさんはエミリアに何か一言耳打ちをしていた。

それだけで、エミリアの顔からは蒸気が噴出していた。

人の身体でもそのような事が起きるんだ、とそんな事を考えながらなぜそうなったかを聞くと、「君には教えられないね」と断られてしまった。


「...レイ」

考え事をしている最中だった所為か、その言葉につい怯えてしまう。

エミリアの方を見ると、少し今の反応が面白くなかったのかすねそうになっていた。

ただ、エミリアの手前それで逃げようと思う事は憚られる。

仕方なくエミリアの方を見ると、理由など分からずだが顔を赤く染めていた。

ただ、そこで僕が原因だと思うほど僕は幼くはない。


視線を逸らすエミリアは何かを言いたいようにも見えたが、僕は何も言わせない様に見つめ続ける。

これで対処があっていたかどうかは僕には分からないが、とにかく僕はエミリアと無音の戦いを繰り広げた。

結局理由が聞き出せず、僕たちは眠りについた。

それがまた新たな火種になり得る物だと知らずに―――。

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